多様な働き方の時代、看護管理者の最優先マネジメントは?
看護師国家試験 第108回 午後 第69問 / 看護の統合と実践 / 看護におけるマネジメント
国試問題にチャレンジ
病院では、育児中の時短勤務、夜勤専従、非常勤など多様な労働時間や雇用形態の看護師が働いている。 看護管理者が行うマネジメントで最も優先するのはどれか。
- 1.夜勤専従の看護師の休暇を増やす。
- 2.育児中の看護師の院内研修を免除する。
- 3.非常勤看護師は患者の受け持ちを免除する。
- 4.特定の看護師に仕事が集中しないよう調整する。
対話形式の解説
博士
今日は育児中の時短、夜勤専従、非常勤などさまざまな働き方が混在する病棟での看護管理の問題じゃ。
サクラ
博士、今は本当に多様な勤務形態がありますよね。管理者は何を最優先にすべきでしょう?
博士
正解は4番、『特定の看護師に仕事が集中しないよう調整する』じゃ。多様な勤務形態が混在する職場でこそ業務量の公平配分が肝じゃよ。
サクラ
なぜ特定の人に集中しやすいんですか?
博士
時短勤務者は夕方以降の業務に関われない、非常勤は休日・夜勤を担当しにくい、夜勤専従は日勤帯にいない、となると結果的にフルタイムの常勤者に日勤の忙しい時間帯や複雑な業務が集中する傾向があるんじゃ。
サクラ
偏りがあるとどうなるんですか?
博士
疲労蓄積、ヒヤリハットや医療事故の増加、燃え尽きによる離職、職場内の不公平感によるチームワーク崩壊…と悪循環じゃ。だから管理者の最重要業務として業務量可視化と公平配分がくる。
サクラ
1番の『夜勤専従の休暇を増やす』はどうですか?
博士
夜勤専従の健康管理は重要じゃ。日本看護協会のガイドラインでも夜勤時間は月144時間以内が目安とされる。しかし他の職員への配慮を欠けば全体最適にはならんから、最優先は別じゃ。
サクラ
2番の『育児中の看護師の院内研修を免除』は?
博士
これは誤りじゃ。研修は看護の質と安全を保つうえで全員に必要。免除ではなく、勤務時間内に短時間で受けられるよう工夫したり、eラーニングを整備したりするのが正しい対応じゃよ。
サクラ
3番の『非常勤看護師の受け持ち免除』は?
博士
非常勤もチームの一員。受け持ちを免除すると常勤に全負担が集中して逆に不公平になる。非常勤にできる範囲で受け持ちを担ってもらい、引き継ぎ体制を整えるのが本筋じゃ。
サクラ
業務量はどう可視化するんですか?
博士
重症度・医療看護必要度スコア、業務分析、タイムスタディなどじゃ。ICTを使って業務量を見える化し、科学的根拠に基づく配分ができると理想じゃな。
サクラ
スキルミックスという言葉も聞きます。
博士
看護師と看護補助者の業務分担、特定行為研修修了者の活用、事務補助職の配置など、多職種・多役割で業務を分担する考え方じゃ。看護師しかできない業務に看護師が集中できる環境づくりじゃよ。
サクラ
ダイバーシティマネジメントは人材確保にもつながりますね。
博士
その通り。多様な働き方を受け入れて公平に役割を与える職場は、離職率が下がり採用力も上がる。患者安全と職員満足の両立が現代看護管理の鍵じゃ。
サクラ
『全員が公平に役割を果たせる仕組み作り』が管理者の仕事ですね。
POINT
多様な雇用・勤務形態が混在する看護職場では、業務が特定の職員に集中しやすく、疲労・事故・離職のリスクとなる。看護管理者は業務量を可視化し、勤務形態に応じた公平な業務配分を最優先で行う必要がある。研修免除や受け持ち免除は短期的配慮にはなるが全体最適ではなく、スキルミックスやICT活用で全員が役割を果たせる仕組み作りが本質である。ダイバーシティマネジメントは患者安全と人材確保の両面で重要である。
解答・解説
正解は 4 です
問題文:病院では、育児中の時短勤務、夜勤専従、非常勤など多様な労働時間や雇用形態の看護師が働いている。 看護管理者が行うマネジメントで最も優先するのはどれか。
解説:正解は 4 です。多様な雇用形態・勤務形態の看護師が混在する職場では、特定の看護師(多くは常勤フルタイム)に業務が集中しやすくなります。負担の偏りは疲労・医療事故・離職の温床となるため、看護管理者は業務量を可視化し、勤務形態に応じた適正配分を行うことが最優先となります。ダイバーシティマネジメントの基本原則であり、どの勤務形態の職員も公平に役割を果たし、チーム全体の安全と質を保つマネジメントです。
選択肢考察
-
× 1. 夜勤専従の看護師の休暇を増やす。
夜勤専従者の健康管理は重要ですが、他の雇用形態への配慮を欠き、全体マネジメントの最優先事項ではありません。
-
× 2. 育児中の看護師の院内研修を免除する。
研修は看護の質を保つうえで必要で、免除ではなく受講可能な時間配慮や代替手段を整えるべきです。
-
× 3. 非常勤看護師は患者の受け持ちを免除する。
非常勤もチームの一員であり、受け持ちを免除すると常勤に負担が集中し、かえって不公平になります。
-
○ 4. 特定の看護師に仕事が集中しないよう調整する。
多様な勤務形態を前提とした公平な業務配分はチーム全体の安全と質を守る管理者の最重要業務です。
日本看護協会の『看護職の夜勤・交代制勤務に関するガイドライン』では夜勤回数・拘束時間・勤務間インターバルなどの具体的指標が示されています。夜勤専従者の夜勤時間上限は月144時間が目安です。多様な働き方のマネジメントには、業務量の可視化(重症度・医療看護必要度、業務分析)、公平な勤務表作成、スキルミックスの活用、ICT活用による情報共有が有効です。ワークライフバランスの実現は離職防止・人材確保にも直結します。
多様な雇用・勤務形態が混在する職場での看護管理者の最重要マネジメント視点を問う問題です。
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