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尿比重が下がるのはどれ?尿崩症と糖尿病の決定的な違い

看護師国家試験 第115午前37

国試問題にチャレンジ

115午前37

尿比重が低くなるのはどれか。

  1. 1.糖尿病(diabetes mellitus)
  2. 2.尿崩症(diabetes insipidus)
  3. 3.水欠乏性脱水
  4. 4.ネフローゼ症候群(nephrotic syndrome)

対話形式の解説

博士博士
今日は尿比重の問題じゃ。尿比重とは、尿に溶けている物質の濃さを水と比べた値での、腎臓の濃縮力を映す鏡のようなものなんじゃ。
サクラサクラ
正常値ってどのくらいなんですか?
博士博士
成人で大体1.015〜1.025じゃ。水分を控えれば濃くなって上がり、たくさん飲めば薄くなって下がる。腎臓は状況に応じてこの幅を巧みに調節しておるのじゃ。
サクラサクラ
なるほど。じゃあ尿比重が「下がる」ってことは、薄い尿がたくさん出ている状態ですね?
博士博士
その通り!では選択肢を見てみよう。糖尿病、尿崩症、水欠乏性脱水、ネフローゼ症候群…どれが薄い尿を出すと思う?
サクラサクラ
う〜ん、糖尿病って多尿になるって聞いたことがあるので、糖尿病でしょうか?
博士博士
いい着眼点じゃが、それは罠じゃよ。糖尿病では血糖が腎臓の閾値を超えると尿に糖が漏れ出す。すると尿の中に糖という溶質が増えるじゃろ?だから尿量は増えても尿比重はむしろ高くなるんじゃ。
サクラサクラ
あ、そうか…溶けているものが多ければ濃く見えるんですね。
博士博士
その通り。同じ理由でネフローゼ症候群も間違いじゃ。糸球体から大量の蛋白質が漏れ出して尿に混じるから、比重は高くなりやすい。
サクラサクラ
水欠乏性脱水は、体が水分不足ですから尿を濃くしますよね?
博士博士
うむ、正解じゃ。脱水になると下垂体後葉からADH(抗利尿ホルモン)が分泌されて、腎臓の集合管で水を必死に再吸収する。結果、尿は濃縮されて比重は1.030近くまで上がるんじゃ。
サクラサクラ
そうすると残るのは尿崩症ですね。これが正解?
博士博士
ご名答!尿崩症はADHの分泌が足りない中枢性と、ADHが効かない腎性の2タイプがあるが、いずれも集合管で水が再吸収できない。その結果、1日に3リットル以上の薄い尿がジャージャー出てしまうのじゃ。比重は1.005以下になることも珍しくないぞ。
サクラサクラ
ちなみに、糖尿病と尿崩症って名前が似ていますけど、関係あるんですか?
博士博士
面白い視点じゃ。ラテン語で diabetes は「通り抜ける」、mellitus は「甘い」、insipidus は「味がない」という意味じゃ。昔は医師が尿を舐めて鑑別しておった名残でな、甘い尿が糖尿病、味のない尿が尿崩症と呼ばれたのじゃよ。
サクラサクラ
えっ、舐めてたんですか…!でも語源を知ると覚えやすいですね。
博士博士
鑑別には水制限試験を行う。普通なら飲水を制限すれば尿は濃縮されるが、尿崩症では薄いままなんじゃ。さらにバソプレシンを投与して、反応すれば中枢性、反応しなければ腎性と分類できる。
サクラサクラ
看護のポイントは何ですか?
博士博士
大量の希釈尿が出ると脱水と高ナトリウム血症のリスクが高まる。だから飲水量・尿量・体重・血清電解質のモニタリングが不可欠じゃ。意識障害の患者では自分で水を飲めず命に関わることもあるからの。
サクラサクラ
溶質が多ければ比重は上がる、水ばかり出れば下がる、というシンプルな原則を押さえれば解けますね!

POINT

尿比重を変化させる疾患の鑑別問題。尿中の溶質(糖・蛋白・電解質)が多いと比重は上がり、水分過剰排泄(ADH作用障害)では比重が下がるという原則を押さえることが鍵。

解答・解説

正解は2です

問題文:尿比重が低くなるのはどれか。

解説:正解は 2 です。尿比重とは、尿に含まれる溶質の濃さを水(比重1.000)と比較した値で、正常成人では概ね1.015〜1.025程度を示します。尿比重は腎臓の濃縮力と希釈力を反映する指標で、抗利尿ホルモン(ADH/バソプレシン)の分泌や腎集合管での水再吸収の状態を評価するうえで重要です。尿崩症(diabetes insipidus)は、ADHの分泌不足(中枢性)またはADHに対する腎臓の反応性低下(腎性)により、集合管での水再吸収が障害される疾患です。その結果、希釈された大量の尿(多尿)が排泄され、尿比重は1.005以下まで低下することが特徴です。

選択肢考察

  1. ×1.  糖尿病(diabetes mellitus)

    高血糖により腎の閾値(約170〜180mg/dL)を超えると尿中にブドウ糖が排泄され、尿糖が溶質として尿に加わることで尿比重は上昇する。浸透圧利尿による多尿が起こっても、尿中の溶質濃度が高いため比重は低くならない。

  2. 2.  尿崩症(diabetes insipidus)

    ADH作用の欠如または不応により集合管で水が再吸収されず、希釈尿が大量に排出される。1日尿量が3L以上の多尿となり、尿比重は1.005以下と著しく低くなる。多飲・口渇・夜間多尿を伴う点も特徴。

  3. ×3.  水欠乏性脱水

    体液量の減少に対し下垂体後葉からADHが分泌され、集合管での水再吸収が亢進する。その結果、尿は濃縮されて尿量は減少し、尿比重は1.030程度まで上昇する。

  4. ×4.  ネフローゼ症候群(nephrotic syndrome)

    糸球体基底膜の透過性亢進により大量の蛋白質が尿中へ漏出する。アルブミンなどの溶質が尿に含まれるため尿比重は高値を示すことが多く、低下はしない。

尿比重と関連深いのが尿浸透圧で、いずれも腎の濃縮・希釈能力を見る指標です。正常成人の尿比重は1.015〜1.025、尿浸透圧は50〜1300mOsm/kgH2Oと幅広く調節されます。尿崩症では「水様の尿が出る糖尿病もどき」と覚えるとよく、糖尿病(diabetes mellitus)が「甘い味の尿」を指すのに対し、尿崩症(diabetes insipidus)は「味のない(insipid)尿」を意味するラテン語に由来します。鑑別には水制限試験(飲水制限下でも尿が希釈されたままなら尿崩症)やバソプレシン負荷試験を用い、中枢性か腎性かを見極めます。臨床では脱水・電解質異常(高Na血症)に直結するため、看護では水分出納と体重変化のモニタリングが重要です。

尿比重を変化させる疾患の鑑別問題。尿中の溶質(糖・蛋白・電解質)が多いと比重は上がり、水分過剰排泄(ADH作用障害)では比重が下がるという原則を押さえることが鍵。

※公式問題・正答は厚生労働省公開資料をもとに整理しています。