躁状態の患者への優先対応
看護師国家試験 第103回 午後 第109問(状況設定問題)
国試問題にチャレンジ
状況設定
Aさん(32歳、男性、会社員)は、2年前にうつ病(depression)による入院歴がある。Aさんは仕事中に「新しい営業戦略を考えついた」と上司に大声でまとまりのない話を続け、止めようとすると激怒するようになった。会社から連絡を受けたAさんの両親に付き添われて精神科を受診したところ、Aさんは双極性障害(bipolar disorder)と診断され入院した。
Aさんは常に動き回り、次々と他の患者に一方的に話しかけている。看護師が止めようとすると、Aさんは「自分は営業職なんだから、人と話すのは得意なんだ。邪魔しないでほしい」と強い語調で言い返してくる。 看護師の対応で優先されるのはどれか。
- 1.家族に付き添いを依頼する。
- 2.Aさんを静かな場所へ誘導する。
- 3.Aさんに病気に関する説明をする。
- 4.納得できるまで看護師に話すよう促す。
対話形式の解説
博士
サクラ
博士
サクラ
博士
サクラ
博士
サクラ
博士
サクラ
博士
サクラ
博士
サクラ
博士
サクラ
博士
サクラ
博士
サクラ
博士POINT
双極性障害の躁状態における興奮への対応の優先順位を判断できるかを問う問題です。
解答・解説
正解は2です
問題文:Aさんは常に動き回り、次々と他の患者に一方的に話しかけている。看護師が止めようとすると、Aさんは「自分は営業職なんだから、人と話すのは得意なんだ。邪魔しないでほしい」と強い語調で言い返してくる。 看護師の対応で優先されるのはどれか。
解説:正解は2です。Aさんは双極性障害の躁状態にあり、観念奔逸・多弁・易怒性・行動亢進・他害可能性などの症状を示しています。躁状態の患者は外部刺激に過敏に反応し興奮が増幅するため、まずは刺激の少ない静かな環境へ誘導して興奮を鎮めることが優先されます。他患者への迷惑行為を防ぎトラブルを未然に防止する意味でも環境調整が最優先となります。家族の付き添い依頼は刺激を増やすリスクがあり、病気の説明は病識欠如により受け入れられにくく、納得するまで話させると多弁が増悪します。
選択肢考察
- ×1. 家族に付き添いを依頼する。
家族でも対応困難であった可能性が高く、付き添いが新たな刺激となり興奮を増幅させるリスクがあります。入院中はまず看護師が対応すべきです。
- ○2. Aさんを静かな場所へ誘導する。
躁状態は外部刺激に過敏に反応するため、刺激の少ない環境への誘導が興奮緩和に最も有効で他患者保護の観点からも優先されます。
- ×3. Aさんに病気に関する説明をする。
躁状態では病識が欠如しており興奮中の説明は理解されず、かえって刺激となり興奮を増幅させる可能性があります。
- ×4. 納得できるまで看護師に話すよう促す。
躁状態では観念奔逸により話が次々と飛躍し、納得という終着点に到達しません。むしろ多弁を助長し興奮が増悪します。
双極性障害の躁状態では、気分高揚・観念奔逸・多弁・行動亢進・睡眠欲求減少・易怒性・誇大妄想などが見られます。看護では刺激を最小化した環境設定、淡々とした関わり、本人の興奮を増幅させない対応が基本です。薬物療法は気分安定薬(リチウム、バルプロ酸、カルバマゼピン)や非定型抗精神病薬が使用されます。Aさんは2年前のうつ病歴と今回の躁状態からⅠ型双極性障害が考えられます。
双極性障害の躁状態における興奮への対応の優先順位を判断できるかを問う問題です。
「統合失調症・気分障害」の関連問題
孤独を打ち明けた統合失調症のAさん 看護師が真っ先につなぐべき相手は誰か
統合失調症の当事者が訴える「同じ体験をした人と話したい」というニーズに対し、本人の言葉と希望を起点に最適な連携先を選ぶ問題。リカバリー志向とピアサポートの理解が鍵となる。
115回
地域移行支援は誰のため?長期入院患者の退院を後押しする制度を理解しよう
障害者総合支援法における『地域移行支援』と『地域定着支援』の対象・内容の違いを理解しているかを問う問題です。
115回
精神看護のセルフケア6項目で「いま何が一番大事?」を見抜く
Underwoodのセルフケア6領域に基づき、入院急性期の統合失調症患者で最も優先される観察項目を選ぶ。昼夜逆転を伴う活動と休息のバランス調整が鍵。
114回(状況設定)
妄想を訴える患者さんに、肯定でも否定でもない第三の答え方
統合失調症の被害妄想に対する受け持ち看護師の対応として、妄想を肯定も否定もせず感情に焦点を当てる共感的関わりを選ぶ問題。
114回(状況設定)
レジリエンス?コンコーダンス?似ているカタカナ用語を一気に整理
レジリエンス・カタルシス・コンコーダンス・コンプライアンスの概念を区別する問題。患者個人の困難を乗り越える力=レジリエンスを押さえる。
114回(状況設定)
