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ALS在宅療養の訪問看護は医療保険!『厚生労働大臣が定める疾病等』ルールを攻略

看護師国家試験 第109午前69

国試問題にチャレンジ

109午前69

Aさん( 68 歳、男性)は、筋萎縮性側索硬化症( amyotrophic lateral sclerosis )<ALS>のため在宅療養中で、気管切開下で人工呼吸器を使用し、要介護 5 の認定を受けている。 Aさんに提供される訪問看護で適切なのはどれか。

  1. 1.医療保険から給付される。
  2. 2.特別訪問看護指示書を受けて実施される。
  3. 3.複数の訪問看護事業所の利用はできない。
  4. 4.理学療法士による訪問は給付が認められない。

対話形式の解説

博士博士
今日は在宅看護の中でも頻出テーマ、訪問看護の保険適用について学ぶぞ。介護保険と医療保険のどちらから給付されるか、というのが論点じゃ。
サクラサクラ
要介護認定を受けていれば介護保険から、というのが基本ですよね?
博士博士
そうじゃ。それが原則。しかし例外が3つあって、それに該当すると介護保険ではなく医療保険から給付されるのじゃ。
サクラサクラ
3つの例外ですか?
博士博士
一つ目は、そもそも要支援・要介護認定を受けていない人。二つ目は『厚生労働大臣が定める疾病等』に該当する人、要介護認定の有無を問わない。三つ目は『特別訪問看護指示書』が発行されている期間中じゃ。
サクラサクラ
今回のAさんはALSで要介護5ですが、どうなりますか?
博士博士
ALSは厚生労働大臣が定める疾病等に含まれておる。だからたとえ要介護認定を受けていても医療保険から給付されるのじゃ。さらにAさんは人工呼吸器を使用しておるから『厚生労働大臣が定める状態等』にも該当し、より手厚いケアが受けられる。
サクラサクラ
つまり介護保険の限度額に縛られずにケアを提供できるんですね。
博士博士
その通り。週4日以上、1日複数回、複数の訪問看護ステーションの併用、すべて可能になる。ALS患者は医療ニーズが非常に高いから、こうした特例が設けられておるのじゃ。
サクラサクラ
特別訪問看護指示書はどんなときに使うんですか?
博士博士
急性増悪・退院直後・終末期などで一時的に頻回な訪問が必要なとき、主治医が発行する。月1回、最長14日間という制限があるのじゃ。気管カニューレ使用者や真皮を越える褥瘡では月2回まで発行できる。
サクラサクラ
Aさんの状態が安定していれば通常の訪問看護指示書ですね。
博士博士
うむ。そしてリハビリについても、訪問看護ステーション所属の理学療法士・作業療法士・言語聴覚士による訪問リハは訪問看護の一環として給付対象になる。
サクラサクラ
ALSで関節拘縮予防や呼吸リハがとても大事ですよね。
博士博士
その通り。ALSは運動ニューロンが徐々に変性していく進行性の難病で、体の動かない筋肉が増えても感覚や意識は保たれるのが特徴じゃ。
サクラサクラ
知的機能は最後まで保たれるんですよね?
博士博士
多くはそうじゃ。だからこそコミュニケーションエイドの活用、介護者への教育、本人の意思決定支援が非常に重要になる。
サクラサクラ
医療保険適用になることで、手厚い在宅支援が現実的になるんですね。
博士博士
うむ。制度の仕組みを理解することは、在宅看護師として患者の生活を支える力になるのじゃ。

POINT

訪問看護の保険適用の原則と例外を問う問題。『原則介護保険、ただしALSなど厚生労働大臣が定める疾病等と人工呼吸器使用者は医療保険優先』というルールが鍵。

解答・解説

正解は1です

問題文:Aさん( 68 歳、男性)は、筋萎縮性側索硬化症( amyotrophic lateral sclerosis )<ALS>のため在宅療養中で、気管切開下で人工呼吸器を使用し、要介護 5 の認定を受けている。 Aさんに提供される訪問看護で適切なのはどれか。

解説:正解は 1 です。訪問看護の費用負担は原則として介護保険が優先されるが、厚生労働大臣が定める疾病等に該当する場合、要介護認定の有無にかかわらず医療保険から給付される。ALSは『厚生労働大臣が定める疾病等』に含まれており、さらに人工呼吸器を使用している状態も『厚生労働大臣が定める状態等』に該当するため、Aさんの訪問看護は医療保険から給付される。介護保険の利用限度額に制限されず、週4回以上・1日複数回・複数の訪問看護ステーション利用も可能となる。

選択肢考察

  1. 1.  医療保険から給付される。

    ALSは厚生労働大臣が定める疾病等に含まれ、要介護認定者であっても医療保険から訪問看護が給付される。人工呼吸器使用も同様の扱いとなり、介護保険の利用制限を受けない。

  2. ×2.  特別訪問看護指示書を受けて実施される。

    特別訪問看護指示書は、急性増悪・退院直後・終末期など一時的に頻回な訪問看護が必要な場合に主治医が発行するもので、月1回、最長14日間(気管カニューレ使用者や真皮を越える褥瘡では月2回可)である。Aさんの状態が安定していれば通常の訪問看護指示書で実施される。

  3. ×3.  複数の訪問看護事業所の利用はできない。

    厚生労働大臣が定める疾病等に該当する場合や人工呼吸器を使用している場合は、複数の訪問看護ステーションを併用することが可能である。同一日に複数事業所の同時訪問はできないが、異なる日に複数事業所が関わることは認められている。

  4. ×4.  理学療法士による訪問は給付が認められない。

    訪問看護ステーションに所属する理学療法士・作業療法士・言語聴覚士による訪問リハビリテーションは、訪問看護の一環として給付対象となる。ALS患者の関節拘縮予防や呼吸リハビリなどにも活用される。

訪問看護の保険適用を整理する。介護保険適用:要支援・要介護認定を受けた65歳以上、または40〜64歳で16特定疾病該当者(ALSもここに含まれる)。医療保険適用:要介護認定なしの者、厚生労働大臣が定める疾病等の該当者(要介護認定の有無を問わず医療保険優先)、精神科訪問看護の対象者、特別訪問看護指示書が交付された期間中。厚生労働大臣が定める疾病等はALS・多発性硬化症・重症筋無力症・進行性筋ジストロフィー・パーキンソン病関連疾患(ヤール3以上かつ生活機能障害度II〜III)・脊髄小脳変性症・末期の悪性腫瘍・後天性免疫不全症候群・頚髄損傷・人工呼吸器使用状態など約20疾患。これらは病状が重く頻回な訪問が必要なため、介護保険の限度額制約を超えて手厚いケアを提供できる仕組みである。

訪問看護の保険適用の原則と例外を問う問題。『原則介護保険、ただしALSなど厚生労働大臣が定める疾病等と人工呼吸器使用者は医療保険優先』というルールが鍵。

※公式問題・正答は厚生労働省公開資料をもとに整理しています。