ADHDの中核症状を整理しよう
看護師国家試験 第108回 午前 第66問 / 小児看護学 / 慢性疾患・障害のある子どもと家族への看護
国試問題にチャレンジ
注意欠如・多動性障害<ADHD>(attention deficit hyperactivity disorder)症状はどれか。
- 1.音声チックが出現する。
- 2.計算を習得することが困難である。
- 3.課題や活動に必要なものをしばしば失くしてしまう。
- 4.読んでいるものの意味を理解することが困難である。
対話形式の解説
博士
今日は注意欠如・多動性障害、ADHDの症状について学ぶぞ。小児看護や精神看護でよく問われる発達障害の代表じゃ。
アユム
博士、ADHDの症状にはどんなものがありますか?
博士
ADHDの中核症状は3つ。①不注意、②多動性、③衝動性じゃ。この問題の正解は3番「課題や活動に必要なものをしばしば失くしてしまう」で、これは不注意症状の代表例じゃ。
アユム
鉛筆や宿題、鍵をよく失くすというやつですね。
博士
その通りじゃ。他にもケアレスミス、注意の持続困難、指示を最後まで聞けない、忘れ物が多い、集中が続かないなどが不注意症状にあたるぞ。
アユム
多動性や衝動性はどんな症状ですか?
博士
多動性は落ち着きなく動き回る、席に座っていられない、おしゃべりが止まらない。衝動性は順番を待てない、質問が終わる前に答えてしまう、他人の会話に割り込むなどじゃ。
アユム
選択肢1の「音声チック」はADHDですか?
博士
違うぞ。音声チックはトゥレット症候群などチック障害の症状じゃ。ただしADHDとチック障害が併存することはあるんじゃ。
アユム
選択肢2の「計算の習得困難」は?
博士
これは限局性学習症、SLDあるいはLDの症状じゃ。特に算数障害と呼ばれる。ADHDでは不注意によるケアレスミスはあっても計算能力そのものは問題ないんじゃ。
アユム
選択肢4の「読んでいるものの意味を理解することが困難」は?
博士
これも限局性学習症のうち読字障害、いわゆるディスレクシアの症状じゃ。ADHDでは注意が続かず最後まで読めないことはあっても、読解能力自体の障害ではない。
アユム
発達障害をしっかり区別する必要があるんですね。
博士
そうじゃ。ADHDとSLDは併存することも多いが、国試では「典型症状がどの診断名にあたるか」を問われるから、分けて覚えることが重要じゃ。
アユム
DSM-5ではADHDはどう分類されていますか?
博士
「神経発達症群」に分類され、不注意優勢型・多動衝動性優勢型・混合型の3サブタイプがあるぞ。自閉スペクトラム症ASDやSLDとも併存しやすい。
アユム
治療はどうなっていますか?
博士
薬物療法ではメチルフェニデートのコンサータ、アトモキセチンのストラテラ、グアンファシンのインチュニブなどが使われる。加えて環境調整や行動療法などの心理社会的介入を組み合わせるんじゃ。
アユム
看護師は子どもの行動特性を理解して関わる必要があるんですね。
博士
まさにその通りじゃ。叱責ではなく成功体験を積ませる関わりが自己肯定感の維持につながるぞ。
POINT
ADHDは不注意・多動性・衝動性を中核症状とする神経発達症で、必要なものをなくす、忘れ物が多い、順番を待てないなどの症状が典型です。計算障害や読解障害は限局性学習症、音声チックはチック障害の症状で、鑑別が重要です。治療は薬物療法と心理社会的介入を組み合わせ、看護師は子どもの特性を理解し成功体験を積ませる関わりが求められます。
解答・解説
正解は 3 です
問題文:注意欠如・多動性障害<ADHD>(attention deficit hyperactivity disorder)症状はどれか。
解説:正解は 3 です。ADHDは不注意・多動性・衝動性を中核症状とする神経発達症で、DSM-5の不注意症状には「課題や活動に必要なものをしばしばなくす」「注意の持続困難」「指示に従えない」「忘れっぽい」などが含まれ、学業や社会生活に支障をきたします。
選択肢考察
-
× 1. 音声チックが出現する。
音声チックはトゥレット症候群などのチック障害の症状であり、ADHDの中核症状ではありません。ただしADHDとチック障害が併存することはあります。
-
× 2. 計算を習得することが困難である。
計算障害(算数障害)は限局性学習症(SLD/LD)の症状です。ADHDでは不注意によるケアレスミスはあっても、計算能力自体の習得困難はみられません。併存はあり得ます。
-
○ 3. 課題や活動に必要なものをしばしば失くしてしまう。
DSM-5のADHD診断基準における不注意症状の一つで、鉛筆・教科書・宿題・鍵・携帯電話などの必要物品をよく失くす、忘れ物が多いといった特徴が該当します。
-
× 4. 読んでいるものの意味を理解することが困難である。
読解困難(読字障害・ディスレクシア)は限局性学習症の症状です。ADHDでは注意の持続が難しく最後まで読めないことはあっても、読解能力そのものの障害ではありません。
ADHDはDSM-5では「神経発達症群」に分類され、不注意優勢型・多動衝動性優勢型・混合型の3つのサブタイプがあります。他の発達障害(自閉スペクトラム症ASD、限局性学習症SLD、チック障害など)と併存することも多く、鑑別と併存診断が重要です。治療にはメチルフェニデート(コンサータ)、アトモキセチン(ストラテラ)、グアンファシン(インチュニブ)などの薬物療法と、環境調整・行動療法などの心理社会的介入を組み合わせます。
ADHDの中核症状と他の神経発達症(LD、チック障害など)の症状との鑑別ができるかを問う問題です。
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