代謝の基本『同化』と『異化』を見抜く!第115回看護師国家試験 午前83
看護師国家試験 第115回 午前 第83問
国試問題にチャレンジ
エネルギー代謝を示す反応はどれか。2つ選べ。
- 1.異化
- 2.角化
- 3.石灰化
- 4.同化
- 5.瘢痕化
対話形式の解説
博士
サクラ
博士
サクラ
博士
サクラ
博士
サクラ
博士
サクラ
博士
サクラ
博士POINT
代謝の二本柱『同化(合成)』と『異化(分解)』を正しく選び分ける問題で、角化・石灰化・瘢痕化のような『〜化』というダミー選択肢に惑わされないことがポイントです。
解答・解説
正解は1です
問題文:エネルギー代謝を示す反応はどれか。2つ選べ。
解説:正解は1(異化)と4(同化)です。生体は外界から取り込んだ栄養素を絶えず化学的に変換し、生命活動に必要なエネルギーを獲得・利用しています。この一連の化学反応の総体を『代謝(metabolism)』と呼び、大きく『異化(catabolism)』と『同化(anabolism)』の2つに分類されます。異化は高分子の有機物(糖質・脂質・タンパク質など)を低分子に分解し、その過程で化学エネルギーをATPとして取り出す反応です。代表例には解糖系・クエン酸回路(TCA回路)・電子伝達系・β酸化などがあり、これらによってグルコース1分子から最大約30〜32分子のATPが産生されます。一方、同化はATPのエネルギーを消費して低分子から高分子を合成する反応で、糖新生、脂肪酸合成、タンパク質合成、グリコーゲン合成などが代表例です。つまり『異化=エネルギーを取り出す』『同化=エネルギーを使って組み立てる』という対の関係にあり、両者が動的に釣り合うことで体組成や恒常性が維持されています。したがってエネルギー代謝を示す反応として正しいのは異化と同化の2つです。
選択肢考察
- ○1. 異化
正解。異化(catabolism)はグルコースや脂肪酸、アミノ酸といった有機物を分解してATPなどの化学エネルギーを取り出す反応の総称です。解糖系、クエン酸回路、電子伝達系、β酸化などが該当し、好気的代謝では水と二酸化炭素にまで分解されながら多量のATPが産生されます。空腹時や運動時、感染・外傷などのストレス下では交感神経・コルチゾール・グルカゴン優位となり、異化が亢進します。
- ×2. 角化
不正解。角化(keratinization)は表皮の基底層で生まれたケラチノサイトが分化しながら表層へ押し上げられ、最終的に核を失って角質細胞となり、ケラチンと細胞間脂質からなるバリアを形成する過程です。皮膚のターンオーバーや上皮の構造変化に関わる現象であり、エネルギー代謝の分類とは別の概念です。
- ×3. 石灰化
不正解。石灰化(calcification)はリン酸カルシウムなどのカルシウム塩が組織に沈着する現象です。骨形成のような生理的石灰化と、動脈硬化巣・結核病巣・壊死組織にみられる異所性(病的)石灰化があります。組織変化を示す病理学的な用語であり、エネルギーの産生・利用とは関係しません。
- ○4. 同化
正解。同化(anabolism)はATPのエネルギーを消費して、アミノ酸からタンパク質を、グルコースからグリコーゲンを、アセチルCoAから脂肪酸を合成するなど、低分子から高分子を組み立てる反応の総称です。食後の同化はインスリンや成長ホルモン、テストステロンなどの同化ホルモンによって促進され、体組織の構築・修復・成長に寄与します。
- ×5. 瘢痕化
不正解。瘢痕化(scarring)は損傷した組織が修復される過程で、肉芽組織が線維化しコラーゲン主体の瘢痕組織に置き換わる現象を指します。創傷治癒の最終段階で起こる組織学的変化であり、エネルギー代謝の分類には含まれません。
代謝=同化+異化の二本柱という構図を押さえると、関連問題にも応用が利きます。臨床的には、外傷・熱傷・敗血症・術後などでは異化が著しく亢進し、体タンパクが分解されて窒素出納が陰性に傾くため、十分な栄養投与(特にエネルギーとタンパク質)が予後を左右します。一方、廃用症候群や低栄養では同化が追いつかず筋萎縮が進行します。ホルモン面では、インスリン・成長ホルモン・テストステロンが同化ホルモン、グルカゴン・コルチゾール・カテコールアミン・甲状腺ホルモンが異化ホルモンとして整理しておくと覚えやすいです。また、基礎代謝量(BMR)は安静・空腹・快適温度下で生命維持に必要な最小エネルギー量で、成人では1日約1,200〜1,500kcal、体表面積・除脂肪体重・甲状腺機能などに影響されます。
代謝の二本柱『同化(合成)』と『異化(分解)』を正しく選び分ける問題で、角化・石灰化・瘢痕化のような『〜化』というダミー選択肢に惑わされないことがポイントです。
「消化器・代謝・内分泌」の関連問題
エストロゲンが身長を止める?性ホルモンと骨端線の意外な関係
代表的な性ホルモン(エストロゲン・プロゲステロン・テストステロン)と下垂体ホルモン(成長ホルモン・LH)の作用を正しく結びつけられるかを問う問題。特に「エストロゲン=骨端線閉鎖・子宮内膜増殖・乳房発育」「排卵=LHサージ」「プロゲステロン=黄体期・妊娠維持」という整理がポイント。
115回
ステロイドホルモンと細胞内受容体の関係を整理しよう
ホルモンの化学的性質(脂溶性か水溶性か)と受容体の局在の対応関係を問う基本問題です。ステロイドホルモンは細胞内受容体、ペプチド・カテコールアミンは細胞膜受容体という原則を理解できているかが問われています。
115回
朝、身体を起こすホルモン—コルチゾールの概日リズム
ホルモンの概日リズムを問う問題。起床時最高=コルチゾールという基本パターンを押さえる。
114回
ごっくんの瞬間に起きる4つの動き—嚥下反射の精密な仕組み
嚥下反射に伴う身体の動きを問う問題。喉頭挙上に伴う甲状腺の動きを押さえる。
114回
肝臓は人体の化学工場!代表機能「糖の貯蔵」を押さえよう
肝臓の代表的機能を、他臓器(胆嚢・腎臓・肺・内分泌腺)の機能と区別して理解しているかを問う基本問題。
114回
