ノルアドレナリン2倍量が3時間!まず何を確認する?
看護師国家試験 第106回 午後 第111問 / 看護の統合と実践 / 状況設定問題
国試問題にチャレンジ
Aさん(78歳、男性)は、尿路感染症( urinary tract infection )による敗血症( sepsis )で入院し、5日が経過した。中心静脈ラインから輸液ポンプを使用して乳酸加リンゲル液が投与され、その側管からシリンジポンプを使用してノルアドレナリンが投与されている。 看護師はノルアドレナリンの投与量を医師の指示書で確認した。指示書には、午前6時に2mL/時間から1mL/時間へ投与量の減量の指示が記載されていたが、午前9時の投与量は2mL/時間のままであったことに気が付いた。 このときのAさんに対し看護師がアセスメントする項目で優先度が高いのはどれか。
- 1.血圧
- 2.尿量
- 3.血糖値
- 4.呼吸数
対話形式の解説
博士
前の問題の続きじゃ。看護師が指示書を確認したら、午前6時にノルアドレナリンを2mL/時間から1mL/時間へ減量する指示があったのに、午前9時の時点でまだ2mL/時間のまま投与されとった。つまり2倍量が3時間続いたわけじゃな。
サクラ
3時間も…それは心配ですね。この場合、何を真っ先に観察するんでしょう?
博士
ノルアドレナリンの作用を思い出してみよ。
サクラ
えっと、昇圧薬ですよね。血圧を上げる薬。
博士
その通り。α1受容体を刺激して末梢血管を収縮させ、強力に血圧を上げる。β1受容体刺激で心収縮力や心拍数も増える。
サクラ
ということは…2倍量が続いたら血圧が上がりすぎているかも?
博士
正解じゃ。過剰昇圧で一番警戒すべきは高血圧緊急症、頭蓋内出血、不整脈、そして末梢や腸管の虚血じゃな。だからまず血圧を確認するのが最優先になる。
サクラ
選択肢2の尿量はどうですか?昇圧薬で腎血流も変わりそうですが…
博士
良い視点じゃ。ノルアドレナリンは末梢血管を締めるが、敗血症性ショックでは結果的に腎灌流圧を保ち尿量が増えることもある。ただし評価の直接性では血圧の方が圧倒的に高い。
サクラ
選択肢3の血糖値は?カテコラミンって糖を上げるんでしたっけ。
博士
そうじゃ。カテコラミンは肝臓の糖新生・糖原分解を促進して血糖を上げる。ただし過量投与時に最も危険な変化ではない。
サクラ
選択肢4の呼吸数はどうですか?
博士
循環動態が変われば呼吸数も変わりうるが、それは二次的変化。直接影響を受ける血圧を最初に確認するのが筋じゃ。
サクラ
順序としては血圧→脈拍→尿量→意識、みたいな流れですか?
博士
その通り。バイタルサイン全体を確認しつつ、特に血圧と心電図(不整脈のチェック)を優先する。そして速やかに医師へ報告して指示量に修正するのじゃ。
サクラ
気づいた時点で勝手に減量するのはダメですよね?
博士
その通り。看護師判断で急に流量を変えると逆に血圧が急降下するリスクがある。必ず医師へ報告し、指示を受けて変更するのじゃ。
サクラ
カテコラミンは急に止めても急に多く入れても危ないんですね。
博士
うむ。徐々に調整するのが鉄則。それと、この事例はインシデント事例として後で振り返りが必要になるぞ。
サクラ
なるほど、次の問題でその再発防止策が問われるんですね。
POINT
ノルアドレナリンは昇圧を主目的とする薬剤で、過量投与では高血圧緊急症、頭蓋内出血、頻脈性不整脈、末梢・腸管虚血などを招きます。指示量の2倍が3時間続いた場面では、まず血圧の評価が最優先となります。次いで脈拍・不整脈の有無、意識状態、尿量、末梢循環を確認し、速やかに医師へ報告します。カテコラミンは急な流量変更自体がショックを誘発するため、必ず指示に基づいて調整することが看護の原則です。インシデント発見後は『観察・報告・記録・再発防止』を順序立てて行う姿勢が求められます。
解答・解説
正解は 1 です
問題文:Aさん(78歳、男性)は、尿路感染症( urinary tract infection )による敗血症( sepsis )で入院し、5日が経過した。中心静脈ラインから輸液ポンプを使用して乳酸加リンゲル液が投与され、その側管からシリンジポンプを使用してノルアドレナリンが投与されている。 看護師はノルアドレナリンの投与量を医師の指示書で確認した。指示書には、午前6時に2mL/時間から1mL/時間へ投与量の減量の指示が記載されていたが、午前9時の投与量は2mL/時間のままであったことに気が付いた。 このときのAさんに対し看護師がアセスメントする項目で優先度が高いのはどれか。
解説:正解は1です。ノルアドレナリンは末梢血管収縮作用と心収縮力増強作用により血圧を上昇させる昇圧薬です。午前6時から減量すべき指示が3時間見逃され、本来の2倍量が投与され続けた状況では、血圧が過度に上昇している可能性が高いです。過剰昇圧は高血圧緊急症、頭蓋内出血、不整脈、末梢虚血などの重大な合併症を招くため、まず血圧を確認し必要に応じて医師へ報告、投与量を是正することが最優先となります。
選択肢考察
-
○ 1. 血圧
ノルアドレナリンは昇圧を目的とした薬剤。指示量の2倍が3時間継続された場合、血圧の過度な上昇が予測される。過剰昇圧は頭蓋内出血や不整脈などの合併症を招くため、血圧の確認が最優先。
-
× 2. 尿量
ノルアドレナリンは末梢血管収縮により腎血流に影響を与えるが、循環動態の指標としての優先度は血圧より低い。血圧を確認したうえで次に評価する項目。
-
× 3. 血糖値
カテコラミンは糖新生促進により血糖を上昇させる作用があるが、この場面で最優先にアセスメントする項目ではない。
-
× 4. 呼吸数
循環動態の変化で呼吸数は変わり得るが、ノルアドレナリン過量投与の直接的な影響として最初に評価すべきなのは血圧。
ノルアドレナリンはα1受容体刺激による末梢血管収縮(昇圧効果の中心)と、β1受容体刺激による心収縮力・心拍数増加をもたらす。過量投与の副作用には、高血圧、頻脈性不整脈、末梢循環不全(四肢冷感・蒼白)、腸管虚血、頭痛、動悸などがある。インシデント発見時は、まず現在のバイタルサインを確認し医師へ報告、指示に従って投与量を修正するのが基本の流れである。
昇圧薬の過量投与が3時間継続された場面で、看護師がまず評価すべきバイタルサインを問う問題。薬剤の薬理作用と目的から最も直接的な指標を選ぶ。
「状況設定問題」の関連記事
-
血しぶきから目を守れ!災害現場でも変わらない標準予防策の基本
血液飛散の可能性がある災害時の創処置介助で、最も適切な感染予防対策を選ぶ問題。標準予防策におけるアイシールド…
114回
-
避難所のインフル集団発生を防ぐ第一手—毎日の健康チェック表が命綱
発症者が出ていない予防段階で実施すべき避難所感染対策を問う問題。早期発見のための健康監視(サーベイランス)の…
114回
-
片側か、全身か—帯状疱疹の運命を分ける皮疹の広がりを見極めよ
避難所の高齢者にみられた帯状疱疹疑いの病変について、最優先で確認すべき観察項目を問う問題。皮疹の広がり(限局…
114回
-
階段転落で殿部痛・ショック、病態は何か
外傷患者の主訴・バイタルサイン・検査所見から病態を推論し、出血性ショックと骨盤骨折を結びつけられるかを問う問…
113回
-
災害時の多重課題、優先度が高いのは
多重課題・災害時に、バイタルサインの逸脱度から優先度を判断できるかを問う問題です。
113回