生活技能訓練〈SST〉―認知行動療法に基づく退院支援
看護師国家試験 第105回 午前 第59問 / 精神看護学 / 精神疾患・障害がある者への看護
国試問題にチャレンジ
生活技能訓練〈SST〉について正しいのはどれか。
- 1.退院支援プログラムの1つである。
- 2.診断を確定する目的で実施される。
- 3.セルフヘルプグループの一種である。
- 4.精神分析の考え方を応用したプログラムである。
対話形式の解説
博士
今回はSST(Social Skills Training、生活技能訓練)の問題じゃ。精神科リハビリテーションの中核的技法で、理解しておくべき重要なテーマじゃよ。
サクラ
SSTってどういう訓練なんですか?
博士
1970年代にアメリカのLibermanらが体系化した、認知行動療法に基づくリハビリ技法じゃ。精神障害者が社会生活で出会う対人場面や課題に対し、ロールプレイを通じてコミュニケーション技能や問題解決能力を身につけるのが目的なんじゃよ。
サクラ
なるほど、正解は何番ですか?
博士
正解は選択肢1「退院支援プログラムの1つである」じゃ。SSTは入院中から実施され、退院後の社会生活に必要なスキルを身につける退院支援の柱じゃ。1994年には診療報酬にも収載されたぞ。
サクラ
SSTの具体的な進め方はどうなっているんですか?
博士
「課題設定→モデリング(お手本提示)→ロールプレイ(実演)→ポジティブフィードバック→改善点提案と再ロールプレイ→宿題(般化)」という流れじゃ。成功体験を積み重ねて自信を回復するのが鍵じゃよ。
サクラ
選択肢2の「診断を確定する目的」はなぜ誤りですか?
博士
SSTはリハビリ技法で、診断のツールではないんじゃ。診断は問診やDSM/ICDなどの診断基準、各種検査に基づいて行われるものじゃ。
サクラ
選択肢3の「セルフヘルプグループの一種」は?
博士
セルフヘルプグループは同じ問題を抱える当事者同士が主体的に支え合う自助グループのことで、AA(アルコホーリクス・アノニマス)や断酒会が代表例じゃ。SSTは専門家が構造化して指導するプログラムで、枠組みが違うのじゃ。
サクラ
選択肢4の「精神分析の考え方」は?
博士
SSTは認知行動療法を基盤としておる。精神分析は無意識や幼少期の体験を扱う理論で、フロイト系のアプローチじゃ。SSTとは理論的枠組みが異なるのじゃよ。
サクラ
代表的なSSTモジュールにはどんなものがありますか?
博士
服薬自己管理モジュール、症状自己管理モジュール、基本会話、余暇の過ごし方、地域再参加モジュールなどが有名じゃ。対象は統合失調症が中心じゃが、気分障害、発達障害、認知症にも応用されておる。
サクラ
他の精神科リハビリ技法には何がありますか?
博士
作業療法(OT)、デイケア、心理教育、家族心理教育(家族SST)、ACT(包括型地域生活支援)などがある。それぞれ目的や対象が違うから整理しておくとよいぞ。
サクラ
認知行動療法ベースの構造化されたスキル訓練と覚えます。
POINT
本問は生活技能訓練(SST)の基本的理解を問う問題です。SSTは認知行動療法を基盤とした精神科リハビリテーション技法で、ロールプレイを通じて対人技能や問題解決能力を習得し、社会復帰を目指す退院支援プログラムの1つです。診断目的ではなく、セルフヘルプグループや精神分析とは異なります。服薬自己管理など構造化されたモジュールがあり、統合失調症を中心に幅広い精神疾患に応用されています。
解答・解説
正解は 1 です
問題文:生活技能訓練〈SST〉について正しいのはどれか。
解説:正解は 1 です。生活技能訓練(SST:Social Skills Training)は、1970年代にアメリカのLibermanらが体系化した、認知行動療法に基づく精神科リハビリテーションの技法です。精神障害者が社会生活で直面する対人場面や課題に対し、ロールプレイ(モデリング・リハーサル・フィードバック・正の強化・般化)を通じて、コミュニケーション技能や問題解決能力を習得し、自信を高めて社会復帰を目指すものです。退院支援プログラムの一環として入院中から実施され、服薬自己管理モジュールや症状自己管理モジュールなど構造化されたプログラムがあります。1994年には診療報酬にも収載されました。
選択肢考察
-
○ 1. 退院支援プログラムの1つである。
SSTは精神科リハビリテーションの中核技法として入院中から実施され、退院後の社会生活に必要な対人技能・問題解決能力を身につける退院支援プログラムの1つです。
-
× 2. 診断を確定する目的で実施される。
SSTはリハビリテーション技法であり、診断目的ではありません。診断は問診や診断基準、各種検査に基づいて行われます。
-
× 3. セルフヘルプグループの一種である。
セルフヘルプグループ(自助グループ)は同じ問題を抱える当事者同士が主体的に支え合う集団(AA、断酒会など)で、専門家主導のSSTとは異なります。
-
× 4. 精神分析の考え方を応用したプログラムである。
SSTは認知行動療法を基盤とする技法です。無意識や幼少期の体験を扱う精神分析とは理論的枠組みが異なります。
SSTの基本的な進行は「課題の設定→モデリング(お手本提示)→ロールプレイ(実演)→ポジティブフィードバック→改善点の提案と再ロールプレイ→宿題(般化)」という流れで行われます。代表的なモジュールとして、服薬自己管理、症状自己管理、基本会話、余暇の過ごし方、地域再参加などがあります。対象疾患は統合失調症が中心ですが、気分障害、発達障害、認知症など幅広く応用されています。他の精神科リハビリテーション技法として、作業療法(OT)、デイケア、心理教育、家族心理教育(家族SST)、ACT(包括型地域生活支援)なども押さえておきましょう。
SSTの理論的背景(認知行動療法)、目的(社会復帰のためのスキル習得)、位置付け(退院支援プログラム)を正確に理解しているかを問う問題です。
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