関節リウマチの病態と治療
成人看護学 / 運動器
解説
関節リウマチとは、関節を包む滑膜に慢性の炎症が起こり、関節の破壊や変形をきたす全身性の自己免疫疾患です。今回は関節リウマチの病態、症状、治療、看護について解説します。
関節リウマチの病態
関節リウマチの本態は、自己免疫機序による慢性の滑膜炎です。滑膜とは関節を内側から包む薄い膜で、関節液を産生して関節の動きを滑らかにする役割を持ちます。自己免疫反応によりこの滑膜にリンパ球などの炎症細胞が浸潤し、滑膜が異常に増殖してパンヌスと呼ばれる肉芽組織を形成します。パンヌスは関節軟骨や軟骨下骨を侵食し、関節破壊・変形・機能障害をもたらします。発症は30〜50歳代の女性に多く、男女比はおよそ1対4です。
症状の特徴
関節リウマチでは、手指のMP(中手指節)関節やPIP(近位指節間)関節、手関節、足のMTP(中足趾節)関節など、小関節が左右対称性に侵されるのが特徴です。代表的な症状として、起床時に関節がこわばって動かしにくくなる朝のこわばりがあり、これが1時間以上持続することが診断の参考になります。さらに関節の腫脹、圧痛、熱感、運動時痛を呈します。
進行すると特徴的な関節変形を生じます。指のPIP関節が過伸展しDIP関節が屈曲するスワンネック変形、PIP関節が屈曲しDIP関節が過伸展するボタン穴変形、手指がMP関節で小指側に偏位する尺側偏位などが代表的です。全身症状として微熱、倦怠感、体重減少、貧血を伴うこともあります。
診断と検査
診断にはACR/EULAR2010年分類基準が用いられます。血液検査ではリウマトイド因子(RF)や抗CCP抗体が陽性となり、特に抗CCP抗体は疾患特異性が高いとされます。炎症反応としてCRP上昇、赤沈亢進がみられます。
薬物療法
治療の中心は**疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARDs)で、関節破壊の進行を抑制します。第一選択薬(アンカードラッグ)はメトトレキサート(MTX)**で、ジヒドロ葉酸還元酵素を阻害し活性化リンパ球や滑膜細胞の増殖を抑えます。通常は週1〜2回の分割服用とし、副作用軽減のために葉酸製剤を併用します。
MTXの重大な副作用には、骨髄抑制(汎血球減少)、肝機能障害、口内炎、感染症、そして致死的経過をとりうる間質性肺炎があります。間質性肺炎では発熱・乾性咳嗽・労作時呼吸困難が出現するため、これらの症状時は直ちに受診・服用中止するよう指導します。妊娠・授乳、活動性感染症、間質性肺疾患などは禁忌です。
MTXで効果不十分な場合は、TNFα阻害薬、IL-6阻害薬などの生物学的製剤やJAK阻害薬が用いられ、関節破壊の進行抑制が可能となっています。
関節保護と日常生活指導
看護で重要なのが関節保護の原則です。基本は、(1)疼痛を増強する動作を避ける、(2)できるだけ大きな関節や強い筋肉を使う、(3)力を分散する、(4)関節を長時間同一肢位に保たない、(5)疲労を感じたら休む、の5つです。
具体的な工夫として、ドアノブはレバー式にして指を握る動作を肘や体重移動に置き換える、鍋は両手で持つ、椅子は肘掛け付きで高めのものを使うなどがあります。痛む関節に応じた自助具の活用も大切で、肩関節の保護には長柄ブラシやリーチャー、手指・手関節の保護には太柄スプーンや万能カフ、ジャーオープナー、下肢関節の保護にはソックスエイドや長い靴べらが選択されます。
まとめ
関節リウマチは滑膜の慢性炎症を本態とする自己免疫疾患で、小関節の左右対称性の腫脹や朝のこわばり、特徴的な関節変形をきたします。治療はメトトレキサートを中心としたDMARDsと生物学的製剤で関節破壊を抑制します。看護では関節保護の原則に基づく生活指導と自助具の活用、薬剤副作用とくに間質性肺炎の早期発見が重要です。
確認問題(穴埋め)
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- 1.
関節リウマチで主に炎症が起こる部位は関節のである。
- 2.
関節リウマチで滑膜が増殖して形成され、軟骨や骨を破壊する肉芽組織をという。
- 3.
関節リウマチでは起床時に関節が動かしにくくなるがみられる。
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関節リウマチでは手指などの小関節が性に侵されるのが特徴である。
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関節リウマチ治療における第一選択薬(アンカードラッグ)はである。
- 6.
メトトレキサートの重大な副作用で、発熱・乾性咳嗽・呼吸困難を呈するものにがある。
- 7.
関節リウマチで肩関節の保護に用いる代表的な自助具はである。
- 8.
関節リウマチの診断補助となる、疾患特異性の高い自己抗体はである。
