インシデントレポートは安全文化の出発点
看護師国家試験 第103回 午前 第9問 / 必修問題
国試問題にチャレンジ
インシデントレポートの目的はどれか。
- 1.責任の追及
- 2.再発の防止
- 3.懲罰の決定
- 4.相手への謝罪
対話形式の解説
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博士
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サクラPOINT
インシデントレポートは責任追及や懲罰ではなく、再発防止と医療安全の向上を目的とする。
解答・解説
正解は2です
問題文:インシデントレポートの目的はどれか。
解説:正解は 2 です。インシデントレポート(ヒヤリ・ハット報告)は、医療現場で発生した「患者に実害が及ばなかったが、一歩間違えば事故になり得た出来事」を記録・共有・分析することで、再発防止と医療安全の向上を図る仕組みです。WHOやJCAHO等の医療安全文化の考え方では「人は誰でも間違える(To Err is Human)」という前提に立ち、個人の責任追及ではなく、システム的な原因(人員配置、業務手順、機器設計、コミュニケーション、教育体制など)を分析して改善することが重要とされます。インシデントレポートはこの改善活動の出発点となる重要な情報源です。報告者の責任追及や懲罰を目的とすると報告が萎縮し、結果として組織の安全性が低下するため、「報告した人を責めない(no-blame culture)」「報告しやすい環境を整える(just culture)」の構築が医療機関の管理上の重要課題となっています。なお、患者に実害が及んだ事例は「アクシデント(医療事故)」として、より詳細な分析(RCA:根本原因分析など)と再発防止策の策定が行われます。インシデントレポートの目的は「責任の追及」「懲罰の決定」「相手への謝罪」ではなく、「再発の防止」が正答となります。
選択肢考察
- ×1. 責任の追及
誤りです。インシデントレポートは個人の責任追及を目的とするものではありません。むしろ責任追及を目的とすると報告が萎縮し、組織の安全性が損なわれます。
- ○2. 再発の防止
正しい選択肢です。インシデントレポートの目的は、ヒヤリ・ハット事例を共有・分析してシステム的な改善を図り、同様の事象の再発を防止することです。医療安全管理の出発点となる重要な仕組みです。
- ×3. 懲罰の決定
誤りです。懲罰目的での運用は報告を萎縮させ、結果として組織のリスク把握能力を低下させます。むしろ報告者を保護することが医療安全文化の基本です。
- ×4. 相手への謝罪
誤りです。患者・家族への謝罪は別途、誠実な説明と対応の中で行うべきもので、インシデントレポートの目的ではありません。レポートには事実と分析を記載します。
医療事故の重大度分類として、日本では国立大学病院医療安全管理協議会のレベル分類が広く使われます。レベル0(実施前に発見)、レベル1(実害なし)、レベル2(観察強化等の処置が必要)はインシデント(ヒヤリ・ハット)、レベル3a(簡単な処置が必要)以上はアクシデント(医療事故)として扱われます。発生した事例の分析手法としてSHELモデル(Software/Hardware/Environment/Liveware)、4M-4Eモデル、RCA(Root Cause Analysis)などがあり、システム要因を多角的に検討します。看護師は最前線で患者ケアを担うため、積極的なインシデント報告と多職種カンファレンスへの参加が医療安全文化の構築に不可欠です。
インシデントレポートは責任追及や懲罰ではなく、再発防止と医療安全の向上を目的とする。
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