医療安全文化を行動レベルで考える
看護師国家試験 第110回 午前 第69問 / 看護の統合と実践 / 看護におけるマネジメント
国試問題にチャレンジ
病院における医療安全文化の醸成につながる行動はどれか。
- 1.食事介助は30分以内で行うルールを決める。
- 2.他の病棟で起こったインシデントについて学ぶ。
- 3.薬剤を間違えても影響がない場合は患者に説明しない。
- 4.水薬の内服時にこぼれた量が少ない場合はそのままとする。
対話形式の解説
博士
医療安全文化とは何かから始めよう
サクラ
全職員が患者安全を最優先にし、ミスを個人責任で責めるのでなく組織で共有・学習する風土です
博士
そのとおり。Reasonは報告文化、正義の文化、学習する文化、柔軟な文化の4要素を挙げたのじゃ
サクラ
報告文化と正義の文化はセットですね。非懲罰で報告できる環境がないと情報が集まりません
博士
うむ。さて選択肢1の食事介助30分ルールはどうじゃ
サクラ
嚥下機能は人によって違うので一律の時間制限は誤嚥リスクを高めます。安全文化というより効率優先ですね
博士
選択肢2の他病棟インシデントから学ぶは
サクラ
まさに学習する文化の実践です。他部署の失敗は自部署でも起こりうる、と捉えるのが安全文化の基本姿勢ですよね
博士
そのとおり。RCAで根本原因を抽出して仕組み改善につなげるのじゃ
サクラ
選択肢3の影響がなければ説明しないは隠蔽ですね
博士
うむ。インシデント・アクシデントは影響の有無にかかわらず報告し、患者にも誠実に説明するのが原則じゃ
サクラ
選択肢4の水薬が少量なら放置もまずいですよね
博士
処方量は治療に必要な量で、少量でも正しく与薬できていない事実は変わらん。報告・対応・記録が必要じゃ
サクラ
インシデントレポートを書くのは面倒と感じる人もいますが
博士
書いた人を責める組織では誰も書かなくなる。管理者が非懲罰で受け止め、改善に生かす姿勢を示すことが要じゃ
サクラ
ハインリッヒの法則も思い出します。1件の重大事故の背後に29件の軽微事故と300件のヒヤリハット
博士
よく知っておる。ヒヤリハット段階で拾うほど重大事故を防げるのじゃ
サクラ
患者参加型の安全活動も広がっていますよね
博士
うむ。名前確認や内服確認に患者自身が関わる仕組みは安全文化を深めるのじゃ
POINT
医療安全文化は全職員が患者安全を最優先にし、失敗を共有・学習する風土を育てる概念です。他部署のインシデントから学ぶ行動は学習する文化そのもので、再発予防と安全意識向上につながります。時間制限ルール、隠蔽、量の曖昧な取り扱いは文化醸成に反します。非懲罰の報告、RCA、患者参加を組み合わせ仕組み改善を続けることが重要です。
解答・解説
正解は 2 です
問題文:病院における医療安全文化の醸成につながる行動はどれか。
解説:正解は2「他の病棟で起こったインシデントについて学ぶ」です。医療安全文化は、職員全員が患者安全を最優先にし、失敗を責めるのではなく共有・学習する組織風土を育てることです。他部署のインシデントから学ぶ行動はまさに組織学習の核心で、再発予防と安全意識の向上につながります。
選択肢考察
-
× 1. 食事介助は30分以内で行うルールを決める。
時間制限は誤嚥・窒息リスクを高めかねません。患者の嚥下機能やペースに応じた介助が原則であり、一律の時間設定は安全文化というより管理の効率化に偏った発想です。
-
○ 2. 他の病棟で起こったインシデントについて学ぶ。
他部署の事例を共有することで同種事故の発生要因や背景、対策を自部署に展開できます。報告を責めず学びに変える姿勢はジャストカルチャー(公正な文化)の中核で、安全文化醸成の正道です。
-
× 3. 薬剤を間違えても影響がない場合は患者に説明しない。
インシデント・アクシデントは影響の有無にかかわらず事実を報告し、患者にも誠実に説明するのが原則です。隠蔽は信頼を損ない、再発防止の機会も失わせるため安全文化と真逆の行為です。
-
× 4. 水薬の内服時にこぼれた量が少ない場合はそのままとする。
処方量は治療上必要な量です。こぼれた量が少量であっても正確な与薬ができていないことに変わりなく、報告・対応・記録が必要です。曖昧にすることは安全文化に反します。
医療安全文化の評価にはAHRQの安全文化調査票などが使われ、報告文化・正義の文化・学習する文化・柔軟な文化の4要素(Reasonの提唱)が重要とされています。インシデントレポートは非懲罰を原則とし、RCA(根本原因分析)で仕組み改善につなげます。
医療安全文化の定義と、それを体現する行動を他の選択肢と比較して判別できるかを問う問題です。
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