多発性筋炎の症状を見分ける
看護師国家試験 第115回 午後 第50問
国試問題にチャレンジ
多発性筋炎と診断された成人の症状について正しいのはどれか。
- 1.両頬に紅斑がある。
- 2.足関節が動かせない。
- 3.物を持ち上げられない。
- 4.温熱刺激で手指が白色になる。
対話形式の解説
博士
サクラ
博士
サクラ
博士
サクラ
博士
サクラ
博士
サクラ
博士
サクラ
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サクラ
博士
サクラ
博士
サクラ
博士POINT
多発性筋炎の臨床症状の特徴を理解しているかを問う問題で、近位筋優位の左右対称性筋力低下というキーワードと、SLEや強皮症など他の膠原病との所見の違いを正しく見分けることが求められます。
解答・解説
正解は3です
問題文:多発性筋炎と診断された成人の症状について正しいのはどれか。
解説:正解は 3 です。多発性筋炎(polymyositis:PM)は、横紋筋に慢性的な炎症を起こす特発性炎症性筋疾患(炎症性ミオパチー)の一つで、自己免疫機序により骨格筋が傷害される膠原病類縁疾患です。指定難病に位置づけられており、皮膚症状を伴うものは皮膚筋炎(dermatomyositis:DM)として区別されます。臨床的に最も特徴的なのは、体幹に近い「近位筋」を中心とした左右対称性の筋力低下です。具体的には、上肢では三角筋や上腕筋群が侵されるため、洗髪・髪をとかす・高い棚の物を取る・重い物を持ち上げるといった動作が困難になり、下肢では腸腰筋や大腿四頭筋が侵されるために、椅子からの立ち上がり、階段昇降、しゃがみ立ちなどに支障をきたします。一方、手指の細かな動きや足先などの遠位筋の筋力は比較的保たれるのが特徴です。検査では血清クレアチンキナーゼ(CK)やアルドラーゼ、AST・LDH、ミオグロビンなどの筋逸脱酵素の上昇、抗Jo-1抗体などの筋炎特異抗体の陽性、筋電図でのミオパチー所見、筋生検でのリンパ球浸潤と筋線維の変性壊死などが認められます。治療は副腎皮質ステロイドが中心で、必要に応じて免疫抑制薬を併用します。間質性肺炎や悪性腫瘍、嚥下障害の合併にも注意が必要です。
選択肢考察
- ×1. 両頬に紅斑がある。
両頬の鼻翼から頬部にかけて広がる蝶形紅斑(バタフライラッシュ)は、全身性エリテマトーデス〈SLE〉の代表的な皮膚所見であり、多発性筋炎の症状ではありません。なお、皮膚筋炎では上眼瞼の浮腫性紅斑(ヘリオトロープ疹)や手指関節背側の角化性紅斑(ゴットロン徴候)が特徴的にみられますが、これらも蝶形紅斑とは異なるものです。
- ×2. 足関節が動かせない。
多発性筋炎で障害されるのは体幹に近い近位筋が中心であり、足関節を動かす下腿の遠位筋は比較的保たれます。足関節が動かせなくなる病態としては、腓骨神経麻痺による下垂足や、脳血管障害、脊髄損傷、ギラン・バレー症候群などの末梢神経・中枢神経障害が考えられ、本疾患の典型像とは合致しません。
- ○3. 物を持ち上げられない。
多発性筋炎の中核症状は、左右対称性で進行性の近位筋優位の筋力低下です。肩甲帯や上腕の筋が侵されることで重い物を持ち上げる動作が困難になり、骨盤帯や大腿の筋が侵されることで階段が昇れない・椅子から立ち上がれないといった症状が出現します。これらは数週から数か月かけて進行することが多く、診断の手がかりとなる重要な所見です。
- ×4. 温熱刺激で手指が白色になる。
手指が発作的に白色から紫色、紅潮へと変化する現象はレイノー現象と呼ばれ、誘因となるのは温熱刺激ではなく寒冷刺激や精神的ストレスです。レイノー現象は強皮症や混合性結合組織病〈MCTD〉などで高頻度にみられ、皮膚筋炎・多発性筋炎でも合併し得ますが、本選択肢は「温熱刺激で白色になる」という機序自体が誤っており、多発性筋炎の症状としては適切ではありません。
炎症性ミオパチーの鑑別として、多発性筋炎・皮膚筋炎・封入体筋炎を区別して覚えましょう。皮膚筋炎ではヘリオトロープ疹やゴットロン徴候など特徴的な皮疹を伴い、特に成人発症例では悪性腫瘍の合併率が高いため腫瘍検索が必要です。また、抗ARS抗体(抗Jo-1抗体など)陽性例では間質性肺炎を合併しやすく、抗MDA5抗体陽性例では急速進行性間質性肺炎による予後不良が知られています。看護では、筋力低下の程度を徒手筋力テスト(MMT)で評価し、転倒予防、ADL援助、嚥下障害があれば誤嚥予防、ステロイド長期投与に伴う易感染性・骨粗鬆症・血糖上昇・消化性潰瘍などの副作用観察が重要となります。覚え方として「近位筋がやられる=物が持ち上げられない・立ち上がれない」とイメージし、SLEの蝶形紅斑、強皮症のレイノー現象と区別しておくと選択肢問題に強くなれます。
多発性筋炎の臨床症状の特徴を理解しているかを問う問題で、近位筋優位の左右対称性筋力低下というキーワードと、SLEや強皮症など他の膠原病との所見の違いを正しく見分けることが求められます。
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