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尿崩症とバソプレシン

人体の構造・機能 / 腎泌尿器・体液恒常性

解説

尿崩症とは、バソプレシン(抗利尿ホルモン、ADH)の作用不足により腎臓で水を再吸収できず、希釈尿が大量に排泄される疾患です。本稿では、ホルモンの基本から疾患・看護のポイントまで整理します。

バソプレシン(ADH)の基本

バソプレシンは、視床下部の視索上核・室傍核で産生され、軸索を介して下垂体後葉から血中へ分泌されます。「産生と分泌の場所が異なる」点は国試頻出です。作用部位は腎臓の集合管で、水の再吸収を促進し、体液量と血漿浸透圧を一定に保ちます。血漿浸透圧の上昇や循環血液量の減少が分泌刺激となります。

尿崩症の症状と検査所見

バソプレシン作用不足により水が再吸収されず、薄い尿が大量に出ます。代表的症状は、多尿(1日5L以上、ときに10L以上)、口渇多飲、夜間頻尿、不眠です。体液浸透圧が上昇するため口渇が生じ、飲水で代償します。

検査所見では、尿比重低下(1.005以下、基準1.010〜1.025)、尿浸透圧低下(110mOsm/kg程度、基準約500〜800mOsm/kg)、血漿浸透圧は上昇傾向を示します。

分類と鑑別

中枢性と腎性

中枢性尿崩症は、腫瘍・外傷・下垂体手術・感染などによる下垂体・視床下部のADH分泌障害が原因です。腎性尿崩症は、集合管のADH受容体や下流シグナルの異常で、遺伝性や薬剤性、電解質異常(低K血症、高Ca血症)で起こります。

鑑別検査

水制限試験で尿濃縮能を評価し、バソプレシン(DDAVP)負荷試験で中枢性は尿浸透圧が上昇、腎性は反応しないことを確認します。糖尿病による浸透圧利尿との鑑別も重要で、糖尿病では高比重・高浸透圧尿、尿糖陽性、血糖高値が特徴です。

治療

中枢性は**デスモプレシン(DDAVP)**の点鼻・内服・注射で補充します。腎性は原因薬剤の中止、サイアザイド系利尿薬、低塩食が用いられます。

関連ホルモンとSIADH

SIADH(バソプレシン分泌過剰症候群)はADH過剰で水が貯留し、低Na血症と乏尿をきたす、尿崩症の対照的疾患です。水・電解質調節には、副腎皮質のアルドステロン(Na再吸収・K排泄)、心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP、Na・水排泄)、ACTHなども関与します。

看護のポイント

飲水量と尿量の正確なIN/OUTバランス記録、血清Na・体重・皮膚ツルゴール・口渇の観察が基本です。安易な飲水制限は脱水・高Na血症を招くため禁忌に近い対応です。DDAVPは飲み忘れに注意し、服薬指導を徹底します。

確認問題(穴埋め)

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  1. 1.

    バソプレシンは視床下部の視索上核とで産生され、下垂体から分泌される。

  2. 2.

    バソプレシンは腎臓のにおける水の再吸収を促進する。

  3. 3.

    尿崩症では1日尿量がL以上に達する多尿、口渇、多飲がみられる。

  4. 4.

    尿崩症の検査所見では、尿比重は以下に低下し、尿浸透圧も低下する。

  5. 5.

    中枢性尿崩症の治療には(DDAVP)の補充療法が行われる。

  6. 6.

    腎性尿崩症ではADH負荷試験で尿浸透圧がのが特徴である。

  7. 7.

    ADHの過剰分泌により低Na血症と乏尿をきたす疾患をという。

  8. 8.

    尿崩症の患者に安易な飲水制限を行うと、脱水とを招く危険がある。

  9. 9.

    糖尿病による浸透圧利尿との鑑別では、糖尿病では尿糖で高浸透圧尿となる。

尿崩症とバソプレシン」の過去問演習

※公式問題・正答は厚生労働省公開資料をもとに整理しています。