妊娠初期のマイナートラブル、次の4週間で起こる変化は?
看護師国家試験 第105回 午後 第106問 / 母性看護学 / 状況設定問題
国試問題にチャレンジ
次の文を読み、問いに答えよ。 Aさん(28歳、女性、会社員)は、結婚後1年で夫と2人で暮らしている。仕事上の役割も増えている。次回月経予定日を2週過ぎても月経がみられないため、勤務先近くの産婦人科クリニックを受診した。月経周期は28日型で、最終月経は3月2日から4日間であった。診察の結果、妊娠と診断された。 Aさんの次回の受診は4週後になった。Aさんは「数日前から朝起きたときやおなかがすいたときに吐き気がします。次の受診までに私の体にどのような変化が起こるのでしょうか」と話した。 看護師のAさんに対する説明で最も適切なのはどれか。
- 1.「体がかゆくなります」
- 2.「おりものが多くなります」
- 3.「仰向けで寝ていると気分が悪くなります」
- 4.「下肢にけいれんが起こりやすくなります」
対話形式の解説
博士
博士じゃ。Aさんは妊娠6週1日で、朝やお腹が空いた時の吐き気、つまりつわりが始まっておる。次の受診までの4週間で起こる体の変化を問われておるぞ。
アユム
4週後は妊娠10週1日、まだ妊娠初期ですね。初期に多いマイナートラブルから選べばいいんですね。
博士
その通り。妊娠時期ごとに生じやすい症状が異なるから、その時期区分が解答の鍵になる。
アユム
妊娠初期、中期、後期で代表的な症状をまとめたいです。
博士
よし。初期(〜15週)はつわり、帯下増加、頻尿、眠気、便秘、乳房の張り。中期(16〜27週)は腰痛、皮膚掻痒、妊娠線、動悸、貧血。後期(28週〜)は仰臥位低血圧症候群、こむら返り、胃部圧迫感、浮腫、便秘の悪化などじゃ。
アユム
なるほど。では選択肢を見ていきます。1の「体がかゆくなる」は中期以降ですよね。
博士
うむ。子宮増大による皮膚伸展や肝内胆汁うっ滞の影響で、妊娠中期から後期に出やすい。初期には一般的ではない。
アユム
2の「おりものが多くなる」は初期の症状ですね。
博士
正解じゃ。エストロゲンとプロゲステロンの上昇で膣・頸管粘液の分泌が増え、帯下が増加する。これは病的ではなく、膣内pHを酸性に保って雑菌の侵入を防ぐ自浄作用を高めるためじゃ。
アユム
色やにおいで異常を見分けるポイントは?
博士
白色〜乳白色で無臭なら生理的範囲。黄緑色や膿性、強い悪臭、外陰部の痒みや灼熱感を伴うときは、カンジダ、細菌性膣症、クラミジアなどの感染を疑い受診を勧めるのじゃ。
アユム
3の「仰向けで気分が悪くなる」は?
博士
仰臥位低血圧症候群じゃ。増大した子宮が下大静脈を圧迫して静脈還流が減るため、血圧低下・気分不良を起こす。20週以降に出ることが多く、対処は左側臥位(シムス位)じゃ。初期のAさんには時期的に当てはまらん。
アユム
4の「下肢のけいれん」も後期ですよね。
博士
そうじゃ。こむら返りはカルシウムやマグネシウム不足、子宮増大による静脈うっ滞、疲労などが重なり後期に多い。予防は栄養バランスと保温、軽いストレッチじゃ。
アユム
では正解は2の「おりものが多くなる」ですね。
博士
うむ、確定じゃ。つわりは現在進行中で次の4週も続くことが多く、これも初期の代表症状じゃの。合わせて頻尿も伝えておくと親切じゃ。
アユム
頻尿はなぜ初期に起こるんですか?
博士
子宮がまだ骨盤内にある時期は増大した子宮が膀胱を圧迫する。妊娠中期に子宮が腹腔内に出ると一時軽減し、後期にまた児頭下降で再出現する、というパターンじゃ。
アユム
マイナートラブルを時期別に整理しておくと、指導もスムーズですね。
博士
その通り。症状を「正常な変化」と「受診すべき異常」の境界で説明してやることが、妊婦の安心につながる看護の基本じゃ。
POINT
妊娠初期はエストロゲンの影響で帯下が増加し、膣の自浄作用を高めます。Aさんは妊娠10週頃までの時期に入るため、正解は選択肢2です。皮膚掻痒は中期、仰臥位低血圧やこむら返りは後期のマイナートラブルで、時期別の症状を整理して説明することが母性看護の基本です。
解答・解説
正解は 2 です
問題文:次の文を読み、問いに答えよ。 Aさん(28歳、女性、会社員)は、結婚後1年で夫と2人で暮らしている。仕事上の役割も増えている。次回月経予定日を2週過ぎても月経がみられないため、勤務先近くの産婦人科クリニックを受診した。月経周期は28日型で、最終月経は3月2日から4日間であった。診察の結果、妊娠と診断された。 Aさんの次回の受診は4週後になった。Aさんは「数日前から朝起きたときやおなかがすいたときに吐き気がします。次の受診までに私の体にどのような変化が起こるのでしょうか」と話した。 看護師のAさんに対する説明で最も適切なのはどれか。
解説:正解は 2 です。Aさんは現在妊娠6週1日で、4週後は妊娠10週1日となり妊娠初期に含まれます。妊娠初期はエストロゲンとプロゲステロンの増加により膣粘膜の分泌活動が亢進し、帯下(おりもの)が増加します。これは膣の自浄作用を高めて胎児を感染から守るための生理的変化で、初期に特徴的なマイナートラブルのひとつです。
選択肢考察
-
× 1. 「体がかゆくなります」
妊娠性皮膚掻痒は子宮増大による皮膚伸展や胆汁うっ滞が関与し、主に妊娠中期以降に現れる症状で、初期から次の4週間の変化としては典型的ではありません。
-
○ 2. 「おりものが多くなります」
妊娠初期はエストロゲン増加により膣・頸管粘液分泌が増え、帯下が増加します。色調は白色〜乳白色で無臭であれば生理的範囲で、感染予防にも寄与します。
-
× 3. 「仰向けで寝ていると気分が悪くなります」
仰臥位低血圧症候群は増大した子宮が下大静脈を圧迫して静脈還流が低下する病態で、通常は妊娠後期(20週以降)に出現します。
-
× 4. 「下肢にけいれんが起こりやすくなります」
こむら返りはカルシウム・マグネシウム不足や子宮増大による下肢循環障害が原因で、妊娠後期に多くみられる症状です。
妊娠初期のマイナートラブルにはつわり、頻尿、帯下の増加、眠気、便秘、乳房の張りなどがあります。帯下が増えても、黄緑色や膿性、強い悪臭、外陰部の掻痒や痛みを伴う場合はカンジダやクラミジアなど感染を疑い早めの受診を勧めます。妊娠中期のトラブルは腰痛、皮膚掻痒、妊娠線、動悸、貧血など、後期は仰臥位低血圧、こむら返り、胃部圧迫感、浮腫などが中心です。時期ごとの症状を整理しておくと国試でも臨床でも役立ちます。
妊娠期のマイナートラブルを時期別(初期・中期・後期)に区別でき、Aさんの妊娠週数に対応する症状を選べるかを問う設問です。
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