月経周期のホルモン劇場、ポジティブフィードバックが起こす唯一のサージ
看護師国家試験 第112回 午前 第61問
国試問題にチャレンジ
排卵のある正常な月経周期で正しいのはどれか。
- 1.黄体は形成後1週間で萎縮する。
- 2.エストロゲンの作用で子宮内膜が分泌期になる。
- 3.発育した卵胞の顆粒膜細胞からプロゲステロンが分泌される。
- 4.エストロゲンのポジティブフィードバックによって黄体形成ホルモンの分泌が増加する。
対話形式の解説
博士
サクラ
博士
サクラ
博士
サクラ
博士
サクラ
博士
サクラ
博士
サクラ
博士
サクラ
博士POINT
月経周期に関わる4つのホルモンの作用と、フィードバック機構(特に排卵を誘発するLHサージの仕組み)を問う問題。
解答・解説
正解は4です
問題文:排卵のある正常な月経周期で正しいのはどれか。
解説:正解は 4 です。卵胞期後半、成熟した卵胞から分泌されるエストロゲン(エストラジオール)が一定濃度(およそ200pg/mL以上)を48時間程度持続すると、通常は抑制的に働くフィードバックが逆転してポジティブフィードバックとなり、視床下部からのGnRH分泌、下垂体前葉からのLH(黄体形成ホルモン)分泌が急増する。このLHサージが引き金となり、24〜36時間以内に排卵が誘発される。
選択肢考察
- ×1. 黄体は形成後1週間で萎縮する。
黄体の寿命は受精が成立しなかった場合で約14日(2週間)である。約1週間後にあたる黄体中期にはプロゲステロンとエストロゲンの分泌がピークを迎え、その後に退縮して白体となる。
- ×2. エストロゲンの作用で子宮内膜が分泌期になる。
エストロゲンは子宮内膜の基底層から機能層を厚くする増殖期を担うホルモンである。排卵後に黄体から分泌されるプロゲステロンが内膜腺の分泌活動を高めて分泌期へ移行させる。
- ×3. 発育した卵胞の顆粒膜細胞からプロゲステロンが分泌される。
成熟過程にある卵胞の顆粒膜細胞は、莢膜細胞が供給するアンドロゲンを芳香化してエストロゲンを産生する。プロゲステロンが主に分泌されるのは、排卵後に顆粒膜細胞が黄体化した段階である。
- ○4. エストロゲンのポジティブフィードバックによって黄体形成ホルモンの分泌が増加する。
卵胞期後期に高濃度・持続的となったエストロゲンが視床下部-下垂体系に正のフィードバックをかけ、LHサージを起こして排卵を誘発する。これは月経周期における唯一のポジティブフィードバックである。
月経周期は卵巣周期(卵胞期→排卵→黄体期)と子宮内膜周期(月経期→増殖期→分泌期)に分けて理解するとよい。視床下部のGnRH、下垂体前葉のFSH・LH、卵巣のエストロゲン・プロゲステロンが階層的にフィードバック制御を行い、基本はネガティブフィードバックだが、排卵直前だけは例外的にポジティブフィードバックが働く。基礎体温は排卵前が低温相、排卵後はプロゲステロンの体温上昇作用で高温相となり、二相性を示すことも理解の要点である。
月経周期に関わる4つのホルモンの作用と、フィードバック機構(特に排卵を誘発するLHサージの仕組み)を問う問題。
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