医療安全は『個人の頑張り』ではなく『仕組みの改善』で守る
看護師国家試験 第109回 午後 第74問
国試問題にチャレンジ
与薬の事故防止に取り組んでいる病院の医療安全管理者が行う対策で適切なのはどれか。
- 1.与薬の業務プロセスを見直す。
- 2.医師に口頭での与薬指示を依頼する。
- 3.病棟ごとに与薬マニュアルを作成する。
- 4.インシデントを起こした職員の研修会を企画する。
対話形式の解説
博士
サクラ
博士
サクラ
博士
サクラ
博士
サクラ
博士
サクラ
博士
サクラ
博士
サクラ
博士
サクラ
博士
サクラPOINT
医療安全管理者の役割は『個人の注意』ではなく『システム改善』という医療安全の基本思想を問う問題。プロセス改善・標準化・組織学習が柱。
解答・解説
正解は1です
問題文:与薬の事故防止に取り組んでいる病院の医療安全管理者が行う対策で適切なのはどれか。
解説:正解は 1 です。医療安全管理の基本的枠組みは『人は誰でも間違える(To err is human)』という前提に立ち、個人の注意喚起ではなくシステム(業務プロセス)の改善で事故を防ぐというシステム論的アプローチです。与薬事故の多くは、指示受け、薬剤準備、ダブルチェック、患者確認、投与、記録などの一連のプロセスのどこかに潜むエラー誘発要因に起因します。医療安全管理者は事故事例を分析し、プロセスそのものを見直すことで再発防止と未然防止を図るのが本来の役割です。
選択肢考察
- ○1. 与薬の業務プロセスを見直す。
医療安全管理の本質である『システム改善』アプローチ。プロセスの弱点を特定し、バーコード認証、ダブルチェックポイント、規格統一などの仕組みで人的エラーを吸収する設計へ改良する。
- ×2. 医師に口頭での与薬指示を依頼する。
口頭指示は聞き間違い・伝達漏れが起きやすく、事故のリスク因子そのもの。原則は文書(電子カルテ)指示で、やむを得ない口頭指示時はリードバック(復唱確認)と事後の文書化を徹底する。
- ×3. 病棟ごとに与薬マニュアルを作成する。
病棟ごとにマニュアルが異なると人事異動時の混乱や抜け漏れが生じ、かえってリスクが増える。医療安全管理者は院内統一のマニュアルを策定し、部署横断で標準化を図る役割を担う。
- ×4. インシデントを起こした職員の研修会を企画する。
個人を責める文化(blame culture)では隠蔽が進み、学びが組織に広がらない。インシデントは全職員で共有し分析・学習する『no blame culture』が安全管理の基本で、当事者限定の研修は逆効果。
医療安全管理の重要概念として『スイスチーズモデル』がある。複数の防御層(指示、ダブルチェック、患者確認、バーコード認証など)にそれぞれ穴(エラー)があっても、全ての穴が重ならなければ事故は防げる、という多層防御の考え方。5R(Right patient, Right drug, Right dose, Right route, Right time)、さらに6R・7R(Right purpose, Right recordを追加)は与薬時確認の基本。インシデントレポートシステムは非懲罰的に報告を集め、組織学習に活用することが肝要。医療安全管理者は医療機関の要として、医療法施行規則により300床以上の病院では専任配置が義務付けられている。
医療安全管理者の役割は『個人の注意』ではなく『システム改善』という医療安全の基本思想を問う問題。プロセス改善・標準化・組織学習が柱。
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