StudyNurse

当事者が当事者を支える「セルフヘルプグループ」の力

看護師国家試験 第114回 午前 第48問 / 精神看護学 / 精神看護の対象理解と支援

国試問題にチャレンジ

114回 午前 第48問

セルフヘルプグループについて正しいのはどれか。

  1. 1.医療従事者が運営する。
  2. 2.営利を目的にした団体である。
  3. 3.当事者同士の交流による心理的効果がある。
  4. 4.在籍年数の長いメンバーの意見が重視される。

対話形式の解説

博士 博士

今日はセルフヘルプグループ、自助グループとも呼ばれる支援の形を学ぶぞ。学生君、AAという言葉を聞いたことはあるか?

アユム アユム

アルコール依存症の人たちが集まる会、ですよね?

博士 博士

その通り。AA、アルコホリクス・アノニマスはセルフヘルプグループの代表例じゃ。同じ問題を抱える当事者が自発的に集まって、体験を共有し支え合う。

アユム アユム

誰が運営しているんですか?医療スタッフですか?

博士 博士

いや、当事者自身じゃ。これがポイント。専門家ではなく、同じ経験を持つ仲間が運営の主体。だから「自助」グループと呼ばれる。

アユム アユム

看護師は関わらないんですか?

博士 博士

関わるが、運営には踏み込まん。場所の紹介、情報提供、橋渡しといった外部からの間接的支援に徹する。グループの自律性を尊重するのが原則じゃ。

アユム アユム

どうしてそんなに自律性が大事なんですか?

博士 博士

当事者同士だからこそ生まれる対等な関係性に意味があるからじゃ。専門家が指導すると上下関係ができてしまう。

アユム アユム

在籍年数が長い人がリーダーになるんですか?

博士 博士

それも違う。年数や立場で意見を区別せん。AAでは「言いっぱなし、聞きっぱなし」が原則で、互いの話を批判もアドバイスもせずに受け止める。

アユム アユム

それでどんな効果があるんですか?

博士 博士

孤立感が和らぎ、「自分だけじゃない」と気づき、共感と受容を得られる。これは集団精神療法でヤーロムが示した「普遍性」「希望の植え付け」「凝集性」といった治療因子と重なるのじゃ。

アユム アユム

助けてもらう側だけじゃなく、助ける側にも効果があるんですか?

博士 博士

鋭い質問じゃ。リースマンが提唱した「ヘルパー・セラピー原則」というのがあって、人を援助することで援助者自身も治療的効果を得るという考えじゃ。後輩を支えることが自分の回復になる。

アユム アユム

非営利で運営されているんですよね?

博士 博士

そうじゃ。会費は会場費などの実費にとどまる。営利目的ではない。

アユム アユム

ピアサポートという言葉とはどう違うんですか?

博士 博士

近い概念じゃ。ピアサポートは同じ立場の人による支援活動全般を指し、セルフヘルプグループはその中でも当事者主体の集団形態と理解するとよい。

アユム アユム

がん患者サロンや家族会も含まれますか?

博士 博士

含まれる。病気・障害・喪失体験など共通の問題を抱える人々の自助組織はすべてこの範疇じゃ。看護師は精神看護や慢性期看護で、こうした社会資源を紹介できる引き出しを持っておきたい。

POINT

セルフヘルプグループは、同じ問題を抱える当事者が自発的に集まり、対等な関係のもとで体験を共有し合う非営利の自助組織です。当事者同士の交流は、孤立感の軽減、共感と受容、自己肯定感の向上、回復モデルの獲得といった心理的効果をもたらし、リースマンの「ヘルパー・セラピー原則」が示すように援助する側にも治療的効果が生じます。運営主体は当事者であり、医療従事者は場の提供や情報提供といった間接的支援にとどめてグループの自律性を尊重します。看護師は患者会・家族会・断酒会・がん患者サロンなど多様な社会資源を把握し、対象者に応じて紹介できる橋渡し役を担うことが求められます。

解答・解説

正解は 3 です

問題文:セルフヘルプグループについて正しいのはどれか。

解説:正解は 3 です。セルフヘルプグループ(自助グループ)は、同じ病気・障害・依存症・喪失体験などの問題を抱える当事者やその家族が、自発的に集まって体験を共有し、相互に支え合うことで回復や問題解決を目指す集団です。専門家ではなく当事者自身が運営の主体となり、メンバーは対等な関係のもと、共感・受容・体験の分かち合いを通じて孤立感の軽減、自己肯定感の向上、回復モデルの獲得といった心理的効果を得られます。AA(アルコホリクス・アノニマス)、断酒会、患者会、家族会などが代表例で、看護師は支援者として外部から関与することはあっても運営には介入しないのが原則です。

選択肢考察

  1. × 1.  医療従事者が運営する。

    セルフヘルプグループの運営主体は当事者自身である。医療従事者は助言者・場の提供者として関わることはあるが、運営や指導の中心にはならない。

  2. × 2.  営利を目的にした団体である。

    セルフヘルプグループは非営利で、メンバー同士の支え合いを通じた回復を目的とする。会費は会場費などの実費にとどまるのが一般的。

  3. 3.  当事者同士の交流による心理的効果がある。

    同じ体験を持つ仲間との交流は、孤立感の軽減、共感・受容による安心感、自己肯定感の向上、希望の獲得などの心理的効果をもたらす。「ヘルパー・セラピー原則」によりメンバーが助ける側に回ることでも自己効力感が高まる。

  4. × 4.  在籍年数の長いメンバーの意見が重視される。

    セルフヘルプグループは対等性を重視し、年数や立場による上下関係を作らない。AAなどでは「言いっぱなし、聞きっぱなし」の原則のもと、互いの体験を批判せず受け止める姿勢が基本である。

セルフヘルプグループの心理的機能には、リースマンが提唱した「ヘルパー・セラピー原則」(人を援助することで援助者自身も治療的効果を得る)、ヤーロムが集団療法で示した治療因子の中の「普遍性」(自分だけではないという気づき)、「希望の植え付け」「凝集性」などが該当する。看護師の関わり方としては、グループの自律性を尊重しつつ情報提供、場の確保、紹介などの間接的支援を行う。類似概念として、ピアサポート(同じ立場の人による支援活動)、ピアカウンセリングがある。患者会・家族会・当事者会・断酒会・AA・がん患者サロンなど多様な形態がある。

セルフヘルプグループの運営主体・目的・関係性の対等性・心理的効果という基本特性を正しく理解しているかを問う問題。