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老人性白内障の症状を他の加齢性眼疾患と区別しよう

看護師国家試験 第105午後74

国試問題にチャレンジ

105午後74

老人性白内障(senile cataract)の症状で正しいのはどれか。

  1. 1.涙が流れ出る状態が続く。
  2. 2.小さい虫が飛んでいるように見える。
  3. 3.明るい場所ではまぶしくてよく見えない。
  4. 4.遠見視力は良好であるが近見視力は低下する。
  5. 5.暗い部屋に入ると目が慣れるのに時間がかかる。

対話形式の解説

博士博士
今日は老人性白内障について話そう。高齢者の目のトラブルで最も頻度が高い疾患のひとつだよ。
サクラサクラ
はかせ、白内障って水晶体が濁る病気ですよね?どんな症状が特徴的なんですか?
博士博士
正解は「明るい場所ではまぶしくてよく見えない」だよ。これは羞明、別名グレアと呼ばれる症状だ。
サクラサクラ
どうして明るい場所でまぶしくなるんですか?暗い方が見えにくそうなのに。
博士博士
いい疑問だ。明所では瞳孔が縮瞳して、水晶体の中心部を光が通るよね。白内障ではちょうどこの中心部が濁っているから、光が散乱してまぶしく感じるんだ。逆に暗所では散瞳して周辺の透明部分を通るので見えやすい。「昼盲」とも言われる現象だ。
サクラサクラ
なるほど!「涙が流れ出る」は白内障と関係ないんですか?
博士博士
関係ないよ。流涙は鼻涙管閉塞やドライアイによる反射性流涙で起こる症状だ。水晶体は涙の流れとは別系統だよ。
サクラサクラ
「小さい虫が飛んでいるように見える」はどうですか?これも高齢者でよく聞きますけど。
博士博士
それは飛蚊症だね。硝子体の混濁や後部硝子体剥離で生じる症状で、水晶体の白内障とは場所が違う病態だ。ただし網膜剥離の前兆のこともあるから眼科受診は重要だよ。
サクラサクラ
「遠見視力は良好だが近見視力は低下」は?
博士博士
これは典型的な老視、老眼の症状だ。毛様体筋の萎縮や水晶体の弾力性低下で調節力が落ちるせいで起こる。白内障では遠近ともに視力が下がるから違うんだよ。
サクラサクラ
「暗い部屋に入ると目が慣れるのに時間がかかる」は?
博士博士
暗順応遅延だね。網膜の錐体から杆体へのスイッチ機能が加齢で鈍るために起こる。白内障特有じゃないんだ。ビタミンA欠乏や網膜色素変性症でも見られるよ。
サクラサクラ
他に白内障で気をつける症状はありますか?
博士博士
霧視、つまり全体がかすんで見える症状や、単眼で物が二重に見える単眼複視、色が識別しにくくなる色覚低下などだよ。核白内障では近視化してメガネ処方が変わることもある。
サクラサクラ
治療や生活指導は?
博士博士
点眼薬で進行を遅らせることはできるが、根本治療は水晶体を摘出して眼内レンズを入れる手術だ。看護では遮光眼鏡、帽子、間接照明の提案、術後の点眼指導や洗顔制限の教育が大切だよ。
サクラサクラ
高齢者のQOLに直結する疾患ですね。よくわかりました!

POINT

老人性白内障の代表的症状(羞明・霧視)と、類似した加齢性眼疾患(老視・飛蚊症・暗順応遅延・流涙)との鑑別を問う問題です。

解答・解説

正解は3です

問題文:老人性白内障(senile cataract)の症状で正しいのはどれか。

解説:正解は 3 です。老人性白内障は加齢により水晶体のタンパク質(クリスタリン)が変性して混濁し、光が散乱することで視力低下や霧視を生じる疾患です。混濁が核部や後嚢下に生じると、明所で瞳孔が縮瞳した際に光が混濁部で散乱・乱反射を起こし、まぶしさ(羞明)とコントラスト低下により見えにくくなります。暗所では散瞳して混濁していない周辺部を光が通るため、むしろ明所より見えやすく感じる「昼盲」とも表現されます。

選択肢考察

  1. ×1.  涙が流れ出る状態が続く。

    流涙は鼻涙管閉塞や結膜弛緩症、ドライアイの反射性流涙などで起こる症状で、水晶体の混濁である白内障とは直接関係ありません。

  2. ×2.  小さい虫が飛んでいるように見える。

    これは飛蚊症の症状で、硝子体混濁や後部硝子体剥離、網膜剥離の初期に生じます。水晶体の病変である白内障とは別の病態です。

  3. 3.  明るい場所ではまぶしくてよく見えない。

    白内障の特徴的症状である羞明(グレア)です。明所では瞳孔が縮瞳し、混濁のある水晶体中心部を光が通ることで散乱してまぶしく感じ、視力が低下します。

  4. ×4.  遠見視力は良好であるが近見視力は低下する。

    これは老視(老眼)の症状です。毛様体筋や水晶体の調節力低下によるもので、白内障そのものの症状ではありません。白内障では遠近ともに視力が低下します。

  5. ×5.  暗い部屋に入ると目が慣れるのに時間がかかる。

    暗順応遅延は網膜の錐体から杆体への切り替え機能の加齢変化で起こる症状で、白内障特有の症状ではありません。ビタミンA欠乏や網膜色素変性症でも見られます。

白内障のその他の症状には霧視(かすみ目)、単眼性複視(物が二重三重に見える)、色の識別低下(特に青系)、近視化(核白内障では屈折率が上がり一時的に近くが見えやすくなる)などがあります。治療は点眼薬で進行を遅らせることができますが、根本治療は水晶体を摘出し眼内レンズを挿入する手術(PEA+IOL)です。高齢者の生活指導では、まぶしさ対策として遮光眼鏡や帽子、室内の間接照明、手元の局所照明などが有効です。術後は感染予防のための点眼管理と洗顔・洗髪制限、眼帯管理などの教育が重要です。

老人性白内障の代表的症状(羞明・霧視)と、類似した加齢性眼疾患(老視・飛蚊症・暗順応遅延・流涙)との鑑別を問う問題です。

※公式問題・正答は厚生労働省公開資料をもとに整理しています。