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誤嚥を防ぐ食事介助の鉄則!「顎を引く」がなぜ命を守るのか

看護師国家試験 第115午前18 / 必修問題

国試問題にチャレンジ

115午前18

誤嚥のリスクがある患者の食事援助で適切なのはどれか。

  1. 1.きざみ食を選ぶ。
  2. 2.粘り気の強い食品を選ぶ。
  3. 3.食事中は頸部前屈位をとる。
  4. 4.食後は速やかに仰臥位をとる。

対話形式の解説

博士博士
今日は誤嚥のリスクがある患者さんの食事援助について学ぶぞ。誤嚥性肺炎は高齢者の死因の上位に入る、看護師にとって最重要テーマじゃ。
サクラサクラ
誤嚥って、食べ物が気管に入ってしまうことですよね?むせる感じの…。
博士博士
その通りじゃ。ただし注意してほしいのは、高齢者ではむせない誤嚥、つまり「不顕性誤嚥」が非常に多いということ。気づかないうちに少しずつ気道に食物や唾液が入り込み、肺炎を起こすのじゃ。
サクラサクラ
えっ、むせないのに誤嚥していることがあるんですか?怖いですね。
博士博士
だからこそ、予防が何よりも大事になる。今回の選択肢から正解はどれだと思う?
サクラサクラ
んー、きざみ食を選ぶ、ですか?細かく切ってあれば飲み込みやすそうだし…。
博士博士
それが落とし穴じゃ!きざみ食は咀嚼力が落ちた人向けの食形態で、嚥下機能が落ちた人向けではないのじゃ。細かく刻まれた食物は口の中でバラバラになって食塊にまとまらず、咽頭にばらけて残留して、かえって誤嚥しやすくなる。
サクラサクラ
そうなんですか…!じゃあ嚥下機能が落ちた人にはどんな食事がいいんですか?
博士博士
ゼリー食やペースト食、ソフト食といった「まとまりやすく、変形しやすく、付着しにくい」食形態が基本じゃ。とろみも有効じゃが、餅や団子のような強い粘着性は咽頭に貼りついて窒息の原因になるから避けるのじゃ。
サクラサクラ
なるほど、ちょうどよい「中間のとろみ」がいいんですね。じゃあ正解は「食事中は頸部前屈位をとる」ですか?
博士博士
その通り、正解は3番じゃ。頸部前屈位、つまり顎を軽く引いた姿勢のことを「チンダウン」とも呼ぶ。これをとると咽頭と気管の角度が鋭角になって、喉頭蓋がしっかり気管の入口を覆ってくれるのじゃ。
サクラサクラ
逆に上を向いて飲み込むと…
博士博士
気道がまっすぐ開いてしまって、食物が気管にダイレクトに流れ込んでしまう。だから「上を向いて薬を飲む」のは実は危険な動作なのじゃ。臨床ではベッドのギャッジアップを30〜60度にして、さらに枕で頸部を前屈させるのが標準じゃ。
サクラサクラ
選択肢4の「食後は速やかに仰臥位をとる」はどうしてダメなんですか?食後は休ませてあげたい気もしますが…。
博士博士
食後すぐに横になると、胃の内容物が食道に逆流しやすくなる。それを気道に吸い込んでしまうのが逆流性誤嚥じゃ。食後は最低30分、できれば1〜2時間は座位や半座位を保つのが鉄則じゃよ。
サクラサクラ
姿勢ひとつでこんなに違うんですね。他にも気をつけることはありますか?
博士博士
食前のRSST(反復唾液嚥下テスト)や水飲みテストで嚥下機能を評価すること、一口量はティースプーン1杯程度に抑えること、ゆっくり交互嚥下を促すこと、そして食後の口腔ケアじゃ。口腔内の細菌が誤嚥性肺炎の主な原因になるからのう。
サクラサクラ
食事介助って、ただ食べさせるだけじゃなくて、姿勢・食形態・量・速度・口腔ケアまで含めた総合的なケアなんですね。
博士博士
その通りじゃ。看護師の一手間が患者さんの命を守る。これこそが誤嚥予防における看護の本質といえるじゃろう。

POINT

誤嚥のリスクを持つ患者に対する食事介助の基本原則を問う問題。食形態の選択、姿勢調整(特に頸部前屈位)、食後の体位管理という3つの視点を整理しておくことがカギ。

解答・解説

正解は3です

問題文:誤嚥のリスクがある患者の食事援助で適切なのはどれか。

解説:正解は 3 です。誤嚥とは、食物や唾液などが声門を越えて気管側に入り込む現象を指す。嚥下のメカニズムは、口腔期で食塊を形成し、咽頭期で軟口蓋が挙上して鼻腔への逆流を防ぎつつ喉頭蓋が反転して気管入口を閉鎖、食道期で食道入口部が開いて食塊が下方へ送られるという一連の協調運動から成る。頸部前屈位(顎引き、チンダウン)をとると、咽頭と気管の角度が鋭角になり喉頭蓋がより確実に気管入口を覆うため、誤嚥のリスクを物理的に低減できる。逆に頸部後屈位は気道がまっすぐ開いてしまい、食物が気管に流入しやすくなるため厳禁である。

選択肢考察

  1. ×1.  きざみ食を選ぶ。

    きざみ食は咀嚼力が低下した患者向けの形態であり、誤嚥予防食ではない。細かく刻んだだけの食物は唾液と混ざっても食塊としてまとまりにくく、口腔内や咽頭にばらけて残留し、かえって誤嚥や咽頭残留のリスクを高める。嚥下機能が低下している場合は、まとまりやすく変形しやすいゼリー食・ペースト食・ソフト食などが選択される。

  2. ×2.  粘り気の強い食品を選ぶ。

    適度なとろみは食塊を一塊にまとめて咽頭通過の速度を緩やかにするため有効だが、餅・団子・粘度の強すぎる食品は咽頭や喉頭に貼りつき、窒息や残留性誤嚥の原因となる。日本摂食嚥下リハビリテーション学会の嚥下調整食分類でも、付着性が高すぎる食品は避けるべきとされており、「中間のとろみ(はちみつ状)」が標準的に推奨される。

  3. 3.  食事中は頸部前屈位をとる。

    頸部前屈位(顎を軽く引いた姿勢)は、咽頭から気管への角度を鋭角化し、喉頭蓋が気管入口部をしっかり覆うため、食物が気道に侵入しにくくなる。これは誤嚥予防における最も基本的な姿勢調整であり、ベッド上では30〜60度の半座位+頸部前屈を組み合わせるのが標準的とされる。

  4. ×4.  食後は速やかに仰臥位をとる。

    食後すぐに仰臥位をとると、胃内容物が食道へ逆流しやすくなり、それを気道へ吸い込むことで起こる「逆流性誤嚥(不顕性誤嚥)」のリスクが高まる。食後は最低でも30分〜2時間程度は座位や半座位(ファウラー位)を保持し、胃内容が小腸へ送られるのを待つことが推奨される。

誤嚥は高齢者の死因上位を占める誤嚥性肺炎の直接的な引き金となるため、看護師の食事介助はリスク管理の要となる。基本の介助原則は「姿勢調整(30〜60度ギャッジアップ+頸部前屈)」「一口量はティースプーン1杯程度」「ゆっくり交互嚥下」「食後の口腔ケア」「食後30分以上の座位保持」の5点。さらに食事前にはRSST(反復唾液嚥下テスト)や水飲みテストで嚥下機能を評価し、必要に応じて言語聴覚士と連携する。不顕性誤嚥(むせのない誤嚥)の存在も念頭に置き、食後の呼吸状態や発熱もこまめに観察したい。

誤嚥のリスクを持つ患者に対する食事介助の基本原則を問う問題。食形態の選択、姿勢調整(特に頸部前屈位)、食後の体位管理という3つの視点を整理しておくことがカギ。

※公式問題・正答は厚生労働省公開資料をもとに整理しています。