混同しやすい母性保護法令を整理!妊婦健診の時間を守る法律はどれ?
看護師国家試験 第114回 午後 第63問 / 母性看護学 / 母性看護の対象と社会・環境
国試問題にチャレンジ
事業主は雇用している女性労働者が妊婦健康診査を受けるために必要な時間を確保できるようにしなければならないと規定している法律はどれか。
- 1.母体保護法
- 2.労働基準法
- 3.雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律<男女雇用機会均等法>
- 4.育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律<育児・介護休業法>
対話形式の解説
博士
今日は働く妊婦さんを守る法律を整理するぞ。問われているのは「妊婦健診のための時間を確保する」義務がどの法律にあるか、じゃ。
サクラ
母性保護関連の法律ってたくさんあって、いつも混乱します…。
博士
そうじゃろう。まず大きく分けると、母体保護法、労働基準法、男女雇用機会均等法、育児・介護休業法の4本柱を押さえると整理しやすいぞ。
サクラ
母体保護法は何を定めているんですか?
博士
母体保護法は不妊手術と人工妊娠中絶の要件、そして母性の生命健康保護じゃ。職場での妊婦保護は射程外じゃな。
サクラ
労働基準法はどうですか?
博士
労基法はいわゆる「産前6週・産後8週の休業」、危険有害業務の就業制限、軽易業務への転換、妊産婦の時間外・休日・深夜業の制限などを定めておる。働き方の枠組み自体を規定する法律じゃ。
サクラ
育児・介護休業法は?
博士
これは育休、介護休業、子の看護休暇など、出産後の両立支援を中心とする法律。妊娠中の健診時間とは少しズレるのじゃ。
サクラ
すると、残るのが男女雇用機会均等法ですね。
博士
その通り。均等法第12条には「妊娠中の女性労働者が母子保健法に基づく保健指導や健康診査を受けるために必要な時間を確保できるようにしなければならない」と明記されておる。これが本問の根拠条文じゃ。
サクラ
健診の頻度って決まっているんですか?
博士
目安として、妊娠23週までは4週間に1回、24〜35週は2週間に1回、36週以降は毎週1回じゃ。事業主はこれに見合う時間を確保する義務があるのじゃ。
サクラ
もし医師から「立ち仕事を控えて」と指導があった場合はどうなりますか?
博士
それも均等法第13条じゃ。指導事項を守れるように勤務時間の変更、勤務軽減、休業などの措置を講じる義務がある。妊婦本人が職場に伝えるためのツールが「母健連絡カード」じゃよ。
サクラ
なるほど、医師から事業主への橋渡しの紙ですね。
博士
その通り。看護師、特に外来や産科の看護職は、母健連絡カードの存在を妊婦に伝え、必要時の活用を促す役割もあるのじゃ。
サクラ
法律の建付けと現場での運用がつながっていることがよくわかりました。
POINT
男女雇用機会均等法第12条は、事業主に対し妊婦健診を受けるための時間確保を義務づけており、本問の根拠法です。同法第13条はさらに、健診で受けた指導事項を守れるよう勤務軽減や休業など必要な措置を講じることまで定めています。母体保護法は人工妊娠中絶と不妊手術、労働基準法は産前産後休業や業務制限、育児・介護休業法は育休や介護休業を扱う法律で、それぞれ守備範囲が異なります。母健連絡カードは医師の指導内容を事業主に伝える実務ツールで、母性看護では必ず押さえておきたい知識です。働く女性の母性を守る制度の全体像を理解することは、看護師として妊婦のセルフアドボカシーを支える第一歩となります。
解答・解説
正解は 3 です
問題文:事業主は雇用している女性労働者が妊婦健康診査を受けるために必要な時間を確保できるようにしなければならないと規定している法律はどれか。
解説:正解は 3 です。男女雇用機会均等法第12条は「事業主は、その雇用する女性労働者が母子保健法の規定による保健指導又は健康診査を受けるために必要な時間を確保することができるようにしなければならない」と定めている。さらに第13条では、健診で受けた指導事項を守ることができるよう、勤務時間の変更や勤務軽減などの措置を事業主に義務づけている。
選択肢考察
-
× 1. 母体保護法
不妊手術や人工妊娠中絶などに関する事項を定め、母性の生命と健康を保護することを目的とする法律であり、職場における健診時間確保は規定していない。
-
× 2. 労働基準法
産前産後休業、軽易業務への転換、危険有害業務の制限、時間外・深夜業の制限など母性保護の基本規定を定めるが、妊婦健診受診時間の確保そのものは規定していない。
-
○ 3. 雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律<男女雇用機会均等法>
第12条に妊婦健診を受けるための時間確保、第13条に医師等の指導事項を守るための措置義務が規定されており、本問の根拠法である。
-
× 4. 育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律<育児・介護休業法>
育児休業・介護休業や子の看護休暇、所定労働時間の短縮など、育児・介護と仕事の両立支援を目的とする法律であり、妊婦健診時間の確保は対象外である。
男女雇用機会均等法に基づく妊婦健診の確保時間の目安は、妊娠23週までは4週間に1回、24〜35週は2週間に1回、36週以降は1週間に1回とされる。指導事項の徹底のため事業主と医師の橋渡しに用いられるツールが「母性健康管理指導事項連絡カード(母健連絡カード)」である。労働基準法と男女雇用機会均等法は混同しやすいが、労基法は産休・業務制限などの「働き方そのもの」、均等法は「健診時間や指導事項対応」と整理しておくと覚えやすい。
妊婦健診受診時間の確保義務がどの法律に規定されているか、母性保護関連法を整理して問う問題である。
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