産褥早期の異常を見極めよう
看護師国家試験 第104回 午後 第105問 / 母性看護学 / 状況設定問題
国試問題にチャレンジ
次の文を読み、問いに答えよ。 Aさん(30歳、経産婦)は、妊娠40週1日で、妊娠経過は順調であった。本日、午後5時に体重3,900gの女児を正常分娩した。会陰縫合術を受け、分娩時出血量は400mLであった。分娩後2時間のバイタルサインは、体温37.1℃、脈拍64/分、血圧124/70mmHgであった。排尿後の子宮底の位置は臍下1横指、収縮良好で帰室した。Aさんは午後8時に夕食を全量摂取し、寝るまでに水を500mL飲んだ。 翌朝、Aさんは体温36.8℃、血圧116/66mmHgであった。就寝後から朝まで排尿はなく、子宮底の位置は臍高であった。 Aさんの状態で経過観察してよいのはどれか。
- 1.尿意なし
- 2.脈拍110/分
- 3.軟らかく触れる子宮底
- 4.会陰切開縫合部の痛み
対話形式の解説
博士
学生さん、Aさんは3,900gの児を分娩した経産婦じゃ。翌朝の所見でどれが経過観察でよいか分かるかの?
サクラ
選択肢を一つずつ見ていきますね。
博士
まず尿意なしはどうじゃ?
サクラ
朝まで排尿がないのは気になります。膀胱がたまっていそうです。
博士
そう、3,900gの児だから骨盤底が伸びて分娩後膀胱麻痺を起こしているかもしれぬ。膀胱充満は子宮復古不全の原因にもなる。
サクラ
介入が必要ですね。脈拍110/分はどうですか?
博士
産褥の脈拍は60〜80/分が正常じゃから、110は頻脈じゃ。出血、感染、貧血の可能性を考えて精査が必要じゃの。
サクラ
子宮底が軟らかいのは?
博士
子宮復古中は硬式テニスボールくらいの硬さじゃ。軟らかいのは収縮不良で弛緩出血の危険もある。マッサージや子宮収縮薬を使うのじゃ。
サクラ
会陰切開部の痛みは?
博士
創部があるから痛むのは当然じゃ。感染徴候や血腫形成がなければ経過観察でよい。
サクラ
痛みの観察項目は何でしょう?
博士
REEDAスケールというのがあってな、発赤、腫脹、内出血、滲出液、創閉鎖で評価するのじゃ。
サクラ
氷枕やドーナツ型クッションも使えますね。
博士
さよう。痛みが強くなる、滲出液が増える、悪臭がするときは感染を疑うんじゃぞ。
サクラ
他の3項目は介入が必要だが、創部痛だけは経過観察でよいのですね。
博士
そういうことじゃ。生理的反応と異常を見分ける目を養うのじゃ。
POINT
産褥早期は子宮復古、悪露、バイタル、排尿、創部の観察が重要です。尿意なし、頻脈、軟らかい子宮底はそれぞれ膀胱麻痺、出血や感染、子宮復古不全を示唆する異常所見であり、介入が必要です。一方、会陰切開縫合部の痛みは生理的反応の範囲内であり、感染徴候がなければ経過観察で対応できます。REEDAスケールでの評価を継続し、悪化を見逃さないことが大切です。
解答・解説
正解は 4 です
問題文:次の文を読み、問いに答えよ。 Aさん(30歳、経産婦)は、妊娠40週1日で、妊娠経過は順調であった。本日、午後5時に体重3,900gの女児を正常分娩した。会陰縫合術を受け、分娩時出血量は400mLであった。分娩後2時間のバイタルサインは、体温37.1℃、脈拍64/分、血圧124/70mmHgであった。排尿後の子宮底の位置は臍下1横指、収縮良好で帰室した。Aさんは午後8時に夕食を全量摂取し、寝るまでに水を500mL飲んだ。 翌朝、Aさんは体温36.8℃、血圧116/66mmHgであった。就寝後から朝まで排尿はなく、子宮底の位置は臍高であった。 Aさんの状態で経過観察してよいのはどれか。
解説:正解は4です。会陰切開縫合部の痛みは創部のある以上ある程度生じる生理的な反応であり、感染徴候(発赤、腫脹、熱感、滲出液)がなければ経過観察で対応できます。一方、尿意がない、頻脈、子宮底が軟らかいなどの所見は分娩後膀胱麻痺、出血や感染、子宮復古不全を示唆する所見であり、原因を確認して介入する必要があります。
選択肢考察
-
× 1. 尿意なし
3,900gの大きな児を経膣分娩したAさんは骨盤底筋の伸展により分娩後膀胱麻痺を起こしている可能性が高く、膀胱充満による子宮復古不全につながります。排尿誘導や導尿などの介入が必要です。
-
× 2. 脈拍110/分
産褥期の脈拍は通常60〜80/分で安定し、110/分は明らかな頻脈です。出血、貧血、感染、心不全などが疑われ原因の精査が必要なため、経過観察のみでは対応できません。
-
× 3. 軟らかく触れる子宮底
産褥期の子宮底は硬式テニスボール程度の硬さに収縮しているのが正常です。軟らかい場合は子宮収縮不良(弛緩出血や子宮復古不全)が疑われ、子宮底輪状マッサージや子宮収縮薬の投与など介入が必要です。
-
○ 4. 会陰切開縫合部の痛み
会陰切開縫合部の痛みは創部があれば生じる生理的な反応で、感染徴候や血腫形成がなければ経過観察で十分対応できます。氷枕やドーナツ型クッションでの軽減を図りつつ、悪化所見の有無を観察します。
産褥早期の観察は子宮復古、悪露、バイタルサイン、排尿、創部、乳房、精神状態の7項目が基本です。分娩後12時間以内の最初の排尿は重要で、尿閉や残尿は子宮復古不全や膀胱機能障害の原因となります。会陰切開部はREEDAスケール(発赤、腫脹、内出血、滲出液、創閉鎖)で評価します。
産褥早期の観察項目について、生理的反応と異常所見を見分けられるかを問う問題です。
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