外国籍の家族への食事対応を考えよう
看護師国家試験 第113回 午前 第74問 / 看護の統合と実践 / 国際化と看護
国試問題にチャレンジ
Aちゃん(3歳)は、両親(外国籍)と3人で暮らしている。来日して1か月が経った。2日前に急性胃腸炎(acute gastroenteritis)で個室に入院した。症状が改善し、経口での食事を再開することになった。看護師が訪室すると、香辛料の香りが部屋に充満しており、唐辛子の入った肉などのたくさんの料理が並べられていた。母親は看護師に気付くと「Aは日本食には慣れておらず、食べられないので家で作ってきました」と話した。 このときの母親への看護師の対応で適切なのはどれか。
- 1.普段のAちゃんの食事の内容を尋ねる。
- 2.栄養指導を受けるまで食事の持ち込みはできないと説明する。
- 3.たくさん食べさせてAちゃんの体力を回復させるよう伝える。
- 4.病院食を完食するまで、持ち込み食は食べさせないよう伝える。
対話形式の解説
博士
今回はな、外国籍のAちゃんが胃腸炎で入院しておる場面じゃ。母親が家庭料理を持ち込んできたんじゃが、君ならどうする?
アユム
え、持ち込みは基本禁止ですよね…断るべきでしょうか?
博士
焦るでない。まず大事なのは、なぜ母親がそれを持ってきたのかを理解することじゃ。
アユム
確かに、母親は「日本食に慣れていないから」と言っていますね。
博士
そうじゃ。来日1か月、3歳児が慣れない食事を急に食べられるはずもない。文化的背景を踏まえる必要があるのう。
アユム
では、まず普段どんな食事をしているか聞いてみるのが良いのでしょうか。
博士
その通り。日常の食習慣や嗜好を知ることで、回復期に合った食事を一緒に考えられるんじゃ。
アユム
でも唐辛子の効いた肉料理は胃腸炎の回復期には刺激が強すぎませんか?
博士
鋭いのう。だからこそ話し合いが必要なんじゃ。禁止ではなく、消化に優しい調理法を提案する形が望ましい。
アユム
なるほど、家族の文化を否定せずに医学的配慮を加えるんですね。
博士
うむ。一方的に禁止を告げると信頼関係が崩れ、その後の治療にも響くぞ。
アユム
栄養指導の前に、まず相手を知ることが大切なんですね。よく分かりました。
POINT
本問は多文化共生時代の看護対応を問う問題です。外国籍の家族に対しては、医療ルールを一方的に押し付けるのではなく、まず文化的背景や家庭での食習慣を丁寧に聴取することが第一歩となります。そのうえで、胃腸炎回復期という病態に合った食事内容を家族と共に検討していく姿勢が大切です。異文化看護ではパートナーシップに基づく対話が鍵となります。
解答・解説
正解は 1 です
問題文:Aちゃん(3歳)は、両親(外国籍)と3人で暮らしている。来日して1か月が経った。2日前に急性胃腸炎(acute gastroenteritis)で個室に入院した。症状が改善し、経口での食事を再開することになった。看護師が訪室すると、香辛料の香りが部屋に充満しており、唐辛子の入った肉などのたくさんの料理が並べられていた。母親は看護師に気付くと「Aは日本食には慣れておらず、食べられないので家で作ってきました」と話した。 このときの母親への看護師の対応で適切なのはどれか。
解説:正解は1です。Aちゃんは外国籍で来日してまだ1か月、日本食に馴染みがないという背景があります。まずは日常の食事内容を尋ねて文化的背景や嗜好を把握し、そのうえで胃腸炎回復期に適した食事を一緒に考えていく姿勢が求められます。
選択肢考察
-
○ 1. 普段のAちゃんの食事の内容を尋ねる。
家庭での食習慣や味付け、好む食材を把握することで、文化的背景を尊重しつつ回復期に適した食事を提案できます。母親の不安軽減にもつながる最初の一歩として適切です。
-
× 2. 栄養指導を受けるまで食事の持ち込みはできないと説明する。
いきなり禁止を告げると母親の善意を否定し、信頼関係を損ねます。まず家族の背景を理解する対話が先であり、ルールの説明はその後で行うべきです。
-
× 3. たくさん食べさせてAちゃんの体力を回復させるよう伝える。
胃腸炎回復期は消化器に負担の少ない食事を少量から再開するのが原則です。香辛料の効いた肉料理を大量に摂取させると症状の再燃を招く恐れがあります。
-
× 4. 病院食を完食するまで、持ち込み食は食べさせないよう伝える。
日本食に不慣れな児に無理強いすれば食欲低下やストレスを招きます。文化的配慮を欠く対応で、栄養摂取にも逆効果です。
在留外国人の増加に伴い、看護現場でも多文化対応が求められています。食事・宗教・言語・家族観などを含めた文化的アセスメントを行い、相手の価値観を否定せず共に解決策を探るパートナーシップ型の関わりが重要です。通訳や多言語パンフレットの活用も有効です。
異文化背景を持つ患児と家族への食事支援において、まず家族の状況を理解する姿勢が問われている問題です。
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