笑顔が戻った喘息っ子に、看護師がまずすべきこと
看護師国家試験 第115回 午前 第104問(状況設定問題)
国試問題にチャレンジ
状況設定
Aちゃん(10歳、女児)は両親と3人で暮らしている。3歳の時に気管支喘息と診断された。6歳までは喘息発作で年に1回は入院していたが、8歳から発作を起こすことはなくなり、定期受診が必要なくなった。ダニとハウスダストに感作がある。 本日Aちゃんは、学校から帰ってきた後から咳嗽がみられ、元気がなかった。夜「苦しくて眠れない」と訴え、母親とともに救急外来を受診した。口元での喘鳴が著明であり、問診すると途切れ途切れに話した。救急外来受診時のバイタルサインは、体温36.6℃、呼吸数36/分、心拍数120/分、経皮的動脈血酸素飽和度(SpO2)93%であった。
救急外来で気管支拡張薬の吸入が行われたが、吸入後も呼吸数32/分、経皮的動脈血酸素飽和度(SpO2)94%(room air)だったため、入院することになった。入院後、鼻カニュー レによる酸素投与と点滴静脈内注射が開始され、1日3回のステロイド薬の静脈内注射と1日4回の気管支拡張薬の吸入が開始された。翌日のバイタルサインは体温36.8℃、呼吸数22/分、心拍数94/分、経皮的動脈血酸素飽和度(SpO2)97%(room air)で、酸素投与が中止された。聴診で喘鳴が聴取された。Aちゃんは「楽になった。お腹がすいた」などと勢いよく話し、笑顔が見られるようになった。 このときのAちゃんへの看護で適切なのはどれか。
- 1.排痰を促す。
- 2.胸式呼吸を促す。
- 3.水分摂取を制限する。
- 4.食事はとろみ食にする。
対話形式の解説
博士
サクラ
博士
サクラ
博士
サクラ
博士
サクラ
博士
サクラ
博士
サクラ
博士
サクラ
博士POINT
喘息回復期に喘鳴が残存している場合は、気道内に分泌物が貯留しているサインであり、排痰を促して気道クリアランスを保つことが看護の要点です。
解答・解説
正解は1です
問題文:救急外来で気管支拡張薬の吸入が行われたが、吸入後も呼吸数32/分、経皮的動脈血酸素飽和度(SpO2)94%(room air)だったため、入院することになった。入院後、鼻カニュー レによる酸素投与と点滴静脈内注射が開始され、1日3回のステロイド薬の静脈内注射と1日4回の気管支拡張薬の吸入が開始された。翌日のバイタルサインは体温36.8℃、呼吸数22/分、心拍数94/分、経皮的動脈血酸素飽和度(SpO2)97%(room air)で、酸素投与が中止された。聴診で喘鳴が聴取された。Aちゃんは「楽になった。お腹がすいた」などと勢いよく話し、笑顔が見られるようになった。 このときのAちゃんへの看護で適切なのはどれか。
解説:正解は1の「排痰を促す」です。Aちゃんは喘息発作の急性期を脱しつつあるものの、聴診ではまだ喘鳴が聴取されており、気道内には炎症によって生じた粘稠な分泌物(痰)が貯留している状態にあります。この痰を確実に喀出させることで、気道抵抗を下げて換気を改善し、再増悪や無気肺の発生を予防することができます。回復期だからこそ、深呼吸や軽い咳嗽の促し、体位ドレナージ、十分な水分摂取と組み合わせた排痰援助が看護の中心となります。
選択肢考察
- ○1. 排痰を促す。
喘息発作では気管支平滑筋の収縮に加え、気道粘膜の浮腫と粘稠な分泌物の貯留が換気を妨げます。Aちゃんは症状改善傾向にあるものの聴診で喘鳴が残存しており、気道内に痰が貯留していることを示唆します。痰の喀出を促すことで気道クリアランスを高め、無気肺や再増悪を防ぐことができるため、この時期の看護として最も適切です。
- ×2. 胸式呼吸を促す。
喘息では呼気が延長して肺が過膨張となり、胸郭の動きで換気を補おうとすると呼吸補助筋の疲労を招きます。むしろ横隔膜を活用した腹式呼吸や、口すぼめ呼吸による呼気延長を指導するのが基本であり、胸式呼吸を促すのは適切ではありません。
- ×3. 水分摂取を制限する。
脱水は気道分泌物を粘稠にして喀出を困難にし、喘息を悪化させる要因となります。Aちゃんは「お腹がすいた」と話せる状態であり、嚥下機能にも問題はありません。点滴に加え経口でも十分な水分摂取を促し、痰を軟らかくして排痰を助けることが重要です。
- ×4. 食事はとろみ食にする。
とろみ食は嚥下障害や誤嚥リスクが高い患者に提供される食形態です。Aちゃんは10歳の健康な学童で、嚥下機能の低下を疑う所見はなく、「お腹がすいた」と勢いよく話していることから経口摂取に問題はありません。年齢相応の通常食で問題なく、とろみ食にする必要はありません。
小児喘息発作の重症度評価では、呼吸数・SpO2・会話状態・陥没呼吸・チアノーゼなどを総合的に判断します。回復期の看護で重要なのは、(1)呼吸状態の継続観察(呼吸数・SpO2・喘鳴・呼吸補助筋使用の有無)、(2)排痰援助(深呼吸・体位ドレナージ・軽打法・十分な水分摂取)、(3)誘因の除去とアレルゲン対策、(4)吸入手技・薬剤継続の指導、(5)再増悪サインの家族への教育です。回復期に「楽になった」と活動性が戻ったタイミングは、過活動による再増悪リスクもあるため、徐々に活動範囲を広げる援助も必要となります。
喘息回復期に喘鳴が残存している場合は、気道内に分泌物が貯留しているサインであり、排痰を促して気道クリアランスを保つことが看護の要点です。
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