重症筋無力症と胸腺腫はなぜセットで覚えるのか
看護師国家試験 第114回 午前 第31問
国試問題にチャレンジ
重症筋無力症(myasthenia gravis)に合併する頻度が最も高いのはどれか。
- 1.胸腺腫(thymoma)
- 2.胸膜中皮腫(pleural mesothelioma)
- 3.甲状腺腫瘍(thyroid tumor)
- 4.悪性リンパ腫(malignant lymphoma)
対話形式の解説
博士
サクラ
博士
サクラ
博士
サクラ
博士
サクラ
博士
サクラ
博士
サクラ
博士
サクラPOINT
重症筋無力症と胸腺病変(特に胸腺腫)の強い結びつきを問う基本問題。自己免疫疾患と関連臓器の組み合わせを整理しておくと得点しやすい。
解答・解説
正解は1です
問題文:重症筋無力症(myasthenia gravis)に合併する頻度が最も高いのはどれか。
解説:正解は 1 の胸腺腫である。重症筋無力症は神経筋接合部のニコチン性アセチルコリン受容体に対する自己抗体(抗AChR抗体)が産生され、シナプス後膜での神経伝達が障害される代表的な自己免疫疾患である。眼瞼下垂・複視・嚥下障害・四肢の易疲労性などが特徴で、症状は反復運動で悪化し休息で軽減する「易疲労性」が典型である。胸腺は自己免疫の発症母地と考えられており、患者の約65〜80%に胸腺過形成、約20〜30%に胸腺腫の合併が認められ、胸腺摘出術が治療選択肢のひとつになる。
選択肢考察
- ○1. 胸腺腫(thymoma)
重症筋無力症と最も関連の深い腫瘍である。胸腺腫の患者の約30%に重症筋無力症が合併し、逆に重症筋無力症患者の約2〜3割で胸腺腫が見つかる。前縦隔に発生し、胸腺摘出術が治療の柱となる。
- ×2. 胸膜中皮腫(pleural mesothelioma)
胸膜の中皮細胞由来の悪性腫瘍で、最大の原因はアスベスト(石綿)曝露である。職業性曝露歴が重要で、重症筋無力症との因果関係はない。
- ×3. 甲状腺腫瘍(thyroid tumor)
甲状腺に発生する腫瘍で、放射線被曝や遺伝的素因が関与する。重症筋無力症ではバセドウ病など甲状腺自己免疫疾患を併発することはあるが、甲状腺腫瘍そのものとの直接的な合併頻度は高くない。
- ×4. 悪性リンパ腫(malignant lymphoma)
リンパ球が腫瘍化する血液系悪性腫瘍で、染色体異常やウイルス感染(EBVなど)が関与する。重症筋無力症と特異的に合併する病態ではない。
重症筋無力症の治療は抗コリンエステラーゼ薬(ピリドスチグミンなど)による対症療法、副腎皮質ステロイドや免疫抑制薬による免疫療法、胸腺摘出術、急性増悪期にはステロイドパルスや血漿交換、免疫グロブリン大量療法が用いられる。注意すべき合併症として、感染や手術ストレスを契機に呼吸筋麻痺をきたす「クリーゼ」があり、人工呼吸管理が必要になる。アミノグリコシド系抗菌薬や筋弛緩薬は症状を悪化させるため禁忌に近い扱いとなる。
重症筋無力症と胸腺病変(特に胸腺腫)の強い結びつきを問う基本問題。自己免疫疾患と関連臓器の組み合わせを整理しておくと得点しやすい。
「血液・免疫・膠原病」の関連問題
多発性筋炎の症状を見分ける
多発性筋炎の臨床症状の特徴を理解しているかを問う問題で、近位筋優位の左右対称性筋力低下というキーワードと、SLEや強皮症など他の膠原病との所見の違いを正しく見分けることが求められます。
115回
抗癌薬の副作用、なぜ血が減る?骨髄抑制を時系列で理解する
抗癌薬の多彩な副作用のうち、「骨髄抑制」が指す病態が血球減少であることを正しく区別できるかを問う問題。
114回
減感作療法は長期戦、でも副作用対応は短期勝負
減感作療法(アレルゲン免疫療法)の投与経路・治療期間・副作用観察、特に投与後30分の経過観察の必要性を理解しているかを問う問題です。
113回
シェーグレン症候群はどこが狙われる病気か
シェーグレン症候群の病変標的臓器が外分泌腺(涙腺・唾液腺)であることを、内分泌腺や免疫器官と区別できるかを問う設問です。
113回
上大静脈症候群を見抜こう
顔面浮腫の鑑別として、全身性浮腫(低蛋白・心不全・腎不全)と局所性浮腫(静脈・リンパ還流障害)を区別し、CT所見と結び付けて上大静脈症候群を特定できるかを問う問題です。
113回(状況設定)
