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上の子の赤ちゃん返りへの支援

看護師国家試験 第107回 午後 第116問 / 母性看護学 / 状況設定問題

国試問題にチャレンジ

107回 午後 第116問

Aさん( 34歳、経産婦 )は、夫( 35歳 )と長男のB君( 3歳 )との3人暮らし。これまでの妊娠経過に異常はなかった。20時に体重3,150gの男児を正常分娩した。分娩所要時間は6時間30分、分娩時出血量は480mLであった。第1度会陰裂傷のため、縫合術を受けた。その他の分娩の経過に問題はなかった。 産褥5日。Aさんの退院のため、夫とB君が迎えに来た。AさんはB君の自宅での様子を夫から聞いた。B君は「ご飯を食べさせてほしい」と訴えたり、「赤ちゃんを家に連れて来ないで」と泣いたりしていたという。そのことを知ったAさんはB君を抱きしめ、B君の話をゆっくり聞いていた。Aさんは退院後のB君への対応について心配になり、看護師に相談した。 Aさんへの説明で最も適切なのはどれか。

  1. 1.「B君に好きな物を食べさせましょう」
  2. 2.「B君の世話は夫にしてもらいましょう」
  3. 3.「B君と一緒に赤ちゃんの世話をしましょう」
  4. 4.「B君に兄としてしっかりするように話しましょう」

対話形式の解説

博士 博士

B君はご飯を食べさせてと甘えたり、赤ちゃんを連れて来ないでと泣いたりしとるのう。

アユム アユム

これは典型的な赤ちゃん返り、退行現象ですね。

博士 博士

そうじゃ。なぜ起こるか説明できるか?

アユム アユム

母親の愛情を新生児に奪われるのではないかという不安の表れです。

博士 博士

そのとおり。AさんはすでにB君を抱きしめて話を聞いておる。素晴らしい対応じゃな。

アユム アユム

退院後の助言としては『赤ちゃんの世話を一緒にしましょう』が適切ですね。

博士 博士

うむ。なぜ一緒にやるのが良いのじゃ?

アユム アユム

母と一緒に関わることで愛情が奪われていないと実感でき、兄としての役割意識も育つからです。

博士 博士

選択肢1の『好きな物を食べさせる』はどうじゃ?

アユム アユム

退行は食事の好みの問題ではなく愛情確認なので、根本解決にならず偏食も助長しかねません。

博士 博士

『夫に世話をしてもらう』は?

アユム アユム

父親の関与は大切ですが、母から引き離す方針は『自分はいらない子』と感じさせ逆効果です。

博士 博士

『兄としてしっかり』は?

アユム アユム

3歳児に役割を押し付けると自己否定感が強まり、退行が悪化します。

博士 博士

よく理解しておる。対応のコツは『否定しない』『二人だけの時間をつくる』『お手伝いしてもらって感謝を伝える』『できていたことを褒める』じゃ。

アユム アユム

スキンシップを意識して、安心感を積み重ねていくことが大切なんですね。

博士 博士

そのとおり。赤ちゃん返りは愛情確認のサインと覚えておくとよい。

POINT

本問は同胞出生に伴う上の子の退行現象への対応を問うています。B君の訴えは赤ちゃん返りで、母親の愛情を確認したい欲求の表れです。母親と一緒に新生児のケアに参加させることで、愛情を奪われていないという安心と兄としての役割意識を同時に育みます。好物で気をそらす、父親に任せる、兄として頑張らせるといった対応は退行を長引かせます。否定せず、二人だけの時間とお手伝い役を確保し、安心感を与える支援が基本です。

解答・解説

正解は 3 です

問題文:Aさん( 34歳、経産婦 )は、夫( 35歳 )と長男のB君( 3歳 )との3人暮らし。これまでの妊娠経過に異常はなかった。20時に体重3,150gの男児を正常分娩した。分娩所要時間は6時間30分、分娩時出血量は480mLであった。第1度会陰裂傷のため、縫合術を受けた。その他の分娩の経過に問題はなかった。 産褥5日。Aさんの退院のため、夫とB君が迎えに来た。AさんはB君の自宅での様子を夫から聞いた。B君は「ご飯を食べさせてほしい」と訴えたり、「赤ちゃんを家に連れて来ないで」と泣いたりしていたという。そのことを知ったAさんはB君を抱きしめ、B君の話をゆっくり聞いていた。Aさんは退院後のB君への対応について心配になり、看護師に相談した。 Aさんへの説明で最も適切なのはどれか。

解説:正解は3です。B君は自分でできていた食事を『食べさせて』と甘え、赤ちゃんの存在を拒むなど、典型的な『赤ちゃん返り(退行現象)』を示しています。これは母親の愛情を新生児に奪われる不安の表れです。上の子を新生児と一緒にケアに参加させることで、『母親の愛情は奪われていない』『自分も大切にされている』と実感でき、同時に兄としての自覚を育む機会にもなります。Aさんがすでに抱きしめ話を聞いている姿勢は適切であり、退院後も母子三人で関わる形を提案するのが最も適切です。

選択肢考察

  1. × 1.  「B君に好きな物を食べさせましょう」

    退行は食欲の問題ではなく愛情確認の欲求です。好物で気を紛らわせる対応では根本的な不安は解決されず、偏食を助長する恐れもあります。

  2. × 2.  「B君の世話は夫にしてもらいましょう」

    父親の関与は重要ですが、母親から引き離す方針は『母に必要とされていない』と感じさせ、退行や不安を悪化させる可能性があります。

  3. 3.  「B君と一緒に赤ちゃんの世話をしましょう」

    母親と一緒に新生児のケアに参加することで、愛情を共有できる安心感と兄としての役割意識が育ちます。赤ちゃん返りへの基本的な対応です。

  4. × 4.  「B君に兄としてしっかりするように話しましょう」

    3歳児に役割を押し付けると退行を強め、自己否定感を生じさせます。発達段階に合わない期待は避けるべきです。

赤ちゃん返りは同胞出生後の上の子に広くみられる正常な反応で、数週間から数か月で落ち着くのが一般的です。対応のポイントは『否定しない』『上の子と二人だけの時間をつくる』『一緒にお世話をしてもらい感謝を伝える』『できていたことを褒める』の4点です。父親や祖父母の協力を得ながらも、母親とのスキンシップを意識的に確保することが安心感につながります。

赤ちゃん返りは愛情確認のサイン。上の子を『お手伝い役』として一緒に関わらせ、役割と愛情を同時に保障しましょう。