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タイミング法から人工授精、そしてARTへ——不妊治療のステップを整理しよう

看護師国家試験 第115午後64

国試問題にチャレンジ

115午後64

一般不妊治療はどれか。

  1. 1.胚移植
  2. 2.顕微授精
  3. 3.人工授精
  4. 4.体外受精

対話形式の解説

博士博士
今回は『一般不妊治療はどれか』という問題じゃ。胚移植・顕微授精・人工授精・体外受精の4つから選ぶのじゃが、まずは不妊治療がどう分類されるかを押さえようかの。
サクラサクラ
えっと…『一般』と『生殖補助医療』に分かれるって聞いたことがあります。でも線引きが曖昧で。
博士博士
良い導入じゃ。日本生殖医学会の整理では、自然妊娠に近い形を目指す『一般不妊治療』と、卵子を体外に取り出して操作する『生殖補助医療(ART:Assisted Reproductive Technology)』に大別される。一般不妊治療には、タイミング法・排卵誘発法・人工授精(AIH/IUI)が入るのじゃよ。
サクラサクラ
なるほど、『体の外に卵子を出すかどうか』が分け目なんですね。
博士博士
そういうことじゃ。ARTには体外受精(IVF)、顕微授精(ICSI)、そして得られた胚を子宮に戻す胚移植(ET)が含まれる。今回の選択肢のうち、胚移植・顕微授精・体外受精はすべてARTじゃから、消去法でも答えが見えてくるのう。
サクラサクラ
じゃあ正解は『人工授精』ですね。改めて、人工授精ってどんな処置なんですか?
博士博士
人工授精は、パートナーの精液を遠心分離などで洗浄・濃縮し、運動性の良い精子だけを排卵期に合わせて細いカテーテルで子宮腔内に直接注入する方法じゃ。受精と着床自体は体内で起こる点がポイントじゃな。軽度の男性不妊や頸管粘液の不良、性交障害、タイミング法で妊娠に至らない場合などが適応となる。
サクラサクラ
それに対して体外受精や顕微授精は『体の外で受精させる』ところが大きな違いなんですね。
博士博士
その通り。体外受精は卵子と精子を培養液中で出会わせ自然受精を待つ方法、顕微授精は重度の男性不妊などで卵子の細胞質内に1個の精子を直接針で注入する方法じゃ。どちらも採卵が必要で、できた胚を培養してから子宮に戻す胚移植までセットになる。
サクラサクラ
不妊の原因は女性側だけじゃなくて、男性側にもあるんですよね?
博士博士
鋭いの。不妊の原因は女性因子(排卵障害・卵管因子・子宮因子など)、男性因子(造精機能障害・性機能障害など)、そして原因不明(機能性不妊)に分けられ、男女ほぼ半々で関与すると言われておる。だから検査も治療もカップル単位で考える必要があるのじゃ。
サクラサクラ
治療はいきなりARTから始めるわけではないんですよね?
博士博士
うむ。原則として低侵襲なタイミング法から開始し、数周期効果がなければ人工授精、それでも妊娠に至らなければARTへと段階的にステップアップしていく。年齢や原因によっては最初からARTを選ぶこともあるがの。
サクラサクラ
2022年から保険が効くようになったって聞きました。
博士博士
よく知っておるのう。2022年4月から人工授精に加え、体外受精・顕微授精・胚移植も公的医療保険の適用となった。ただし治療開始時に女性が43歳未満であること、胚移植は40歳未満で通算6回まで・40〜43歳未満で通算3回までといった年齢・回数制限が設けられておる。
サクラサクラ
費用負担は軽くなっても、年齢や回数の壁はやはりあるんですね。看護師としてはどんな関わりが大事ですか?
博士博士
不妊治療は注射や採卵などの身体的苦痛に加え、結果が出るまでの不安、経済的負担、周囲に話しづらい孤立感など心理的負担も大きい。不妊症看護認定看護師や生殖医療コーディネーターと連携し、治療の選択肢を理解した上で意思決定できるよう情報提供と感情面のケアを行うことが重要じゃ。カップル双方への支援、という視点も忘れてはならぬぞ。
サクラサクラ
『どこまで治療を続けるか』という決断も含めて伴走する役割なんですね。よく分かりました。

POINT

不妊治療を「一般不妊治療(タイミング法・排卵誘発・人工授精)」と「生殖補助医療=ART(体外受精・顕微授精・胚移植)」の2群に分類できるかを問う問題。体外で受精操作を行うかどうかが両者を分ける基本的な判断軸である。

解答・解説

正解は3です

問題文:一般不妊治療はどれか。

解説:正解は 3 の「人工授精」です。不妊治療は大きく「一般不妊治療」と「生殖補助医療(ART:Assisted Reproductive Technology)」に分類されます。一般不妊治療は、自然妊娠に近い形での妊娠成立を目指す比較的低侵襲な治療を指し、具体的には基礎体温や超音波・LHサージの測定を用いて排卵日を推定し性交を促す「タイミング法(タイミング指導)」、クロミフェンやゴナドトロピン製剤などを用いる「排卵誘発法」、そして洗浄・濃縮した良好精子を排卵期に子宮腔内に注入する「人工授精(AIH/IUI:intrauterine insemination)」が含まれます。一方、卵子を体外に取り出して受精させる体外受精・顕微授精、および受精卵を子宮に戻す胚移植は、いずれも生殖補助医療(ART)に位置づけられます。したがって一般不妊治療に該当するのは人工授精のみであり、3が正解となります。なお2022年4月からは、人工授精に加え体外受精・顕微授精・胚移植も一定の年齢・回数制限のもとで公的医療保険の適用対象となっています。

選択肢考察

  1. ×1.  胚移植

    胚移植(ET:embryo transfer)は、体外受精や顕微授精で得られた受精卵(胚)を培養後に子宮腔内へ戻す手技で、生殖補助医療(ART)の最終工程に位置づけられる。一般不妊治療には含まれない。

  2. ×2.  顕微授精

    顕微授精(ICSI:intracytoplasmic sperm injection)は、顕微鏡下で1個の精子を直接卵子の細胞質内に注入して受精させる高度な技術で、重度の男性不妊や通常の体外受精で受精が成立しない場合に行われる。生殖補助医療に分類され、一般不妊治療ではない。

  3. 3.  人工授精

    人工授精(AIH/IUI)は、洗浄・濃縮処理した精子を排卵時期に合わせて細いカテーテルで子宮腔内へ直接注入する方法。受精・着床は体内で起こるため、ARTには含まれず一般不妊治療に位置づけられる。タイミング法で妊娠に至らない場合や、軽度の男性不妊・頸管粘液不良などで適応となる。

  4. ×4.  体外受精

    体外受精(IVF:in vitro fertilization)は、採卵によって取り出した卵子と精子を培養液中で受精させる治療で、生殖補助医療の代表的手技。卵管性不妊・原因不明不妊・一般不妊治療で妊娠が成立しない場合などに適応となり、一般不妊治療には分類されない。

日本生殖医学会の分類では、一般不妊治療=タイミング指導・排卵誘発法・人工授精、生殖補助医療(ART)=体外受精・顕微授精・胚移植・凍結融解胚移植などとされる。治療は通常、低侵襲なタイミング法から始め、効果が得られなければ人工授精、さらにARTへとステップアップしていく。2022年4月の保険適用拡大では、女性側の年齢が治療開始時43歳未満であることや、40歳未満は通算6回まで・40〜43歳未満は通算3回までといった胚移植回数制限が設けられた。不妊治療は身体的・経済的・心理的負担が大きく、不妊症看護認定看護師や生殖医療コーディネーターによる意思決定支援、カップル双方への心理的サポートが重要となる。

不妊治療を「一般不妊治療(タイミング法・排卵誘発・人工授精)」と「生殖補助医療=ART(体外受精・顕微授精・胚移植)」の2群に分類できるかを問う問題。体外で受精操作を行うかどうかが両者を分ける基本的な判断軸である。

※公式問題・正答は厚生労働省公開資料をもとに整理しています。