土から忍び寄る破傷風菌、その正体に迫る
看護師国家試験 第115回 午前 第4問 / 必修問題
国試問題にチャレンジ
土壌中に分布し感染を引き起こすのはどれか。
- 1.結核菌
- 2.コレラ菌
- 3.破傷風菌
- 4.カンピロバクター
対話形式の解説
博士
サクラ
博士
サクラ
博士
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博士
サクラ
博士
サクラ
博士POINT
細菌の生息環境と感染経路を結びつける問題であり、土壌中に芽胞として分布し創傷から感染する破傷風菌を選び出せるかが問われている。
解答・解説
正解は3です
問題文:土壌中に分布し感染を引き起こすのはどれか。
解説:正解は3の破傷風菌である。破傷風菌(Clostridium tetani)はグラム陽性の偏性嫌気性桿菌で、芽胞を形成する性質を持つ。芽胞は乾燥・熱・消毒薬に対して非常に強い抵抗性を示し、世界中の土壌や塵埃、動物の腸管内・糞便中に広く分布している。釘を踏む・農作業中の創傷・園芸での擦過傷など、土壌で汚染された傷口から芽胞が体内に侵入すると、嫌気的環境(深い創や壊死組織内)で発芽し、強力な神経毒であるテタノスパスミン(破傷風毒素)を産生する。この毒素が末梢神経から中枢神経に逆行性に運ばれ、抑制性神経伝達物質(GABA・グリシン)の放出を阻害することで、開口障害(牙関緊急)、痙笑、後弓反張、全身性筋けいれんなどを引き起こす。潜伏期は3〜21日(平均8日程度)で、発症後の致死率は治療を行っても10〜20%と高い。日本ではDPT-IPVワクチン(4種混合)に破傷風トキソイドが含まれており、定期接種で予防される。
選択肢考察
- ×1. 結核菌
結核菌(Mycobacterium tuberculosis)は抗酸菌の一種で、土壌常在菌ではなく主に肺結核患者の咳・くしゃみ・会話などから飛沫核(飛沫の水分が蒸発し、菌だけが空気中を漂う粒子)として空中に拡散し、これを吸入することで感染する空気感染(飛沫核感染)が代表的な感染経路である。
- ×2. コレラ菌
コレラ菌(Vibrio cholerae)はグラム陰性のコンマ状桿菌で、主に糞便で汚染された水や食品を介した経口感染で広がる。海水や河口の汽水域には存在しうるが、土壌常在菌ではなく、衛生環境の悪い地域での飲料水や生鮮魚介類が代表的な感染源である。
- ○3. 破傷風菌
破傷風菌(Clostridium tetani)は土壌中に芽胞として広く分布しており、創傷から侵入することで感染を起こす代表的な土壌由来感染症の原因菌である。芽胞が深い傷の嫌気的環境で発芽し、神経毒テタノスパスミンを産生して全身性のけいれんを引き起こす。
- ×4. カンピロバクター
カンピロバクター(Campylobacter jejuniなど)は鶏・牛・豚などの腸管に常在する細菌で、加熱不十分な鶏肉や生レバー、汚染された飲料水などを介して経口感染し、細菌性食中毒の最も多い原因菌の一つとなる。土壌に広く分布するわけではない。
土壌由来の感染症としては、破傷風のほかにガス壊疽(Clostridium perfringens)、ボツリヌス症(Clostridium botulinum)など、クロストリジウム属の嫌気性芽胞形成菌が代表的である。これらはいずれも芽胞として土壌中で長期間生存できる点が共通している。破傷風の臨床ポイントとして、創傷を負った患者を見たら必ずワクチン接種歴を確認することが重要で、最終接種から10年以上経過している場合や創が汚染されている場合は、破傷風トキソイド追加接種や抗破傷風人免疫グロブリン(TIG)投与を考慮する。日本では小児の定期接種により発症数は減少しているが、ワクチン未接種・追加接種未実施の高齢者で発症することが多い。
細菌の生息環境と感染経路を結びつける問題であり、土壌中に芽胞として分布し創傷から感染する破傷風菌を選び出せるかが問われている。
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