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外国籍妊婦への説明で正しいのは?

看護師国家試験 第107回 午前 第56問 / 母性看護学 / 妊娠期の看護

国試問題にチャレンジ

107回 午前 第56問

産科外来を初めて受診した妊婦。夫婦ともに外国籍で、日本の在留資格を取得している。この妊婦への説明で正しいのはどれか。

  1. 1.「母子健康手帳は有料で入手できます」
  2. 2.「妊婦健康診査は公費の助成を受けられます」
  3. 3.「出生届は外務省に提出します」
  4. 4.「生まれた子どもは出生時に日本国籍を取得できます」

対話形式の解説

博士 博士

産科外来に来た外国籍夫婦の妊婦さん、在留資格あり。どんな制度が使えるかわかるかの?

アユム アユム

日本国籍じゃないから、公的サービスは使えないんじゃ…?

博士 博士

そう思いがちじゃが違う。母子保健法は国籍要件を設けておらん。住民登録と在留資格があれば、日本人と同じ母子保健サービスが使えるんじゃ。

アユム アユム

じゃあ母子健康手帳も?

博士 博士

無料で交付される。妊娠届を市町村に出せば、国籍を問わず誰でも受け取れる。英語、中国語、韓国語、ポルトガル語、スペイン語などの多言語版が用意されておる自治体も多い。

アユム アユム

妊婦健康診査の公費助成も受けられるんですね。

博士 博士

そのとおり、選択肢2が正解じゃ。受診票が交付されて通常14回分ほど公費負担される。

アユム アユム

選択肢3の『出生届は外務省』は?

博士 博士

出生届の提出先は戸籍法により市区町村役場じゃ。出生日を含めて14日以内、出生地・本籍地・届出人の所在地のいずれかに提出する。外務省は関係ない。

アユム アユム

そういえば、日本で生まれたら自動的に日本国籍になるんじゃないんですか?

博士 博士

ここが重要じゃ。日本の国籍法は『血統主義(jus sanguinis)』を採用しておる。父か母のどちらかが日本国籍でなければ、子は日本国籍を取得せん。

アユム アユム

じゃあ両親とも外国籍なら…?

博士 博士

生まれた子は両親いずれかの国籍を継承する。出生後30日以内に入国管理局で在留資格を申請し、本国大使館または領事館で出生登録も行う必要がある。

アユム アユム

アメリカは違うんでしたよね?

博士 博士

そうじゃ。アメリカは『出生地主義(jus soli)』で、国内で生まれれば親の国籍を問わず米国籍を取得する。国によって根本的な考え方が違う。

アユム アユム

看護師として気をつけるべきことはありますか?

博士 博士

言語の壁への配慮が第一じゃ。医療通訳サービスの活用、やさしい日本語の使用、多言語版パンフレットの準備。そして文化的背景への理解、出産スタイルや食習慣、宗教上の制約など、丁寧に確認する姿勢が必要じゃ。

アユム アユム

制度は同じでも、情報が届いているかは別問題ですね。

博士 博士

そのとおり。『制度がある』と『制度を使える』は違う。橋渡しするのが看護師の役割じゃ。

アユム アユム

病院に来た時点で、すでに不安な気持ちがいっぱいですもんね。

博士 博士

妊娠・出産という人生の大きな節目に異国で向き合う心細さを想像し、寄り添う姿勢が大切じゃ。

POINT

在留資格を持つ外国籍妊婦は、日本人妊婦と同様に母子健康手帳の無料交付および妊婦健康診査の公費助成を受けられます。出生届は市町村役場に14日以内に提出し、日本の国籍法は血統主義のため両親とも外国籍なら子は日本国籍を取得しません。多言語母子手帳の活用や医療通訳、文化的背景への配慮など、制度を知っているだけでなく当事者が利用できるよう橋渡しすることが看護の役割です。グローバル化が進む現代の産科看護で、必ず押さえておきたい基本知識です。

解答・解説

正解は 2 です

問題文:産科外来を初めて受診した妊婦。夫婦ともに外国籍で、日本の在留資格を取得している。この妊婦への説明で正しいのはどれか。

解説:正解は2の『妊婦健康診査は公費の助成を受けられます』です。日本の母子保健制度は日本国籍を要件としておらず、市町村に住民登録があり在留資格を有する外国籍妊婦も、日本国籍の妊婦と同様に各種サービスを利用できます。妊娠届を市町村に提出すると母子健康手帳が無料で交付され、あわせて妊婦健康診査受診票(一般に14回分程度)が配布されて公費助成が受けられます。これは母子保健法に基づく制度です。多言語版の母子健康手帳が用意されている自治体も多く、母国と日本を行き来しても記録が継続できるよう配慮されています。

選択肢考察

  1. × 1.  「母子健康手帳は有料で入手できます」

    母子健康手帳は母子保健法に基づき市町村から無料で交付されます。国籍を問わず、妊娠届を出せば誰でも受け取れます。

  2. 2.  「妊婦健康診査は公費の助成を受けられます」

    住民登録と在留資格があれば、日本人妊婦と同じく妊婦健康診査の公費助成(受診票)を受けられます。母子保健施策は国籍を問いません。

  3. × 3.  「出生届は外務省に提出します」

    出生届は戸籍法により、出生日を含めて14日以内に出生地・本籍地・届出人の所在地のいずれかの市区町村役場に提出します。外務省ではありません。

  4. × 4.  「生まれた子どもは出生時に日本国籍を取得できます」

    日本の国籍法は原則『血統主義』で、父または母のどちらかが日本国籍でなければ子は日本国籍を取得しません。両親とも外国籍の場合は両親いずれかの国籍となります。

母子健康手帳は英語・中国語・韓国語・ポルトガル語・スペイン語など多言語版が用意されています。外国籍の子は出生後30日以内に入国管理局で在留資格の申請、および本国大使館・領事館での出生登録が必要です。妊婦健診の受診票の利用可能回数や内容は自治体により異なりますが、基本は14回分を目安に公費助成されています。アメリカなど一部の国は『出生地主義(jus soli)』を採用しており、国によって国籍取得の考え方が異なる点もあわせて押さえておきましょう。

外国籍妊婦に対する日本の母子保健制度の適用範囲と、国籍法・戸籍法の基本的な手続きについて問う問題です。