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母子保健法規と健やか親子21

母性看護学 / 母性看護総論・その他

解説

今回は母子保健法規と健やか親子21について解説します。妊娠・出産・育児に関する制度は、目的の異なる複数の法律によって支えられています。看護師国家試験では、どの制度がどの法律に規定されているのかを正確に区別できることが求められます。ここでは中心となる母子保健法母体保護法、関連する児童福祉法などを整理したうえで、国民運動計画である健やか親子21を解説します。

母子保健法

母子保健法は、母性ならびに乳児および幼児の健康の保持・増進を図ることを目的として1965年(昭和40年)に制定された法律です。妊娠期から乳幼児期までの一貫した保健サービスの根拠となっており、市町村が実施主体となる事業を多く規定しています。国試では「この事業の根拠法は何か」という形で繰り返し問われます。

妊娠届と母子健康手帳

妊娠した者は、母子保健法第15条に基づいて速やかに市町村長妊娠届を提出します。届出を受けた市町村は、母子保健法第16条に基づき母子健康手帳を交付します。母子健康手帳は妊娠中の経過、出産時の状況、乳幼児の発育・予防接種歴などを一冊にまとめて記録するもので、母子保健サービスの起点となります。「妊娠届と母子健康手帳の交付はいずれも母子保健法に基づく」という点が重要で、出生届が戸籍法に基づくこととしばしば対比して問われます。

健康診査と保健指導

母子保健法は、妊産婦および乳幼児への保健指導(第10条)、妊産婦・乳幼児の健康診査(第12条・第13条)を市町村の事業として定めています。特に1歳6か月児健康診査3歳児健康診査は法律で義務づけられた健診で、発達の節目に身体的・精神的な発育を評価し、異常の早期発見と支援につなげる役割を担います。新生児訪問指導(第11条)も母子保健法に基づく事業で、出生後の母子の健康状態を保健師・助産師が家庭訪問で確認します。

低体重児・未熟児への支援

体重2500g未満で出生した児は、母子保健法第18条に基づき保護者が市町村へ低体重児の届出を行います。届出を受けて市町村は未熟児訪問指導(第19条)を行い、必要に応じて養育医療(第20条)を給付します。養育医療とは、出生体重が概ね2000g以下、または体温・呼吸・循環・消化器症状などに異常を有する未熟児が入院治療を受ける際の医療費を公費で負担する制度です。「低体重児の届出→未熟児訪問指導→養育医療」という支援の流れで覚えると整理しやすくなります。

母子健康包括支援センター

母子保健法第22条に基づき市町村が設置する機関を母子健康包括支援センター(通称:子育て世代包括支援センター)といいます。妊娠期から子育て期までの切れ目ない支援を一元的に提供することを目的とし、保健師・助産師などが妊娠届の受理、母子健康手帳の交付、相談対応、支援プランの作成、関係機関との連絡調整を行います。2022年の法改正により、2024年4月から児童福祉の子ども家庭総合支援拠点と統合され、「こども家庭センター」として市町村に設置されることが努力義務となりました。

母体保護法

母体保護法は、不妊手術および人工妊娠中絶に関する事項を定め、母性の生命健康を保護することを目的とする法律です。1996年に旧優生保護法を改正して施行されました。同法に規定されているのは、(1)不妊手術、(2)人工妊娠中絶、(3)受胎調節の実地指導の三つに大別されます。受胎調節の実地指導は、都道府県知事が指定する者のみが行えます。

人工妊娠中絶の要件

人工妊娠中絶は、母体保護法に基づき指定医師が実施します。同法第14条では、妊娠の継続または分娩が身体的または経済的理由により母体の健康を著しく害するおそれのあるもの、もしくは暴行・脅迫によって、あるいは抵抗・拒絶することができない間に姦淫されて妊娠したものに対して、本人および配偶者の同意を得て実施できると定められています。実施可能な時期は「胎児が母体外において生命を保続することのできない時期」と規定され、運用上は妊娠22週未満とされています。妊娠12週以降の中絶では死産届が必要です。

関連する主な法律

出産・育児に関する制度は複数の法律に分散しており、根拠法の組合せが国試の頻出ポイントです。

児童福祉法

児童福祉法には、児童相談所、助産施設、乳児院、保育所、児童養護施設、乳児家庭全戸訪問事業、養育支援訪問事業、特定妊婦、要保護児童対策地域協議会、入院助産、小児慢性特定疾病医療費助成などが規定されています。入院助産は、保健上の必要があるのに経済的理由で病院等での出産ができない妊産婦に対し、助産施設で助産を行う制度で、申請窓口は福祉事務所です。

健康保険法・労働関連法

出産育児一時金(2023年から原則50万円)や出産手当金は健康保険法に基づきます。産前産後休業・妊娠中の軽易業務転換・深夜業制限は労働基準法に、妊娠中の通勤緩和や休憩などの母性健康管理は男女雇用機会均等法に、育児休業・介護休業は育児・介護休業法に規定されています。育児休業給付金は雇用保険法から支給されます。児童手当は児童手当法に基づきます。

健やか親子21

健やか親子21は、母子の健康水準を向上させるためのさまざまな取り組みを推進する国民運動計画です。2001年から始まり、現在は2015年度〜2024年度を計画期間とする**健やか親子21(第2次)**が進行しています。21世紀の母子保健の主要な取り組みを示すビジョンであり、国際的にもMDGs・SDGsの母子保健目標と整合する形で進められています。

健やか親子21(第2次)では、すべての子どもが健やかに育つ社会の実現を基盤課題とし、次の3つの基盤課題と2つの重点課題が設定されています。基盤課題Aは「切れ目ない妊産婦・乳幼児への保健対策」、基盤課題Bは「学童期・思春期から成人期に向けた保健対策」、基盤課題Cは「子どもの健やかな成長を見守り育む地域づくり」、重点課題1は「育てにくさを感じる親に寄り添う支援」、重点課題2は「妊娠期からの児童虐待防止対策」です。各基盤課題には代表的な数値目標(指標)が設定されており、国試では指標の内容が問われます。基盤課題Aの主要な目標は「妊娠・出産について満足している者の割合を増やすこと」です。基盤課題Bでは、十代の自殺死亡率、人工妊娠中絶率、性感染症(性器クラミジア感染症)罹患率、痩身傾向児および肥満傾向児の割合、十代の喫煙率・飲酒率・朝食欠食率が代表的な指標として設定されています。第1次計画(2001〜2014年度)の評価を踏まえて策定された第2次計画(2015〜2024年度)では、21項目の指標について目標値と達成状況を評価しています。2025年度以降は成育医療等基本方針のもとで第3次計画として継続されています。妊産婦死亡率の減少、乳幼児健診の受診率向上、思春期の自殺率低下、育児不安の軽減など、具体的指標を設定して進捗を評価しています。

まとめ

母子保健法は妊娠届・母子健康手帳・乳幼児健診・新生児訪問・未熟児訪問・養育医療・母子健康包括支援センターを規定し、母体保護法は不妊手術・人工妊娠中絶・受胎調節の実地指導を規定します。児童福祉法には入院助産や助産施設、乳児家庭全戸訪問事業などが含まれ、健康保険法は出産育児一時金、労働基準法・男女雇用機会均等法・育児介護休業法は妊娠中・育児中の労働者を守ります。健やか親子21は母子保健の国民運動計画として、3つの基盤課題と2つの重点課題を掲げて進められています。各制度と根拠法の組合せを正確に整理することが、国試対策の鍵となります。

確認問題(穴埋め)

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  1. 1.

    妊娠した者が速やかに市町村長へ届出を行うこと、および母子健康手帳の交付について規定している法律はである。

  2. 2.

    出生体重がおおむね2000g以下などの未熟児に対し、入院医療に要する費用を公費で給付する母子保健法上の制度をという。

  3. 3.

    母子保健法に基づき市町村が設置し、妊娠期から子育て期までの切れ目ない支援を一元的に提供する機関をという。

  4. 4.

    母子保健法に規定された健康診査のうち、3歳児健康診査と並び発達の節目に行われるのはである。

  5. 5.

    不妊手術、人工妊娠中絶、受胎調節の実地指導について規定し、母性の生命健康を保護することを目的とする法律をという。

  6. 6.

    母体保護法に基づく人工妊娠中絶が実施可能な時期は、運用上、妊娠週未満とされている。

  7. 7.

    保健上必要があるにもかかわらず経済的理由で病院等での出産ができない妊産婦に助産施設で助産を行う「入院助産」は、に規定されている。

  8. 8.

    母子の健康水準を向上させるための国民運動計画で、第2次計画が2015年度から進められているものをという。

  9. 9.

    出産育児一時金や出産手当金を規定している法律はである。

  10. 10.

    体重2500g未満で出生した児について、保護者が市町村へ届け出ることを母子保健法第18条で義務づけている届出をという。

  11. 11.

    健やか親子21(第2次)の基盤課題Aの主要な目標は、妊娠・出産についてしている者の割合を増やすことである。

  12. 12.

    健やか親子21(第2次)の基盤課題Bの指標には、十代の死亡率や率が含まれる。

母子保健法規と健やか親子21」の過去問演習

※公式問題・正答は厚生労働省公開資料をもとに整理しています。