『足がムズムズする』の正体はアカシジア!抗精神病薬の錐体外路症状を見分ける
看護師国家試験 第109回 午前 第66問 / 精神看護学 / 精神疾患・障害がある者への看護
国試問題にチャレンジ
Aさん( 25 歳、男性)は、統合失調症( schizophrenia )と診断された。抗精神病薬の内服を開始した 2 日後、Aさんはそわそわして落ち着かず「足がムズムズする」と歩き回るようになった。 Aさんにみられている状態はどれか。
- 1.アカシジア
- 2.ジストニア
- 3.ジスキネジア
- 4.ミオクローヌス
対話形式の解説
博士
今日は抗精神病薬の副作用、錐体外路症状について学ぶぞ。統合失調症の治療で避けて通れない重要テーマじゃ。
アユム
Aさんは25歳男性で、内服開始2日後に『足がムズムズする』と訴えて歩き回っているんですね。
博士
そうじゃ。この症状はアカシジア、別名『静座不能症』と呼ばれる錐体外路症状の一つじゃ。下肢のムズムズ感や内側からのそわそわ感が特徴で、じっと座っていられず歩き回るのが典型じゃ。
アユム
抗精神病薬の副作用は4つに大別されるんですよね?
博士
うむ。発症時期と症状で整理するのが重要じゃ。急性ジストニアは服用後数時間〜数日、筋の持続収縮で首が傾いたり眼球が上転したりする。アカシジアは数日〜数週で下肢のムズムズ。パーキンソニズムは数週で振戦・筋強剛・無動。そして遅発性ジスキネジアは長期服用後に口唇や舌が不随意に動くのじゃ。
アユム
出現時期で整理すると覚えやすいですね。
博士
Aさんの場合、服用2日後にムズムズ感と落ち着きのなさが出ているから、時期的にも症状的にもアカシジアが最も合致する。
アユム
他の選択肢はどう違うんですか?
博士
ジストニアは『持続的な筋収縮で異常姿勢』、ジスキネジアは『くねくねした不随意運動で長期服用後が多い』、ミオクローヌスは『電撃的なピクつき』じゃ。Aさんの症状とはいずれも異なる。
アユム
なぜ抗精神病薬で錐体外路症状が出るんですか?
博士
統合失調症の陽性症状は脳内ドパミン過剰が関与すると考えられており、治療薬はドパミンD2受容体を遮断する。しかし黒質線条体系のドパミン経路まで遮断してしまうと、錐体外路症状が出るのじゃ。
アユム
ドパミン遮断によるパーキンソン病様の状態なんですね。
博士
その通り。第一世代の定型抗精神病薬ハロペリドールやクロルプロマジンで頻度が高く、第二世代の非定型抗精神病薬リスペリドンやオランザピン、アリピプラゾールでは軽減されているが、ゼロではないのじゃ。
アユム
アカシジアの治療はどうするんですか?
博士
原因薬の減量・変更がまず第一。加えてβ遮断薬プロプラノロール、抗コリン薬、ベンゾジアゼピン系などを使う。アカシジアは非常に不快で、見落とすと自殺リスクにもつながるから看護師の観察が大切じゃ。
アユム
患者さんの『なんとなく落ち着かない』という訴えを見逃さないことが重要ですね。
博士
うむ。錐体外路症状は早期発見・早期対応で軽減できる。観察力が勝負の副作用じゃよ。
POINT
抗精神病薬の副作用であるアカシジアは、下肢のムズムズ感や内的なそわそわ感を特徴とする錐体外路症状で、服用開始後数日から数週で出現します。Aさんは抗精神病薬開始2日後に『足がムズムズする』と訴え歩き回っており、典型的なアカシジアの所見と判断できます。錐体外路症状には急性ジストニア・アカシジア・パーキンソニズム・遅発性ジスキネジアの4種類があり、発症時期と症状で区別します。第二世代抗精神病薬で頻度は減ったものの依然として問題となる副作用で、アカシジアは不快感から自殺リスクにもつながるため早期発見が重要です。看護師は患者の訴えと行動の両面から錐体外路症状を察知し、医師に報告して薬剤調整につなげる役割を担います。
解答・解説
正解は 1 です
問題文:Aさん( 25 歳、男性)は、統合失調症( schizophrenia )と診断された。抗精神病薬の内服を開始した 2 日後、Aさんはそわそわして落ち着かず「足がムズムズする」と歩き回るようになった。 Aさんにみられている状態はどれか。
解説:正解は 1 です。抗精神病薬の服用開始後数日〜数週間で出現する錐体外路症状の一つにアカシジア(静座不能症)がある。下肢のムズムズ感や内的な落ち着きのなさを主症状とし、じっと座っていられず歩き回るなどの行動が現れる。Aさんは抗精神病薬開始2日後に『足がムズムズする』と訴え、そわそわして歩き回っているため、典型的なアカシジアの症状と判断できる。ドパミンD2受容体遮断による錐体外路系の機能障害が原因とされ、抗精神病薬の副作用として頻度が高い。
選択肢考察
-
○ 1. アカシジア
静座不能症ともいい、下肢のムズムズ感や内的そわそわ感が特徴。Aさんの『足がムズムズする』『歩き回る』という訴えと行動は典型的なアカシジアの所見である。
-
× 2. ジストニア
筋の持続的な収縮により、首が傾く(斜頸)、目が上転する(眼球上転)、舌が突出する、体幹がねじれるなどの異常姿勢が出現する錐体外路症状。Aさんのムズムズ感とは症状の性質が異なる。
-
× 3. ジスキネジア
口唇・舌・顔面・四肢などが本人の意思と関係なくくねくね動く不随意運動。長期の抗精神病薬服用後に遅発性ジスキネジアとして出現することが多く、開始2日後には通常みられない。
-
× 4. ミオクローヌス
筋肉が突発的にピクッと収縮する電撃的な不随意運動で、しゃっくりや寝入りばなのビクつきが代表例。抗精神病薬の典型的副作用とは言えず、Aさんの症状とも合致しない。
抗精神病薬の錐体外路症状(EPS:extrapyramidal symptoms)は大きく4種類に分類される。急性ジストニア(服用後数時間〜数日、若年男性に多い、筋の持続収縮)、アカシジア(服用後数日〜数週、下肢のムズムズ感)、パーキンソニズム(服用後数週、振戦・筋強剛・無動)、遅発性ジスキネジア(長期服用後、口唇・舌の不随意運動、難治性)。第一世代(定型)抗精神病薬ハロペリドール・クロルプロマジンなどで頻度が高く、第二世代(非定型)抗精神病薬リスペリドン・オランザピン・アリピプラゾールなどで軽減されているが、完全にはなくならない。アカシジアの治療には原因薬の減量・変更、β遮断薬(プロプラノロール)、抗コリン薬、ベンゾジアゼピン系薬剤などが用いられる。見落とすと自殺リスクにもつながるため看護師の観察が重要じゃ。
抗精神病薬の錐体外路症状を識別させる問題。アカシジア(ムズムズ・そわそわ)、ジストニア(持続収縮・異常姿勢)、ジスキネジア(不随意運動・長期服用後)、ミオクローヌス(電撃的収縮)の特徴を区別する。
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