なぜ胃潰瘍の吐血は「コーヒー残渣様」になる?酸が血液に起こす変化の正体
看護師国家試験 第115回 午前 第12問 / 必修問題
国試問題にチャレンジ
胃潰瘍による少量の吐血の特徴はどれか。
- 1.泡沫状
- 2.アセトン臭
- 3.アンモニア臭
- 4.コーヒー残渣様
対話形式の解説
博士
サクラ
博士
サクラ
博士
サクラ
博士
サクラ
博士
サクラ
博士
サクラ
博士
サクラ
博士
サクラ
博士POINT
胃潰瘍など上部消化管からの少量出血で、胃酸による血液の変性がどのような性状の吐血を生じさせるかを問う問題。「血液+胃酸=コーヒー残渣様」の図式を理解しているかが鍵となる。
解答・解説
正解は4です
問題文:胃潰瘍による少量の吐血の特徴はどれか。
解説:正解は 4 です。胃潰瘍からの出血では、流出した血液が胃内に一定時間とどまり、強酸性の胃酸(pH1〜2程度)と反応する。この過程でヘモグロビン中のヘム鉄が酸化されて塩酸ヘマチンに変化し、血液本来の鮮紅色から暗褐色〜黒褐色へと変色する。とくに少量の出血では胃内にとどまる時間が長く、胃酸による変性が十分に進むため、嘔吐したときには細かい粒状の物質が混じった「コーヒー残渣様」と表現される性状を示すのが典型である。逆に大量出血や食道静脈瘤破裂のように一気に大量の血液が排出される場合は、胃酸と反応する時間がないため鮮紅色のまま吐血されることが多い。
選択肢考察
- ×1. 泡沫状
泡沫状(ピンク色の泡を含む)の喀出物は、肺水腫や肺うっ血など肺胞内に滲出液がたまる病態で気道から喀出される所見である。消化管由来の吐血ではなく、喀血の特徴に近い性状であるため誤り。
- ×2. アセトン臭
アセトン臭(果実様の甘酸っぱい臭い)は、糖尿病性ケトアシドーシスや飢餓状態でケトン体が産生・蓄積したときに呼気から感じられる臭いである。胃潰瘍の吐血の性状を表す表現としては該当しない。
- ×3. アンモニア臭
アンモニア臭は尿毒症(腎不全による尿素窒素の蓄積)で呼気や皮膚から感じられる臭いとして知られる。吐血の性状を表す典型的表現ではなく、胃潰瘍の所見としても適切でない。
- ○4. コーヒー残渣様
胃内に出血した血液が胃酸と反応し、ヘモグロビンが塩酸ヘマチンへ変化することで暗褐色の粒状物質となり、ドリップ後のコーヒーかすのような外観を呈する。胃・十二指腸からの少量出血で時間が経過したときに典型的にみられる性状であり、これが正解。
吐血と喀血は鑑別が重要である。吐血は消化管出血で前駆症状として悪心・腹痛を伴い、pHは酸性、性状は暗赤色〜コーヒー残渣様、食物残渣を含むことが多い。一方、喀血は気道出血で咳嗽とともに排出され、pHはアルカリ性、性状は鮮紅色で泡沫状、痰が混じるのが特徴である。また、吐血した血液が腸管を下降してから排泄されると、ヘモグロビンが腸内細菌や酸の作用でさらに変性し、黒色のタール便(メレナ)として排泄される。胃潰瘍患者の看護では、バイタルサイン・ショック徴候(顔面蒼白、冷汗、頻脈、血圧低下)、Hb値、便色の観察に加え、絶飲食やNSAIDs・ピロリ菌・ストレスといった発症要因の評価も欠かせない。
胃潰瘍など上部消化管からの少量出血で、胃酸による血液の変性がどのような性状の吐血を生じさせるかを問う問題。「血液+胃酸=コーヒー残渣様」の図式を理解しているかが鍵となる。
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