働く妊婦の就業制度と時差出勤
看護師国家試験 第108回 午前 第106問 / 母性看護学 / 状況設定問題
国試問題にチャレンジ
次の文を読み問いに答えよ。 Aさん(34歳、初産婦)は、夫(37歳、会社員)と2人暮らし。事務の仕事をしている。身長157cm、非妊時体重54kg。妊娠24週日の妊婦健康診査時の体重58kgで4週前から1.5kg増加している。血圧128/88mmHg。尿蛋白(±)、尿糖(−)。浮腫(±)。Hb10g/dL、Ht30%。子宮底長22.5cm、腹囲84cm。胎児推定体重700g。非妊時より白色の腟分泌物は多いが、搔痒感はない。 妊婦健康診査後、Aさんは看護師に「毎朝30分、電車内で立ち続けているので職場までの通勤がとても疲れます」と話した。看護師はAさんに、就労する妊娠中の女性に関する制度について説明した。 Aさんがこの時点で取得できるのはどれか。
- 1.産前休業
- 2.時差出勤
- 3.就業の制限
- 4.所定労働時間の短縮
対話形式の解説
博士
Aさんは妊娠24週、事務職で毎朝30分電車で立ちっぱなしの通勤が辛いそうじゃな。この時点で使える制度はどれじゃ?
アユム
選択肢を見ると、産前休業から所定労働時間短縮までいろいろありますね。
博士
まず産前休業から整理しよう。労働基準法第65条で出産予定日前6週間、多胎では14週間前からじゃ。Aさんは妊娠24週、まだ該当せんな。
アユム
妊娠何週から取れるか覚えておく必要がありますね。
博士
そうじゃ。では正解は2の時差出勤じゃが、これは何法に基づく制度じゃ?
アユム
男女雇用機会均等法ですか?
博士
正解。男女雇用機会均等法第13条の『母性健康管理措置』で、医師等の指導に基づき事業主は通勤緩和などの措置を講じる義務がある。妊娠全期間を通じて申請できるのがポイントじゃ。
アユム
3の就業の制限はどういう場合ですか?
博士
労働基準法第64条の3に基づく危険有害業務の制限じゃ。重量物取扱い、有毒ガス発生場所での業務など、母体や胎児に有害な業務が対象。事務職のAさんには該当せん。
アユム
4の所定労働時間の短縮は?
博士
これは育児・介護休業法第23条による短時間勤務制度で、3歳未満の子を育てる労働者が対象じゃ。まだ出産前のAさんは使えん。
アユム
時差出勤を申請する時ってどうするんですか?
博士
『母性健康管理指導事項連絡カード』、通称母健連絡カードが便利じゃよ。医師が必要な措置を記入し、それを事業主に提出することで対応してもらえる。
アユム
他にも妊婦が使える制度はありますか?
博士
たくさんあるぞ。労働基準法では軽易業務への転換、時間外・深夜業・変形労働時間制の制限。均等法では妊婦健診のための通院時間確保。これらも重要じゃ。
アユム
通院時間の確保って具体的には?
博士
妊娠23週までは4週に1回、24〜35週は2週に1回、36週以降は1週に1回の健診時間を確保するよう事業主に義務づけられておる。
アユム
Aさんも今後健診回数が増えていきますね。
博士
そのとおり。看護師が制度を正しく伝えることで、妊婦は安心して仕事と妊娠生活を両立できる。母性看護の重要な役割じゃな。
アユム
法律ごとに何が定められているか整理して覚えます。
博士
労基法・均等法・育介法の三本柱で押さえると整理しやすいぞ。
POINT
本問は妊娠中の就労女性が利用できる法的制度を問う問題です。産前休業は労基法で出産予定日前6週(多胎14週)から、時差出勤は男女雇用機会均等法の母性健康管理措置として妊娠全期で申請可能、就業制限は危険有害業務が対象、所定労働時間短縮は育介法で3歳未満児の養育者が対象です。妊娠24週で通勤疲労を訴えるAさんには時差出勤が最適で、母健連絡カードを活用することで円滑な運用が可能となります。
解答・解説
正解は 2 です
問題文:次の文を読み問いに答えよ。 Aさん(34歳、初産婦)は、夫(37歳、会社員)と2人暮らし。事務の仕事をしている。身長157cm、非妊時体重54kg。妊娠24週日の妊婦健康診査時の体重58kgで4週前から1.5kg増加している。血圧128/88mmHg。尿蛋白(±)、尿糖(−)。浮腫(±)。Hb10g/dL、Ht30%。子宮底長22.5cm、腹囲84cm。胎児推定体重700g。非妊時より白色の腟分泌物は多いが、搔痒感はない。 妊婦健康診査後、Aさんは看護師に「毎朝30分、電車内で立ち続けているので職場までの通勤がとても疲れます」と話した。看護師はAさんに、就労する妊娠中の女性に関する制度について説明した。 Aさんがこの時点で取得できるのはどれか。
解説:正解は 2 です。男女雇用機会均等法第13条に基づく『母性健康管理措置』として、妊娠中の女性労働者は医師等から指導を受けた場合、事業主に対し通勤緩和(時差出勤、勤務時間短縮、交通手段の変更等)、休憩に関する措置、症状等への対応(作業制限・休業等)を申し出ることができます。これは妊娠全期間を通じて利用可能な制度で、Aさんの『通勤時の立ちっぱなし疲労』は時差出勤によってラッシュを避けることで軽減できるため、現時点で取得できる最適な制度です。
選択肢考察
-
× 1. 産前休業
産前休業は労働基準法第65条により出産予定日前6週間(多胎は14週間)から取得可能で、妊娠24週のAさんはまだ該当しません。
-
○ 2. 時差出勤
男女雇用機会均等法に基づく母性健康管理措置の通勤緩和の一環で、妊娠全期間を通じて申請可能です。
-
× 3. 就業の制限
労働基準法による危険有害業務の就業制限は重量物取扱い等が対象で、事務職のAさんには該当しません。
-
× 4. 所定労働時間の短縮
育児・介護休業法の所定労働時間短縮(短時間勤務)は3歳未満の子を養育する労働者が対象で、妊娠中のAさんは該当しません。
働く妊産婦を守る主な法律:(1)労働基準法—産前6週/産後8週の休業、深夜業・時間外労働・変形労働時間制の制限、軽易業務への転換、危険有害業務制限、(2)男女雇用機会均等法—妊婦健診のための通院時間確保、医師の指導に基づく母性健康管理措置(通勤緩和、休憩、作業制限等)、(3)育児・介護休業法—育児休業、3歳未満児の短時間勤務、所定外労働制限、子の看護休暇。『母性健康管理指導事項連絡カード(母健連絡カード)』を事業主に提出することで医師の指導内容が伝わります。
妊娠中の就労女性が利用できる法律・制度を妊娠週数ごとに整理して理解しているかを問う問題です。
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