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新生児の正常所見を覚えよう 胎脂・モロー反射・中毒性紅斑

看護師国家試験 第106回 午前 第107問 / 母性看護学 / 状況設定問題

国試問題にチャレンジ

106回 午前 第107問

在胎40週2日、正常分娩で出生した男児。出生時体重3,300g、身長48.5cm。生後1日の体重は3,200g。バイタルサインは腋窩温37.2℃、呼吸数70/分、心拍数130/分。出生後24時間までに、排尿が1回、排便が1回みられた。 生後2日、医師の診察で問題がないことが確認され、母児同室を開始した。身体測定を行うため、児を新生児室に移送した。児は四肢を屈曲させた姿勢で、体重計に乗せたとき両手を広げ、そのまま上肢を伸ばし抱きかかえるような動きをした。腹部には境界の不明瞭な紅斑が散在し、腋窩と鼠径部にはクリーム状のものが付着していた。 児の看護で適切なのはどれか。

  1. 1.手足を伸ばして寝かせる。
  2. 2.異常な反射があったと医師に報告する。
  3. 3.腹部の紅斑が散在している部位を消毒する。
  4. 4.腋窩と鼠径部のクリーム状の付着物は洗い落とさない。

対話形式の解説

博士 博士

今回は新生児の正常所見をまとめて学ぶ問題じゃ。「異常に見えるが正常」な所見がたくさん詰まっておるぞ。

サクラ サクラ

まず「両手を広げて抱きかかえる動き」って何ですか?

博士 博士

これはモロー反射じゃ。新生児に特徴的な原始反射の一つで、急な刺激(音・体勢変化)に反応して両上肢を広げ、その後抱きつくような動きをする。

サクラ サクラ

いつまで続くんですか?

博士 博士

生後3〜6か月で消失する。モロー反射が左右非対称だと腕神経麻痺や鎖骨骨折を疑う。逆に6か月以降も残ると脳性麻痺などの中枢神経障害の可能性が出てくるのじゃ。

サクラ サクラ

他の原始反射は何がありますか?

博士 博士

吸啜反射、把握反射、バビンスキー反射、自動歩行反射、緊張性頸反射などじゃ。全部原始反射で、発達とともに消失していく。

サクラ サクラ

次に「腹部の境界不明瞭な紅斑」って何ですか?

博士 博士

新生児中毒性紅斑じゃ。生後2〜3日に顔や体幹に出る紅斑で、名前に「中毒性」とあるが病気ではない。生理的な皮膚反応で1週間ほどで自然消退する。

サクラ サクラ

消毒とか塗り薬とか不要なんですね。

博士 博士

その通り。消毒するとかえって皮膚バリアを障害する。新生児の皮膚は成人の半分以下の厚さで非常にデリケートじゃから、むやみに介入しないのが原則じゃ。

サクラ サクラ

腋窩や鼠径部のクリーム状の付着物は?

博士 博士

これが胎脂(vernix caseosa)じゃ。皮脂腺分泌物と剥離した角質からなる白〜黄白色の脂性物質で、在胎後期の児ほど多い。

サクラ サクラ

何の役割があるんですか?

博士 博士

胎内では羊水から皮膚を守り、出生後は乾燥や感染から皮膚を保護するバリアになる。自然に吸収・剥離するから洗い落とさず残すのが正解じゃ。

サクラ サクラ

最後に四肢を伸ばして寝かせるのがダメな理由は?

博士 博士

新生児は子宮内で丸まった姿勢をとっていた名残で、四肢屈曲姿勢が自然じゃ。特に股関節は屈曲・外転位を保つことで先天性股関節脱臼を予防できる。

サクラ サクラ

だから抱っこも「コアラ抱っこ」がいいんですね。

博士 博士

その通り。M字型に脚を開く姿勢が生理的じゃ。逆におむつをきつく巻いたり脚を伸ばすと股関節脱臼のリスクが上がる。

サクラ サクラ

新生児って「正常だけど異常っぽい」所見がたくさんありますね。

博士 博士

うむ。他にも生理的黄疸、生理的体重減少、新生児尋常性ざ瘡、マジックミルク(新生児の乳腺腫脹)など、見た目驚くが正常な現象が多い。家族が不安にならないよう看護師が説明することも大切じゃ。

サクラ サクラ

家族への説明も看護師の役割なんですね。

博士 博士

その通り。医学的知識を噛み砕いて伝え、「これは自然に治りますから大丈夫ですよ」と安心させる。それが母性看護の核心じゃな。

POINT

新生児には「異常に見えるが正常」な所見が多数存在します。モロー反射は両上肢を広げて抱きつくような原始反射で生後3〜6か月で消失します。新生児中毒性紅斑は生後2〜3日に出現する生理的皮膚反応で1週間で自然消退します。胎脂は腋窩・鼠径部に残るクリーム状の物質で皮膚保護作用を持ち、自然剥離を待ちます。四肢屈曲姿勢は子宮内肢位の名残で股関節脱臼予防に重要です。これらを異常と誤認せず、かつ家族に「正常ですよ」と丁寧に説明できることが新生児看護師に求められる基本姿勢であり、母性・小児看護の核心的知識といえます。

解答・解説

正解は 4 です

問題文:在胎40週2日、正常分娩で出生した男児。出生時体重3,300g、身長48.5cm。生後1日の体重は3,200g。バイタルサインは腋窩温37.2℃、呼吸数70/分、心拍数130/分。出生後24時間までに、排尿が1回、排便が1回みられた。 生後2日、医師の診察で問題がないことが確認され、母児同室を開始した。身体測定を行うため、児を新生児室に移送した。児は四肢を屈曲させた姿勢で、体重計に乗せたとき両手を広げ、そのまま上肢を伸ばし抱きかかえるような動きをした。腹部には境界の不明瞭な紅斑が散在し、腋窩と鼠径部にはクリーム状のものが付着していた。 児の看護で適切なのはどれか。

解説:正解は 4 です。腋窩や鼠径部にみられるクリーム状の付着物は「胎脂(vernix caseosa)」である。胎脂は皮脂腺分泌物と剥離した角質からなる白色の脂性物質で、胎児期に皮膚を羊水から保護し、出生後も新生児の薄い皮膚を乾燥や感染から守る重要なバリア機能を持つ。生後自然に吸収・剥離していくため、無理に洗い落とさず残すのが適切な看護である。

選択肢考察

  1. × 1.  手足を伸ばして寝かせる。

    新生児は子宮内の肢位を保った四肢屈曲姿勢が正常。無理に伸ばすと股関節脱臼などのリスクがあり、自然な屈曲位を保つ。

  2. × 2.  異常な反射があったと医師に報告する。

    両手を広げて抱きかかえるような動きはモロー反射で、正常な原始反射である。生後3〜6か月で消失する。異常所見ではなく報告不要。

  3. × 3.  腹部の紅斑が散在している部位を消毒する。

    境界不明瞭な紅斑は新生児中毒性紅斑で、生理的な皮膚反応。数日で自然消退するため消毒は不要で、かえって皮膚バリアを障害する。

  4. 4.  腋窩と鼠径部のクリーム状の付着物は洗い落とさない。

    胎脂は皮膚を保護するバリア機能を持ち、自然に吸収・剥離する。新生児の薄い皮膚を守るため、無理に除去しない。

新生児の皮膚・姿勢・反射の正常所見:(1)胎脂は皮脂腺分泌物と剥離角質からなる脂性物質で皮膚保護作用を持つ。(2)新生児中毒性紅斑は生後2〜3日に顔・体幹に出現する境界不明瞭な紅斑で、1週間程度で自然消退。(3)四肢屈曲姿勢は子宮内肢位の名残で、股関節は自然屈曲・外転位が望ましい。(4)モロー反射は突然の刺激に対し両上肢を広げ抱きつくような動きで、生後3〜6か月で消失する原始反射。他の原始反射には吸啜反射、把握反射、バビンスキー反射、歩行反射、緊張性頸反射などがある。これらを「異常」と誤認しないことが新生児看護の基本。

新生児の正常な生理所見(胎脂・中毒性紅斑・モロー反射・屈曲位)を異常と誤認しないかを問う問題。すべて「触らない・伸ばさない・消毒しない・残す」が正解。