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静脈血採血の手技

基礎看護学 / 注射・与薬・輸液・輸血

解説

今回は静脈血採血の手技について解説します。静脈血採血とは、検査のために皮静脈から血液を採取する医療行為であり、診療の補助業務として看護師が実施する代表的な手技です。安全で正確な検体採取のために、解剖学的知識、器具の特徴、手順、合併症への対応を体系的に理解しておく必要があります。

穿刺部位の選択

成人の静脈採血における第一選択は肘正中皮静脈です。肘正中皮静脈は太く、走行がまっすぐで、皮膚から浅い位置にあり、神経や動脈から離れているため、穿刺による合併症のリスクが低いという特徴があります。代替部位として橈側皮静脈や尺側皮静脈、前腕正中皮静脈、手背静脈がありますが、橈側皮静脈は橈骨神経が近接し、尺側皮静脈は尺骨神経や上腕動脈が近接するため、神経損傷や動脈穿刺の危険があり優先度は低くなります。 また、穿刺を避けるべき部位として、麻痺側の上肢、内シャント造設側、乳がん術後でリンパ節郭清を行った側、点滴を留置している側があります。これらは循環障害やリンパ浮腫の悪化、薬液の混入による検査値の誤差を招くためです。

採血管の種類と検査項目

採血管はキャップの色によって内部の添加剤が区別されており、検査項目に応じて使い分けます。紫色キャップはEDTA-2Kが入っており、血球数算定(血算)に用いられます。黒色や水色のキャップはクエン酸ナトリウム入りで、凝固検査や赤血球沈降速度測定に使用します。緑色キャップはヘパリン入りで血液ガス分析や染色体検査に、灰色キャップはフッ化ナトリウム入りで血糖測定に、赤色や茶色のキャップは凝固促進剤入りで生化学検査や血清学的検査に用います。抗凝固剤入りの採血管は採取後にすみやかに転倒混和し、決められた採血順序を守ることが正確な検査結果につながります。

採血針の選択

成人の静脈採血では一般に22Gの針が標準的に用いられ、21〜23Gの範囲で選択します。針の太さを表すゲージ(G)は数値が大きいほど針が細いことを示し、細すぎる針を選ぶと赤血球が破壊されて溶血を起こし検査値が乱れます。針サイズの目安として、14〜16Gは緊急時の大量輸液、18Gは輸血、20Gは末梢静脈路確保、24〜26Gは小児、27G以下は皮内注射やインスリン投与に用いられます。穿刺時は針の刃面(ベベル)を上に向け、皮膚に対して15〜20度の角度で刺入します。

採血手順と駆血帯の操作

採血は駆血帯を心臓より約10cm中枢側に巻き、1分以内、長くても2分以内にとどめます。長時間の駆血は血液濃縮や検査値の変動を招きます。手順としては、駆血、穿刺、採血管の装着、採血、採血管の抜去、駆血帯の解除、抜針、圧迫止血の順で行います。真空採血管を用いる場合、ホルダーから採血管を抜き取った後に駆血帯を解除することが重要で、先に駆血を外すと採血量不足や試薬の血管内逆流のおそれがあります。抜針後は揉まずに垂直方向に3〜5分以上圧迫止血し、抗凝固薬を内服している患者ではさらに長く圧迫します。穿刺中にしびれや放散痛を訴えた場合は神経損傷を疑い、ただちに抜針します。

安全管理と針刺し事故対策

採血器具の取り扱いではリキャップ禁止が原則で、使用後の針は専用の耐貫通性廃棄容器にただちに廃棄します。廃棄容器は手の届く範囲で針を持つ手側に置き、安全機構付きの針を使用することで針刺し事故を予防します。標準予防策に従い手指衛生と手袋着用を徹底します。万一針刺し事故が発生した場合は、流水で十分に洗浄し、ただちに上司や感染対策部門へ報告、源患者のHBV・HCV・HIV検査を行い、必要に応じてHBVワクチンやHIVの曝露後予防内服(PEP)を実施します。

自己血糖測定

患者自身が在宅で簡単に測定できる検査として**自己血糖測定(SMBG)**があります。指先などの毛細血管から微量の血液を採取し、簡易血糖測定器で値を確認します。穿刺の第1滴は組織液が混入しているため拭き取り、第2滴で測定するのが基本で、穿刺部位は毎回変えて感染と皮膚障害を防ぎます。近年では持続血糖測定(CGM)やフラッシュグルコースモニタリング(FGM)も普及しています。

まとめ

静脈血採血は肘正中皮静脈を第一選択とし、22G前後の針で15〜20度の角度で穿刺します。採血管は色で添加剤と検査項目を判別し、駆血帯は1分以内、解除のタイミングは採血管抜去後です。抜針後は3〜5分以上の圧迫止血、リキャップ禁止と専用容器への即時廃棄、標準予防策の遵守が安全な手技の基本です。これらを正確に身につけることで、患者の苦痛を最小限に抑え、信頼できる検査結果を得ることができます。

確認問題(穴埋め)

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  1. 1.

    成人の静脈採血における第一選択の血管はである。

  2. 2.

    血球数算定(血算)に用いられる紫色キャップの採血管に含まれる抗凝固剤はである。

  3. 3.

    血糖測定用の採血管に含まれる解糖阻止剤はであり、キャップの色はである。

  4. 4.

    凝固検査や赤血球沈降速度測定に用いられる採血管には抗凝固剤としてが含まれている。

  5. 5.

    成人の静脈採血で標準的に用いられる針の太さはGで、皮膚に対する穿刺角度は度である。

  6. 6.

    駆血帯は穿刺部位から心臓側に約cmの位置に巻き、駆血時間は原則分以内とする。

  7. 7.

    真空採血管を用いる場合、駆血帯を解除するタイミングはホルダーから採血管をした後である。

  8. 8.

    抜針後は穿刺部を揉まずに分以上圧迫止血する。

  9. 9.

    使用済みの採血針はせず、専用の廃棄容器にただちに廃棄する。

  10. 10.

    採血を避けるべき部位として、麻痺側、側、乳がん術後でリンパ節郭清を行った側、点滴留置側が挙げられる。

静脈血採血の手技」の過去問演習

※公式問題・正答は厚生労働省公開資料をもとに整理しています。