先天異常の特徴を整理しよう
看護師国家試験 第108回 午前 第61問 / 小児看護学 / 慢性疾患・障害のある子どもと家族への看護
国試問題にチャレンジ
先天異常で正しいのはどれか。
- 1.軟骨無形成症(achondroplasia)は低身長になる。
- 2.Turner<ターナー>症候群(Turner syndrome)は高身長になる。
- 3.Klinefelter<クラインフェルター>症候群(Klinefelter syndrome)は低身長になる。
- 4.Pierre Robin<ピエール・ロバン>症候群(Pierre Robin syndrome)は巨舌症(macroglossia)がある。
対話形式の解説
博士
今日は第108回の問題で、先天異常に関する問題を扱うぞ。選択肢に軟骨無形成症、ターナー症候群、クラインフェルター症候群、ピエール・ロバン症候群が並んでいるんじゃ。
サクラ
博士、こんなにたくさんの疾患を一度に覚えるのは大変です…。
博士
そうじゃな。まずは「染色体異常」と「骨系統疾患」のグループに分けるのがコツじゃ。ターナーとクラインフェルターは性染色体異常、軟骨無形成症は遺伝子変異による骨系統疾患、ピエール・ロバンは顎顔面の発生異常じゃ。
サクラ
なるほど!それで正解はどれですか?
博士
正解は1番じゃ。軟骨無形成症はFGFR3遺伝子の変異で軟骨内骨化が障害され、四肢の近位部が短くなる「四肢短縮型低身長」が特徴なんじゃ。
サクラ
四肢の近位部というと?
博士
上腕や大腿のことじゃ。特徴的な「三尖手」といって、指を伸ばすと中指と薬指の間が離れる所見もあるぞ。
サクラ
選択肢2のターナー症候群は高身長になるんですか?
博士
逆じゃ!ターナー症候群は45,XOなどX染色体の欠損で、SHOX遺伝子のハプロ不全によって低身長になるんじゃ。卵巣形成不全、翼状頸、外反肘も覚えておくと良いぞ。
サクラ
クラインフェルター症候群は逆に高身長なんですね。
博士
その通り。47,XXYでX染色体が過剰な男性に起こり、四肢が細長く高身長傾向になる。小精巣や無精子症、女性化乳房が特徴じゃ。
サクラ
ピエール・ロバン症候群の巨舌症というのは?
博士
これは誤りじゃ。ピエール・ロバンの三徴は小顎症・舌根沈下・口蓋裂で、むしろ舌が後方に落ち込むので出生時に気道閉塞のリスクがあるんじゃ。
サクラ
巨舌症はどの疾患でみられるんですか?
博士
ベックウィズ・ヴィーデマン症候群や先天性甲状腺機能低下症(クレチン症)が有名じゃな。
サクラ
疾患ごとに低身長か高身長か、特徴的な所見をセットで覚えるといいですね。
博士
その通り。軟骨無形成症、ターナー症候群、ダウン症候群は低身長、クラインフェルターとマルファン症候群は高身長、と整理しておくと国試で迷わんぞ。
POINT
先天異常の問題では、染色体異常と骨系統疾患、顎顔面異常をグループごとに整理することが重要です。軟骨無形成症はFGFR3遺伝子変異による四肢短縮型低身長が特徴で、ターナー症候群も低身長、クラインフェルター症候群は高身長傾向、ピエール・ロバン症候群は小顎症・舌根沈下・口蓋裂の三徴をとります。疾患ごとに特徴的な身長変化と所見をセットで暗記することで、類似問題にも対応できる力が身につきます。
解答・解説
正解は 1 です
問題文:先天異常で正しいのはどれか。
解説:正解は 1 です。軟骨無形成症はFGFR3(線維芽細胞増殖因子受容体3)遺伝子の変異(多くは新生突然変異、常染色体顕性遺伝)により軟骨内骨化が障害される骨系統疾患で、四肢(特に近位部=上腕・大腿)の短縮と著明な低身長、三尖手、大きな頭囲、前額突出、鼻根部陥凹などの特徴的顔貌を呈します。
選択肢考察
-
○ 1. 軟骨無形成症(achondroplasia)は低身長になる。
軟骨無形成症は軟骨内骨化の障害により四肢短縮型の低身長を呈する代表的な骨系統疾患で、成人身長は男性約130cm、女性約125cm程度にとどまります。
-
× 2. Turner<ターナー>症候群(Turner syndrome)は高身長になる。
ターナー症候群はX染色体の一方が完全または部分的に欠損する女性の性染色体異常(45,X等)で、SHOX遺伝子のハプロ不全により低身長となり、卵巣形成不全、翼状頸、外反肘などを伴います。
-
× 3. Klinefelter<クラインフェルター>症候群(Klinefelter syndrome)は低身長になる。
クラインフェルター症候群は47,XXYなどX染色体が過剰な男性の性染色体異常で、むしろ四肢が細長く高身長傾向となり、小精巣・無精子症・女性化乳房などを呈します。
-
× 4. Pierre Robin<ピエール・ロバン>症候群(Pierre Robin syndrome)は巨舌症(macroglossia)がある。
ピエール・ロバン症候群の三徴は小顎症(下顎後退)・舌根沈下(舌が後方に落ち込む)・口蓋裂であり、巨舌症ではありません。巨舌症はベックウィズ・ヴィーデマン症候群や先天性甲状腺機能低下症などでみられます。
骨系統疾患のなかでも軟骨無形成症はFGFR3遺伝子異常が原因で、知能は正常に発達しますが、大後頭孔狭窄、水頭症、脊柱管狭窄症、中耳炎反復などの合併症に注意が必要です。染色体異常疾患(ターナー、クラインフェルター、ダウン等)と骨系統疾患(軟骨無形成症、骨形成不全症等)は分けて整理しましょう。
代表的な先天異常疾患について、症状と低身長・高身長の区別を正確に理解しているかを問う問題です。
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