StudyNurse

長期入院後の退院支援、誰をチームに呼ぶ?

看護師国家試験 第108回 午後 第64問 / 精神看護学 / 精神疾患・障害がある者への看護

国試問題にチャレンジ

108回 午後 第64問

Aさん(60歳、女性)は、統合失調症(schizophrenia)で10年間入院していた。来月退院予定となったため、Aさん、医師、看護師でチームを作り、退院支援計画を立てることになった。Aさんは「両親も亡くなってしまい、これからの生活費や住む場所がとても心配だ」と訴えてきた。 退院支援を進めるにあたり、チームに加わるメンバーで最も適切なのはどれか。

  1. 1.薬剤師
  2. 2.精神保健福祉士
  3. 3.ピアサポーター
  4. 4.臨床心理技術者(臨床心理士・公認心理師等)

対話形式の解説

博士 博士

今日はAさん60歳、統合失調症で10年入院していて来月退院というケースじゃ。両親も亡くなり、生活費と住居がとても心配と訴えておる。

アユム アユム

博士、10年も入院していたら浦島太郎状態ですよね…。退院支援チームに誰を入れるのがベストでしょうか。

博士 博士

正解は2番、精神保健福祉士じゃ。PSW(ピーエスダブリュー)とも呼ばれ、精神障害者の社会復帰と福祉サービスをつなぐ専門職じゃよ。

アユム アユム

具体的にはどんな支援ができるんですか?

博士 博士

住居の確保、障害年金や生活保護などの経済的支援、グループホームや訪問看護の手配、自立支援医療の申請補助などじゃ。Aさんの『生活費と住居が心配』という訴えにドンピシャで対応できる。

アユム アユム

法律上も位置づけがあるんですか?

博士 博士

精神科病院では医療保護入院患者に『退院後生活環境相談員』の選任が義務化されており、多くは精神保健福祉士が担うんじゃ。長期入院者の地域移行支援事業でも中心的役割じゃよ。

アユム アユム

1の薬剤師はどうですか?統合失調症では服薬が重要ですよね。

博士 博士

確かに服薬継続は再発予防の要じゃ。ただ、Aさんの現在の訴えは生活基盤であって服薬ではない。薬剤師が役立つ場面はあるが、今『最優先で加わるメンバー』ではない。

アユム アユム

3のピアサポーターは?

博士 博士

ピアサポーターは同じ疾患を経験した当事者じゃ。退院後の地域生活では大いに力になるが、制度利用や住居手配の公的調整までは担えんから、今回の最優先ではない。

アユム アユム

4の臨床心理士や公認心理師は?

博士 博士

心理カウンセリングや心理検査は必要になれば依頼すべきじゃが、今の訴えは生活費・住居という具体的な生活基盤の問題じゃ。心理的介入より先に、まず暮らしの土台を整えるのが筋じゃな。

アユム アユム

『マズローの欲求階層』で言えば、まず生理・安全欲求を満たしてから、ですね。

博士 博士

いい着眼じゃ。衣食住と経済的安定を確保してから、心理的・社会的ニーズに取り組むのが順序じゃよ。

アユム アユム

長期入院の患者さんが地域に戻る時に気をつけることはありますか?

博士 博士

病院中心の生活から地域生活への変化はストレスが大きい。服薬中断による再発、孤立、金銭管理の困難などリスクがあるから、訪問看護やデイケア、相談支援事業所を組み合わせて多層的に支える必要がある。

アユム アユム

精神保健福祉士が窓口になって、多職種と地域をつなぐんですね。よくわかりました。

POINT

長期入院患者の退院支援では、生活基盤(住居・経済)に直接関わる精神保健福祉士がチームの要となる。PSWは障害年金・生活保護・グループホームなどの社会資源調整を担い、退院後生活環境相談員として法的にも位置づけられている。薬剤師・ピアサポーター・心理職もそれぞれ重要だが、主訴に応じた優先順位付けが看護師の判断力である。地域移行支援事業や訪問看護と連携し、長期入院者の生活再建を多職種で支える。

解答・解説

正解は 2 です

問題文:Aさん(60歳、女性)は、統合失調症(schizophrenia)で10年間入院していた。来月退院予定となったため、Aさん、医師、看護師でチームを作り、退院支援計画を立てることになった。Aさんは「両親も亡くなってしまい、これからの生活費や住む場所がとても心配だ」と訴えてきた。 退院支援を進めるにあたり、チームに加わるメンバーで最も適切なのはどれか。

解説:正解は 2 です。精神保健福祉士(PSW)は精神障害者の社会復帰や福祉サービス利用に関わる専門職で、住居の確保、生活保護や障害年金などの経済的支援、地域の社会資源との連携調整を担います。Aさんは10年の長期入院で両親を亡くし、住居・生活費という生活基盤の不安を訴えており、これらの課題に中心的に取り組めるのは精神保健福祉士です。退院後生活環境相談員としても精神保健福祉士が想定されており、現時点のチームへの追加メンバーとして最も適切です。

選択肢考察

  1. × 1.  薬剤師

    服薬管理や副作用説明は重要ですが、Aさんの現在の主訴は生活費と住居という生活基盤の問題であり、最優先のメンバーではありません。

  2. 2.  精神保健福祉士

    住居確保・経済的支援・社会資源との調整を専門とし、Aさんの生活不安の解消に最も直接的に関与できる専門職です。

  3. × 3.  ピアサポーター

    同じ経験を持つ当事者の支援は退院後の社会参加には有用ですが、制度利用や住居手配など公的支援の調整は担いにくいです。

  4. × 4.  臨床心理技術者(臨床心理士・公認心理師等)

    心理的援助やカウンセリングを担当しますが、Aさんの訴えは生活基盤に関するもので、優先順位は下がります。

精神科病院では『退院後生活環境相談員』として精神保健福祉士の配置が医療保護入院患者に義務づけられています。退院支援では障害年金・生活保護・グループホームやアパート確保・自立支援医療・訪問看護など多岐にわたる制度調整が必要で、精神保健福祉士がコーディネーターとなります。長期入院者の地域移行支援事業や地域定着支援事業も活用されます。

長期入院患者の退院支援における多職種連携と、主訴に合わせた適切な専門職選択を問う問題です。