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片麻痺で箸が持てない!食事の自助具選びはどの専門職と組む?

看護師国家試験 第115午後34

国試問題にチャレンジ

115午後34

入院中のAさん(43歳、男性)は脳梗塞による利き手の片麻痺がある。食事の自助具を選択することを目的に、看護師が連携する病院内の専門職で優先度が高いのはどれか。

  1. 1.義肢装具士
  2. 2.作業療法士
  3. 3.臨床工学技士
  4. 4.医療ソーシャルワーカー

対話形式の解説

博士博士
今日は43歳のAさんの事例から、チーム医療における連携相手の選び方を学ぶぞ。Aさんは脳梗塞で利き手に麻痺が残ってしまったのじゃ。
サクラサクラ
43歳って働き盛りですよね…。利き手が動かないと、食事だけでなく仕事や生活そのものに大きな影響が出そうです。
博士博士
その通りじゃ。とくに食事は1日3回、毎日のことじゃから、自助具を上手に使って少しでも自立を取り戻したい。問題は、その自助具を「誰と相談して選ぶか」じゃ。
サクラサクラ
選択肢には義肢装具士、作業療法士、臨床工学技士、医療ソーシャルワーカーが並んでいますね。どれもよく耳にする職種ですが、役割の違いがちょっと曖昧かもしれません。
博士博士
ではひとつずつ整理しよう。義肢装具士は義手・義足や、コルセット・短下肢装具といった「装具」を採型して作る職人さんのような専門職じゃ。自助具とは少し守備範囲が違うのじゃ。
サクラサクラ
なるほど、装具は身体に装着するもので、自助具はスプーンや食器など「道具」側に工夫をするもの、というイメージですね。
博士博士
良い整理じゃ。次に臨床工学技士。これは人工呼吸器、血液透析装置、人工心肺など、生命維持管理装置を扱うエンジニアじゃ。ICUや透析室で大活躍する職種じゃが、ADL支援は専門外じゃな。
サクラサクラ
ME機器のスペシャリストですね。それなら今回は違いそうです。医療ソーシャルワーカーはどうですか?退院支援でよく出てくる印象があります。
博士博士
MSWは社会福祉の専門職で、医療費の相談、介護保険や障害福祉サービスの調整、退院先の選定など、社会資源と患者を結びつける仕事じゃ。とても重要じゃが、「どの自助具が使いやすいか」を一緒に試すような職務ではない。
サクラサクラ
では残るは作業療法士ですね。OTって、具体的に何をしてくれるんでしょう?
博士博士
OTは「作業」を通じて生活の自立を支える専門職じゃ。脳卒中なら上肢機能を評価し、握る力・つまむ力・関節の動きを見て、太柄スプーンやバネ箸、滑り止めマット、縁の高い皿などを選んで実際に食事動作を訓練してくれる。
サクラサクラ
まさに今回のAさんに必要な支援そのものですね!
博士博士
さらにOTは「利き手交換訓練」も担当する。右利きだった人が左手で箸やペンを使えるよう、段階的に練習を組み立てていくのじゃ。43歳のAさんなら復職も視野に入れた長期的な関わりが必要じゃろう。
サクラサクラ
リハビリ職の役割分担も整理しておきたいです。PT・OT・STの違いがいつも混ざってしまって…。
博士博士
シンプルに覚えるとよい。PT(理学療法士)は寝返り・起き上がり・立つ・歩くといった基本動作、OTは食事・更衣・トイレなど応用的なADLや上肢機能、ST(言語聴覚士)は話す・聞く・飲み込むを担当じゃ。今回は「食事の自助具」だからOT一択じゃな。
サクラサクラ
とてもクリアになりました!看護師は患者さんの一番近くにいるからこそ、必要な専門職へ橋渡しする力が大切なんですね。

POINT

脳梗塞後の片麻痺患者に対し「食事の自助具を選ぶ」という目的を達成するうえで、どの専門職と連携するのが最適かを問う問題。ADL支援と自助具選定はOT(作業療法士)の専門領域であることを押さえれば確実に解ける。

解答・解説

正解は2です

問題文:入院中のAさん(43歳、男性)は脳梗塞による利き手の片麻痺がある。食事の自助具を選択することを目的に、看護師が連携する病院内の専門職で優先度が高いのはどれか。

解説:正解は 2 の作業療法士です。Aさんは脳梗塞によって利き手に片麻痺をきたしており、これまで使い慣れていた箸やスプーンが使えず、食事という基本的な日常生活動作(ADL)に支障が出ている状態です。作業療法士(OT)は、食事・更衣・整容・入浴などのADLや手段的日常生活動作(IADL)に対するリハビリテーションを専門とし、残存機能の評価のうえで、握りやすい太柄のスプーン、すくいやすい縁の立ち上がった皿、滑り止めマット、バネ箸などの自助具を選定・調整し、片手での操作訓練までを一貫して担うことができる。したがって食事用自助具の選択という目的に対し、最も優先度が高い連携職種は作業療法士となる。

選択肢考察

  1. ×1.  義肢装具士

    義肢装具士は、医師の処方に基づき義手・義足や下肢装具・体幹装具などを採型・製作・適合する国家資格者である。食事用の自助具は装具に分類されず、製作の主たる業務範囲ではないため、本問の連携相手としては優先度が低い。

  2. 2.  作業療法士

    作業療法士は脳卒中後の上肢機能やADL評価を行い、片麻痺患者に適した食事用自助具(太柄スプーン、バネ箸、すくいやすい食器、滑り止めなど)の選定と使用練習を担う専門職である。利き手交換訓練の指導も行うため、本問のニーズに最も合致する。

  3. ×3.  臨床工学技士

    臨床工学技士は人工呼吸器、人工透析装置、人工心肺装置といった生命維持管理装置の操作・保守点検を担う専門職であり、ADL支援や自助具の選定は業務範囲ではない。

  4. ×4.  医療ソーシャルワーカー

    医療ソーシャルワーカー(MSW)は退院後の生活設計、社会資源・介護保険サービスの調整、経済的・心理社会的問題の援助を担う。自助具の具体的な選択や訓練は専門外であり、本問の優先度は高くない。

脳梗塞による片麻痺患者のリハビリでは、理学療法士(PT)が起居・歩行などの基本動作、作業療法士(OT)が上肢機能と食事・更衣などのADL、言語聴覚士(ST)が失語・構音障害・摂食嚥下障害を担当するという役割分担を押さえておきたい。43歳という比較的若い働き盛りの男性であれば、社会復帰を見据えた利き手交換訓練や、職場・自宅環境に合わせた自助具・住宅改修の提案までOTが関与することが多い。摂食嚥下に問題が併存する場合はST、食形態の調整は管理栄養士、退院後の福祉用具やサービス調整はMSWやケアマネジャーと、目的に応じて連携先を選ぶ視点が大切である。

脳梗塞後の片麻痺患者に対し「食事の自助具を選ぶ」という目的を達成するうえで、どの専門職と連携するのが最適かを問う問題。ADL支援と自助具選定はOT(作業療法士)の専門領域であることを押さえれば確実に解ける。

※公式問題・正答は厚生労働省公開資料をもとに整理しています。