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採血で「しびれませんか?」と聞く本当の理由 ― 神経損傷を防ぐひと声

看護師国家試験 第115午前21 / 必修問題

国試問題にチャレンジ

115午前21

静脈血採血で針を刺入した直後に、患者にしびれがないかを確認する目的はどれか。

  1. 1.感染症の予防
  2. 2.神経損傷の予防
  3. 3.皮下血腫の予防
  4. 4.血管迷走神経反応の予防

対話形式の解説

博士博士
今日は静脈血採血の基本動作について学ぶぞ。採血のとき、看護師が刺した直後に「しびれはありませんか?」と必ず尋ねる場面を見たことがあるじゃろう?
サクラサクラ
はい、実習でも先輩がすぐに声をかけていました。あれって何のために聞いているんですか?
博士博士
ふむ、選択肢を見ると感染予防、神経損傷予防、皮下血腫予防、血管迷走神経反応予防の4つがあるが、君ならどれを選ぶ?
サクラサクラ
えーと…感染予防…ですか?清潔操作って大事って習ったので。
博士博士
おしい!感染予防は確かに大事じゃが、それは消毒や手袋、清潔操作で行うものじゃ。しびれを確認することと感染予防は結びつかないのじゃよ。正解は「神経損傷の予防」じゃ。
サクラサクラ
神経損傷?採血で神経って傷つくんですか?
博士博士
そうなんじゃ。前腕の表在静脈の近くには、正中神経の皮枝や外側前腕皮神経、内側前腕皮神経といった末梢神経が走っておる。血管と神経の距離は数ミリ単位で、実はとても近いのじゃ。
サクラサクラ
そんなに近いんですか…!針が神経に当たったらどうなるんですか?
博士博士
針先が神経に触れたり貫いたりすると、その瞬間に「ビリッ!」とした電撃痛や、指先に走るしびれを患者が感じる。これは神経が刺激されているサインで、ここですぐ気づいて抜針すれば、多くは大きな後遺症を残さずにすむのじゃ。
サクラサクラ
なるほど、だから刺した瞬間にすぐ聞くんですね。後で聞いても遅いと。
博士博士
その通りじゃ。さらに気をつけたいのは、患者がしびれを訴えたときに「気のせいですよ」と続けないこと。迷わず抜針し、別の部位で再穿刺するのが鉄則じゃ。
サクラサクラ
他の選択肢も気になります。皮下血腫はどうやって防ぐんですか?
博士博士
皮下血腫は血管を貫いたり、抜針後の圧迫止血が不十分なときに起こる。予防は適切な穿刺角度と、抜針後にしっかり5分ほど圧迫することじゃな。
サクラサクラ
血管迷走神経反応というのは?
博士博士
VVR(vasovagal reaction)じゃな。不安や痛み、空腹、長時間の座位などをきっかけに副交感神経が優位になり、徐脈・血圧低下・冷汗・気分不快・失神を起こす現象じゃ。採血では声かけや臥位での実施、食後の確認などで予防する。
サクラサクラ
同じ採血の合併症でも、予防方法はまったく違うんですね。
博士博士
そういうことじゃ。だからこそ、それぞれの観察項目が何を見ているのかを区別して理解することが大切なのじゃ。しびれは神経、血腫は出血、VVRはバイタル変動、と紐づけて覚えるとよい。
サクラサクラ
採血って単純な手技に見えて、いろんなリスクを同時に見ているんですね。声かけひとつにもちゃんと意味があると分かりました。
博士博士
看護師の「しびれませんか?」というひと言が、患者の一生のしびれを防ぐ可能性があるのじゃ。基本動作ほど、その意味を理解して実施することが重要じゃよ。

POINT

静脈血採血の穿刺直後に「しびれの有無」を確認する臨床的意義を問う問題。しびれ=神経刺激のサインであり、神経損傷の早期発見・早期対応につなげるための重要な観察項目であることを押さえる。

解答・解説

正解は2です

問題文:静脈血採血で針を刺入した直後に、患者にしびれがないかを確認する目的はどれか。

解説:正解は 2 です。静脈血採血で穿刺直後に「しびれや電撃痛がありませんか」と確認するのは、針先が末梢神経に触れていないかを評価し、神経損傷を早期に回避するためです。前腕の表在静脈(橈側皮静脈、尺側皮静脈、正中皮静脈など)の近傍には正中神経の皮枝、外側前腕皮神経、内側前腕皮神経などが走行しており、解剖学的に静脈と神経の距離は数ミリ単位で近接しています。針先が神経に触れたり貫いたりすると、患者は刺入の瞬間に強いしびれ・放散痛・電撃痛を訴えることが多く、この訴えをサインに即座に抜針し、別の穿刺部位へ変更することで、神経損傷(採血後神経障害)を未然に防ぐことができます。

選択肢考察

  1. ×1.  感染症の予防

    穿刺部位の感染は手指衛生・手袋装着・アルコール綿による皮膚消毒・清潔操作などによって予防する。しびれの有無を確認しても感染リスクの評価にはならない。

  2. 2.  神経損傷の予防

    刺入直後に生じるしびれや電撃痛は、針先が末梢神経に接触している徴候。患者の訴えを直ちに確認し、抜針・穿刺部位の変更を行うことで、永続的な神経障害への進展を防ぐことができる。

  3. ×3.  皮下血腫の予防

    皮下血腫(皮下出血)は血管を貫いたり、抜針後の圧迫止血が不十分なときに生じる。予防には適切な穿刺部位の選択と抜針後の十分な圧迫止血が重要で、しびれの確認とは目的が異なる。

  4. ×4.  血管迷走神経反応の予防

    血管迷走神経反応(VVR)は不安や疼痛、長時間の座位などを契機に副交感神経が過剰に働き、徐脈・血圧低下・冷汗・気分不快・失神などを生じる現象。予防には体位の工夫や声かけ、採血前の食事確認などが重要で、しびれ確認とは別の目的で行われる。

採血による神経損傷は、頻度は高くないものの一度起これば回復に時間を要し、しびれや疼痛が遷延すると医療紛争にもつながり得る重大な合併症である。予防のためには、(1)肘正中皮静脈など神経が比較的少ない部位を優先する、(2)深く・斜めに刺し込み過ぎない、(3)針を左右に動かして血管を探さない、(4)穿刺直後に「ビリッとしたしびれや指先に走る痛みはありませんか」と必ず声をかける、という基本動作が重要である。患者がしびれを訴えた場合は迷わず抜針し、症状の部位・性状・持続時間を記録し、必要に応じて医師へ報告する。なお、しびれ確認は穿刺直後だけでなく、駆血帯解除後・抜針後にも繰り返し評価することが望ましい。

静脈血採血の穿刺直後に「しびれの有無」を確認する臨床的意義を問う問題。しびれ=神経刺激のサインであり、神経損傷の早期発見・早期対応につなげるための重要な観察項目であることを押さえる。

※公式問題・正答は厚生労働省公開資料をもとに整理しています。