双極性障害・躁状態の患者への看護対応
看護師国家試験 第103回 午後 第111問(状況設定問題)
国試問題にチャレンジ
状況設定
Aさん(32歳、男性、会社員)は、2年前にうつ病(depression)による入院歴がある。Aさんは仕事中に「新しい営業戦略を考えついた」と上司に大声でまとまりのない話を続け、止めようとすると激怒するようになった。会社から連絡を受けたAさんの両親に付き添われて精神科を受診したところ、Aさんは双極性障害(bipolar disorder)と診断され入院した。
入院後1週間が経過し、Aさんの食事摂取量は増えたが、他の患者への過度な干渉や、自宅への頻繁な電話は続いている。Aさんは「以前は仕事をしすぎて疲れただけで病気ではない。今すぐ退院して仕事に戻りたい」と話しているが、主治医は退院を許可していない。 看護師の対応で適切なのはどれか。
- 1.Aさんの上司に配置転換を相談する。
- 2.Aさんに入院前の言動の問題点を指摘する。
- 3.Aさんの両親に入院の継続を説得してもらう。
- 4.Aさんと現時点で可能なことや困難なことを確認する。
対話形式の解説
博士
サクラ
博士
サクラ
博士
サクラ
博士
サクラ
博士
サクラ
博士
サクラ
博士POINT
躁状態で病識のない患者に対し、否定や説得ではなく本人と一緒に現状確認を行うことで治療動機を引き出す看護対応を問うています。
解答・解説
正解は4です
問題文:入院後1週間が経過し、Aさんの食事摂取量は増えたが、他の患者への過度な干渉や、自宅への頻繁な電話は続いている。Aさんは「以前は仕事をしすぎて疲れただけで病気ではない。今すぐ退院して仕事に戻りたい」と話しているが、主治医は退院を許可していない。 看護師の対応で適切なのはどれか。
解説:正解は 4 です。双極性障害の躁状態では、気分の高揚・観念奔逸・易刺激性・誇大的言動が前景に立ち、患者本人は「絶好調」と感じるため病識が乏しいことが大きな特徴です。Aさんは食事は摂れるようになったものの、他患者への干渉や頻回な電話など脱抑制的行動が続いており、なお治療継続が必要な段階にあります。このような時期に頭ごなしに行動を否定したり家族に説得を委ねたりすると治療関係が壊れやすいため、まずはAさんと一緒に「いま何ができて何が難しいか」を具体的に確認し、自身の状態への気づきを促すことが看護として最も適切です。
選択肢考察
- ×1. Aさんの上司に配置転換を相談する。
職場の人事については本人の同意なく看護師が踏み込むべき領域ではなく、個人情報保護の観点からも不適切です。
- ×2. Aさんに入院前の言動の問題点を指摘する。
病識が乏しい時期に問題行動を直接指摘しても受け入れられにくく、人格否定と受け取られて治療関係を損なう恐れがあります。
- ×3. Aさんの両親に入院の継続を説得してもらう。
入院継続の説明は医療者が担うべき役割であり、家族に説得を委ねると家族関係の悪化や家族の負担増加を招きます。
- ○4. Aさんと現時点で可能なことや困難なことを確認する。
本人と一緒に現状を整理することで、自身の状態への気づきと治療への動機づけにつながり、退院後の生活設計にも活用できます。
双極性障害の躁病相では『気分高揚・睡眠欲求の減少・多弁・観念奔逸・注意散漫・行動逸脱』が代表症状で、社会的損失(浪費・人間関係破綻)を防ぐために入院が必要となる場合が多くあります。看護では症状を否定せず、刺激を減らし、本人と現実的な目標を擦り合わせる「リアリティチェック」が重要です。
躁状態で病識のない患者に対し、否定や説得ではなく本人と一緒に現状確認を行うことで治療動機を引き出す看護対応を問うています。
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