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ダニが関与する感染症はどれ?疥癬とツツガムシ病をマスター(115回午前84)

看護師国家試験 第115午前84

国試問題にチャレンジ

115午前84

発症にダニが関与するのはどれか。2つ選べ。

  1. 1.疥癬
  2. 2.オウム病
  3. 3.腸チフス
  4. 4.ツツガムシ病
  5. 5.肺アスペルギルス症

対話形式の解説

博士博士
今回は『発症にダニが関与するのはどれか。2つ選べ』という問題じゃ。選択肢は疥癬、オウム病、腸チフス、ツツガムシ病、肺アスペルギルス症の5つじゃな。
サクラサクラ
ダニというと、布団のダニしか思いつかないです……疥癬はなんとなくダニっぽい響きですけど、ほかは細菌の名前みたいで判断が難しいです。
博士博士
よいところに気づいたな。実はこの問題、正解は1の疥癬と4のツツガムシ病じゃ。疥癬は『ヒゼンダニ』という体長0.4mmほどの小さなダニが皮膚の角質層に潜り込んで産卵し、強烈な痒みを起こす皮膚感染症なんじゃ。
サクラサクラ
ヒゼンダニって角質層にトンネルを掘るって聞いたことあります。あの『疥癬トンネル』ですね。
博士博士
その通り。指の間や手首の屈側、陰部、腋窩などにできやすく、特に夜間に痒みが増すのが特徴じゃ。介護施設や病棟で集団発生することも多く、感染対策上も重要な疾患じゃぞ。さらに免疫低下患者で大量のダニが増殖した『角化型疥癬(ノルウェー疥癬)』は感染力が桁違いに高くて、隔離対応が必要になる。
サクラサクラ
じゃあツツガムシ病のほうは?こちらも疥癬みたいに皮膚に寄生するんですか?
博士博士
ツツガムシ病はちょっと仕組みが違ってな、ダニそのものが原因というより『ダニが病原体を運ぶ』タイプじゃ。ツツガムシというダニの幼虫が人の皮膚に吸着するとき、唾液腺にいるOrientia tsutsugamushiというリケッチアを体内に注入する。これが熱や発疹の原因になるんじゃ。
サクラサクラ
なるほど、刺された場所に黒いかさぶたができるって習いました。
博士博士
それが『刺し口(eschar)』じゃ。発熱・発疹・刺し口の三徴がツツガムシ病の典型像で、見つけたらテトラサイクリン系のミノサイクリンを投与すれば劇的に解熱する。診断が遅れると多臓器不全で死亡することもあるから侮れんぞ。
サクラサクラ
残りの選択肢も整理させてください。オウム病はクラミジアで鳥から、腸チフスはサルモネラ・チフス菌で経口感染、肺アスペルギルス症はカビですよね?
博士博士
完璧じゃ。いずれもダニとは関係ない。ちなみにダニ媒介感染症の仲間としては、日本紅斑熱(マダニ媒介のリケッチア症)、ライム病(ボレリア)、重症熱性血小板減少症候群(SFTS)も近年要注意疾患として国試に出やすいぞ。
サクラサクラ
同じ『ダニ』でも、皮膚に住み着くタイプと、噛んで病原体を運ぶタイプがあるんですね。覚えやすくなりました。
博士博士
その視点が大事じゃ。『寄生(疥癬)』か『媒介(ツツガムシ病・日本紅斑熱・SFTSなど)』かで分類すると整理しやすい。さらに、室内のヒョウヒダニ(チリダニ)は気管支喘息やアトピー性皮膚炎の悪化因子として呼吸器・皮膚科領域でも頻出じゃから、合わせて押さえておくとよい。

POINT

ダニが直接寄生して発症する疾患(疥癬)と、ダニが病原体を媒介して発症する疾患(ツツガムシ病など)を区別して整理しているかを問う問題。

解答・解説

正解は1です

問題文:発症にダニが関与するのはどれか。2つ選べ。

解説:正解は1(疥癬)と4(ツツガムシ病)である。疥癬はヒゼンダニ(Sarcoptes scabiei var. hominis)という体長0.2〜0.4mm程度の節足動物が皮膚角質層に寄生・トンネル(疥癬トンネル)を形成して起こる皮膚感染症であり、強い痒みと特徴的な指間・陰股部の丘疹を呈する。ツツガムシ病はツツガムシ(恙虫)の幼虫に吸着された際に、その唾液腺に存在するOrientia tsutsugamushi(リケッチアの一種)が刺し口から人体に侵入することで発症する急性熱性感染症で、刺し口・発熱・発疹の三徴を特徴とする。いずれも病原体そのものや媒介者として「ダニ(節足動物門ダニ目)」が直接関与している点が共通している。

選択肢考察

  1. 1.  疥癬

    ヒゼンダニ(疥癬虫)が皮膚角質層に寄生して発症する。雌成虫が角質層内にトンネルを掘って産卵し、夜間に増強する激しい瘙痒や、指間・手関節屈側・陰部・腋窩などの紅斑性丘疹を呈する。介護施設や病院での集団感染、ノルウェー疥癬(角化型疥癬)の感染力の高さは国試頻出。

  2. ×2.  オウム病

    病原体はクラミジア属のChlamydophila psittaciであり、感染経路は感染したオウム・インコ・ハト等の鳥類の排泄物・羽毛の粉塵を経気道的に吸入することによる。ダニは関与しない。

  3. ×3.  腸チフス

    病原体はグラム陰性桿菌のSalmonella enterica serovar Typhi(チフス菌)で、汚染された水や食品を介した経口感染で発症する。媒介者は基本的に存在せず、ダニも関与しない。

  4. 4.  ツツガムシ病

    ツツガムシ(ダニ目ツツガムシ科)の幼虫が皮膚に吸着する際にOrientia tsutsugamushi(リケッチア)を媒介して発症する。刺し口(黒色痂皮を伴う潰瘍)・高熱・体幹中心の発疹の三徴が特徴。テトラサイクリン系(ミノサイクリンなど)が著効する。

  5. ×5.  肺アスペルギルス症

    病原体はAspergillus fumigatusなどの真菌(カビ)であり、空中浮遊する分生子の吸入で発症する。免疫不全患者や既存肺空洞のある患者で問題となるが、ダニとは無関係である。

ダニが媒介する代表的疾患として、ツツガムシ病のほかに日本紅斑熱(Rickettsia japonicaをマダニが媒介)、ライム病(ボレリア属をマダニが媒介)、重症熱性血小板減少症候群(SFTSウイルスをフタトゲチマダニ等が媒介)、Q熱(マダニ媒介もあり)などがあり、いずれも野山に入る職業歴・行動歴の聴取が重要。一方で疥癬は『寄生』、ツツガムシ病・日本紅斑熱・SFTSなどは『媒介』というように、ダニの関与のしかたが異なる点に注意する。室内塵中のヒョウヒダニ(チリダニ)は気管支喘息やアトピー性皮膚炎の増悪因子としても重要。

ダニが直接寄生して発症する疾患(疥癬)と、ダニが病原体を媒介して発症する疾患(ツツガムシ病など)を区別して整理しているかを問う問題。

※公式問題・正答は厚生労働省公開資料をもとに整理しています。