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ステロイドホルモンと細胞内受容体の関係を整理しよう

看護師国家試験 第115午前74

国試問題にチャレンジ

115午前74

細胞内に受容体があるホルモンはどれか。

  1. 1.インスリン
  2. 2.アドレナリン
  3. 3.オキシトシン
  4. 4.プロラクチン
  5. 5.テストステロン

対話形式の解説

博士博士
今日は115回午前74問目、ホルモン受容体の場所に関する問題じゃ。選択肢のうち細胞内に受容体があるものはどれだと思う?
サクラサクラ
インスリン、アドレナリン、オキシトシン、プロラクチン、テストステロン…うーん、テストステロンはステロイドホルモンですよね?だから5番でしょうか。
博士博士
その通り、正解は5番のテストステロンじゃ。よく分かっておるな。ではなぜステロイドホルモンだけが細胞内受容体に作用するのか、その理由を説明できるかの?
サクラサクラ
ステロイドホルモンは脂質から作られるから脂溶性で、細胞膜のリン脂質二重層を通過できるんですよね。だから受容体が細胞の中にあっても届く、ということでしょうか。
博士博士
見事じゃ。コレステロールを原料に合成されるステロイドホルモンは脂溶性ゆえに細胞膜をすり抜けて、細胞質や核内のアンドロゲン受容体やエストロゲン受容体に結合する。そしてホルモン-受容体複合体がDNAのホルモン応答配列に結合して遺伝子の転写を調節するのじゃ。
サクラサクラ
だから効果が出るのに時間がかかるけれど、長く続くんですね。じゃあ他の選択肢のホルモンはどうして膜受容体なんですか?
博士博士
インスリンやオキシトシン、プロラクチンはペプチドホルモンで水溶性、アドレナリンはカテコールアミンで同じく水溶性じゃ。水溶性ホルモンは脂質の膜を通れんから、細胞膜表面の受容体で受け取り、cAMPやIP3、DAGといったセカンドメッセンジャーを介して情報を細胞内に伝える仕組みになっておる。
サクラサクラ
なるほど、だから水溶性ホルモンは作用が速いんですね。アドレナリンが「闘争か逃走か」の場面で瞬時に働くのも納得です。
博士博士
そうじゃ、緊急時に必要な反応は秒単位で起こさねばならんからのう。一方でテストステロンによる男性化や、エストロゲンによる月経周期の調節、コルチゾールによるストレス応答の遺伝子発現変化は、ゆっくりと持続的に起こる必要があるんじゃ。
サクラサクラ
ところで先生、甲状腺ホルモンはアミノ酸から作られると習いましたが、あれも特殊だと聞きました。
博士博士
よい質問じゃ。T3・T4はチロシンというアミノ酸から作られるが、ヨウ素が結合した独特の構造で脂溶性を持つ。だから例外的にステロイドホルモンと同様、核内受容体に結合して遺伝子発現を調節するのじゃ。国試では「甲状腺ホルモンは核内受容体」という点が頻出じゃから覚えておくとよい。
サクラサクラ
整理すると、細胞内受容体に作用するのはステロイドホルモンと甲状腺ホルモン、それ以外のペプチドホルモンやカテコールアミンは細胞膜受容体ということですね。
博士博士
完璧じゃ。臨床的にも、ステロイド薬の効果が出るまで時間がかかるのは遺伝子発現を介するためで、急性期にはまず気管支拡張薬のβ刺激薬(膜受容体作用)で対応し、ステロイドは並行投与して持続効果を狙うという考え方が喘息治療などで使われておる。
サクラサクラ
受容体の場所が薬の作用時間や使い分けにも関係するんですね。基礎の知識が臨床につながると面白いです。

POINT

ホルモンの化学的性質(脂溶性か水溶性か)と受容体の局在の対応関係を問う基本問題です。ステロイドホルモンは細胞内受容体、ペプチド・カテコールアミンは細胞膜受容体という原則を理解できているかが問われています。

解答・解説

正解は5です

問題文:細胞内に受容体があるホルモンはどれか。

解説:正解は5番のテストステロンです。ホルモンはその化学的性質によって作用機序が大きく異なります。ステロイドホルモンであるテストステロンはコレステロールを原料に合成される脂溶性ホルモンであり、リン脂質二重層からなる細胞膜を容易に通過できます。そのため受容体は細胞膜上ではなく細胞質や核内に存在し、ホルモンと結合した受容体複合体はDNA上のホルモン応答配列(HRE)に結合して特定遺伝子の転写を調節します。この遺伝子発現を介した作用のため、効果が現れるまでに数十分から数時間を要しますが、作用は持続的かつ広範に及ぶのが特徴です。これに対しペプチドホルモンやカテコールアミンは水溶性で膜を通過できないため、細胞膜表面の受容体に結合し、cAMPやIP3、DAGといったセカンドメッセンジャーを介して速やかな細胞応答を引き起こします。

選択肢考察

  1. ×1.  インスリン

    膵ランゲルハンス島B細胞から分泌されるペプチドホルモンで、水溶性のため細胞膜を通過できません。標的細胞膜上のインスリン受容体(チロシンキナーゼ型受容体)に結合し、GLUT4の細胞膜移行などを誘導します。

  2. ×2.  アドレナリン

    副腎髄質から分泌されるカテコールアミンで、チロシンを原料とする水溶性ホルモンです。細胞膜上のα受容体・β受容体(Gタンパク質共役型受容体)に結合し、cAMPを介して速効性の生理反応を引き起こします。

  3. ×3.  オキシトシン

    視床下部で合成され下垂体後葉から分泌される9アミノ酸のペプチドホルモンです。水溶性のため細胞膜受容体(Gタンパク質共役型)に結合し、子宮平滑筋収縮や射乳反射を引き起こします。

  4. ×4.  プロラクチン

    下垂体前葉から分泌される単鎖ポリペプチドホルモンで、水溶性です。乳腺細胞膜上のプロラクチン受容体(JAK-STAT経路を活性化するサイトカイン型受容体)に結合し、乳汁産生を促します。

  5. 5.  テストステロン

    精巣ライディッヒ細胞でコレステロールから合成されるステロイドホルモンで、脂溶性のため細胞膜を自由に通過します。細胞質または核内のアンドロゲン受容体に結合し、受容体複合体が核内で遺伝子転写を調節して男性化作用を発揮します。

ホルモンの分類と受容体の場所を整理すると、(1)ステロイドホルモン(テストステロン・エストロゲン・コルチゾール・アルドステロンなど)と甲状腺ホルモン(T3・T4)は脂溶性で細胞内受容体(核内受容体ファミリー)に作用し、遺伝子発現を介して効果を発揮します。(2)ペプチド・タンパク質ホルモン(インスリン、成長ホルモン、ACTH、オキシトシン、バソプレシン、プロラクチンなど)とカテコールアミン(アドレナリン・ノルアドレナリン)は水溶性で細胞膜受容体に作用し、セカンドメッセンジャーを介して速やかに作用します。例外として甲状腺ホルモンはアミノ酸(チロシン)由来ですが脂溶性で核内受容体に作用する点が国試頻出ポイントです。覚え方は「ステロイドと甲状腺は中に入る、それ以外は表で受け取る」と整理すると混乱しません。

ホルモンの化学的性質(脂溶性か水溶性か)と受容体の局在の対応関係を問う基本問題です。ステロイドホルモンは細胞内受容体、ペプチド・カテコールアミンは細胞膜受容体という原則を理解できているかが問われています。

※公式問題・正答は厚生労働省公開資料をもとに整理しています。