新生児アセスメントの基準値、まるごと整理してみよう
看護師国家試験 第114回 午前 第114問 / 母性看護学 / 状況設定問題
国試問題にチャレンジ
<問112〜問114は同一の症例設定に基づきます。各問は前問までの状況を引き継いで解答してください。> 問112はこちら 次の文を読み、問いに答えよ。 Aさん(36歳、経産婦)は、夫(35歳)、男児(3歳)と3人で暮らしている。妊娠、分娩経過は順調で、妊娠39週5日で3,200gの女児を経腟分娩で出産した。1分後のApgar<アプガー>スコア9点、5分後のApgar<アプガー>スコア10点であった。産褥1日、Aさんの子宮底は臍下2横指、硬度良好、悪露は赤色であった。「1人目の出産後よりもお腹が痛くて眠れませんでした」と看護師に話す。 日齢4、Aさんの児の体重は3,100g。体温37.1℃、呼吸数48/分、心拍数130/分。経皮ビリルビン10.0mg/dL。排尿9回/日、排便8回/日。 児のアセスメントで正しいのはどれか。
- 1.経皮ビリルビン値は光線療法が必要な値である。
- 2.生理的体重減少の範囲を超えている。
- 3.バイタルサインは正常である。
- 4.排尿回数が少ない。
対話形式の解説
博士
今日は日齢4のAさんの児を評価する問題じゃ。体温37.1℃、呼吸数48、心拍数130、経皮ビリルビン10.0、体重3,100g、排尿9回、排便8回。さあ、何が正常で何が異常じゃろう?
アユム
情報がいっぱいですね…まずバイタルサインから見ます。新生児の体温は確か36.5〜37.5℃ですよね?
博士
そうじゃ。呼吸数は40〜60回/分、心拍数は120〜160回/分。体温37.1℃、呼吸48、心拍130はすべて範囲内じゃな。
アユム
じゃあバイタルサインは正常ですね。体重はどうでしょう?
博士
出生時3,200g、日齢4で3,100g。体重減少率を計算してみい。
アユム
(3,200−3,100)÷3,200×100=3.125%ですね。
博士
その通り。生理的体重減少は出生体重の最大10%までが許容範囲。3.1%は十分に正常じゃ。
アユム
じゃあ「生理的体重減少の範囲を超えている」は誤りですね。経皮ビリルビン10.0mg/dLはどうでしょう?
博士
生理的黄疸は生後4〜5日にピークを迎えて、7〜10日で消退する。日齢4で10.0は生理的範囲内。光線療法の目安はおおむね15mg/dL以上じゃ。
アユム
では「光線療法が必要」も誤りですね。排尿9回/日は?
博士
新生児は1日6回以上の排尿で水分摂取が足りていると判断する。9回はむしろ十分じゃ。
アユム
すると正解は「バイタルサインは正常である」だけですね。
博士
その通り。こういう「全部の数値を正常基準と照らす」問題は、基準値を暗記しておかんと迷うぞ。
アユム
生理的黄疸って、なんで起きるんですか?
博士
新生児は胎児期に多かった赤血球が一気に壊されてビリルビンが増える一方、肝のグルクロン酸抱合能がまだ未熟なんじゃ。だから一時的に黄疸が出る。
アユム
それで5日目あたりがピークで、母乳育児の場合はもう少し続くこともあるんですね。
博士
母乳性黄疸じゃな。生後1か月くらいまで遷延することもあるが、ビリルビン値が極端に高くなければ授乳は中断せず続けるのが基本じゃ。
アユム
新生児って数字だらけですが、基準値を一度きれいに整理すると、こういう「総合判断」問題も解きやすいですね。
博士
そう。バイタル・体重・黄疸・排泄の4つを正常範囲と照らし合わせるクセをつけるとよいぞ。
POINT
新生児期のアセスメントは、体温36.5〜37.5℃、呼吸数40〜60回/分、心拍数120〜160回/分というバイタルサインの正常値、出生体重の最大10%までという生理的体重減少の範囲、日齢4で15mg/dL程度を超えると光線療法を考慮する黄疸の管理基準、1日6回以上が目安となる排尿回数といった指標を総合的に判断します。Aさんの児は、体温37.1℃、呼吸数48、心拍数130とすべて基準範囲内で、体重減少率も3.1%、ビリルビン10.0mg/dLは生理的範囲、排尿9回/日も十分であり、唯一正しい評価は「バイタルサインは正常である」となります。生理的黄疸は赤血球の生理的崩壊と肝のグルクロン酸抱合能の未熟性によって生じ、生後4〜5日でピークを迎えて1〜2週間で消退します。新生児は急変しやすく、わずかな逸脱が重篤化に直結するため、正常範囲を正確に押さえてアセスメントすることが命を守る看護の出発点です。各基準値を表形式で整理して暗記し、本問のような複合判断問題に強くなりましょう。
解答・解説
正解は 3 です
問題文:<問112〜問114は同一の症例設定に基づきます。各問は前問までの状況を引き継いで解答してください。> 問112はこちら 次の文を読み、問いに答えよ。 Aさん(36歳、経産婦)は、夫(35歳)、男児(3歳)と3人で暮らしている。妊娠、分娩経過は順調で、妊娠39週5日で3,200gの女児を経腟分娩で出産した。1分後のApgar<アプガー>スコア9点、5分後のApgar<アプガー>スコア10点であった。産褥1日、Aさんの子宮底は臍下2横指、硬度良好、悪露は赤色であった。「1人目の出産後よりもお腹が痛くて眠れませんでした」と看護師に話す。 日齢4、Aさんの児の体重は3,100g。体温37.1℃、呼吸数48/分、心拍数130/分。経皮ビリルビン10.0mg/dL。排尿9回/日、排便8回/日。 児のアセスメントで正しいのはどれか。
解説:正解は 3 です。日齢4の新生児のバイタルサインの基準は、体温36.5〜37.5℃、呼吸数40〜60回/分、心拍数120〜160回/分です。Aさんの児は体温37.1℃、呼吸数48回/分、心拍数130回/分でいずれも基準範囲に収まっています。体重減少率は(3,200−3,100)÷3,200×100=3.1%で正常範囲(生理的体重減少は出生時体重の最大10%まで)。経皮ビリルビン10.0mg/dLは日齢4の正期産児の生理的黄疸の範囲で光線療法の適応ではなく、排尿9回/日も6回以上の基準を満たしているため、正しいアセスメントは「バイタルサインは正常である」のみです。
選択肢考察
-
× 1. 経皮ビリルビン値は光線療法が必要な値である。
正期産児の光線療法開始基準は出生後の時間と体重で異なるが、日齢4ではおおむね15mg/dL以上が一つの目安。10.0mg/dLは生理的黄疸の範囲で経過観察となる値であり、光線療法は適応にならない。
-
× 2. 生理的体重減少の範囲を超えている。
出生体重3,200g、現体重3,100gで体重減少率は約3.1%。生理的体重減少は最大で出生体重の10%までとされており、十分に正常範囲内である。10%を超える場合に病的体重減少を疑う。
-
○ 3. バイタルサインは正常である。
新生児の正常値は体温36.5〜37.5℃、呼吸数40〜60回/分、心拍数120〜160回/分。Aさんの児はいずれも基準範囲内で、循環・呼吸・体温調整が安定していると判断できる。
-
× 4. 排尿回数が少ない。
新生児の排尿回数は1日6回以上が哺乳・水分摂取量の指標とされる。9回/日は十分な回数で、むしろ哺乳が順調に進んでいることを示す。
新生児期のアセスメントで覚えるべき正常値は、体温36.5〜37.5℃、呼吸数40〜60回/分、心拍数120〜160回/分、収縮期血圧60〜80mmHg。生理的体重減少は出生体重の最大10%まで、通常生後2〜3日でピークとなり、生後7〜10日で出生体重に戻る。生理的黄疸は生後2〜3日に出現、4〜5日でピーク、7〜10日で消退する。光線療法基準(村田・井村の基準)は体重・日齢で細かく規定される。排尿は生後24時間以内に初回、その後1日6回以上、排便は1日3〜8回程度が目安となる。
新生児の正常値(バイタルサイン・体重減少・黄疸・排尿)を総合的に判断するアセスメント問題。各指標の基準値を正確に押さえる必要がある。
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