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新生児・乳児のケア

小児看護学 / 新生児・乳児期ケア

解説

今回は新生児・乳児のケアについて解説します。新生児期は生後28日未満、乳児期は生後1歳未満を指し、胎外環境への適応が進む一方で、生理機能が未熟なため特有の現象や疾患がみられます。看護師は生理的な変化と病的な徴候を見分け、安全に発育を支える視点が必要です。

新生児の生理的特徴

新生児は胎内の低酸素環境に適応するために赤血球が多く、ヘモグロビン値はおよそ14〜20g/dLと高値を示します。この状態を多血症と呼び、生理的なものです。 中枢神経系では錐体路の髄鞘化が未完成のため、本来は抑制されるはずの反射が表に出ます。これが原始反射であり、新生児期にみられるのは生理的な現象です。 免疫面では、胎盤を通して移行した母体由来のIgGに守られていますが、生後数か月で減少し、自前のIgG産生が追いつくまでに生理的低ガンマグロブリン期を経るため感染に注意が必要です。

原始反射と消失時期

原始反射は脳幹・脊髄レベルで起こる反射で、消失時期がほぼ決まっています。モロー反射は大きな音や体位変化で両上肢を伸展・外転させる反射で、生後4〜6か月で消失します。把握反射は手掌に触れると握る反射で、3〜4か月で消失します。吸啜反射は口に触れたものを吸う反射、緊張性頸反射は頭を向けた側の上下肢を伸展させる反射、自動歩行は足底を床につけると歩くような動きを示す反射です。 足底外側を擦ると母趾が背屈するBabinski反射は、新生児・乳児では生理的に陽性で、2歳頃まで残ることがあります。原始反射が消失しない場合や左右差がある場合は、中枢神経障害を疑います。

乳児の運動発達と発達スクリーニング

乳児期は粗大運動の発達が著しい時期で、おおむね首すわり→寝返り→お座り→はいはい→つかまり立ち→ひとり歩きの順に獲得していきます。発達の評価には日本版デンバー式発達スクリーニング検査(JDDST)が広く用いられ、各項目について何%の児が通過するかを月齢ごとに示しています。この検査では生後4か月90%の乳児に首すわりがみられるとされ、4か月健診で首すわりの有無を確認することが発達評価の重要なポイントとなります。発達には個人差がありますが、月齢に比して大きく遅れている場合は中枢神経障害などの精査が必要です。

蒙古斑

蒙古斑とは、殿部・腰仙部に出現する青灰色の色素斑のことです。真皮深層にメラノサイトが停滞することで生じ、アジア人ではほぼ全員にみられる生理的現象です。通常は就学前後までに自然消退します。背部や四肢などにみられる異所性蒙古斑は消えにくい傾向があります。広範囲の青あざは虐待と誤認されることがあるため、診察記録に部位と性状を残しておくことが大切です。

新生児ビタミンK欠乏性出血症

新生児ビタミンK欠乏性出血症(VKDB)は、ビタミンK依存性凝固因子である第II・VII・IX・X因子やプロテインC・Sの産生が不足することで起こる出血傾向です。新生児はビタミンKの経胎盤移行が少なく、肝臓の貯蔵も少なく、腸内細菌叢が未熟で腸内産生も不十分です。さらに母乳栄養児は人工乳に比べて摂取量が少ないためリスクが高くなります。母親が抗てんかん薬・抗結核薬・ワルファリンを内服している場合もリスクが高まります。 生後数週から数か月で発症する遅発型は頭蓋内出血を起こしやすく、重篤な後遺症の原因となります。予防としてビタミンK2シロップ(メナテトレノン)を出生直後・退院前・1か月健診の3回投与する方法、あるいは生後3か月まで週1回投与する方法がとられます。週1回投与は遅発型予防に有効とされます。

新生児のスキンケア

生後1か月前後の児は母体由来ホルモンの影響で皮脂分泌が盛んになり、頭皮・顔面・眉に黄色いかさぶた状の脂漏性湿疹が出ます。生後3か月頃までに自然軽快しますが、放置すると悪化することもあるため日々のケアが大切です。ベビー石けんをよく泡立てて優しく洗い、ぬるま湯で十分にすすぐことが基本です。ゴシゴシこすらず、洗浄後は保湿剤で皮膚バリアを補います。

SIDS予防と臍帯ケア

乳幼児突然死症候群(SIDS)は、健康に見えた乳児が睡眠中に突然死亡する原因不明の疾患で、生後2〜6か月に好発します。予防の三本柱は仰向け寝で寝かせること、家族を含めた禁煙、可能な限りの母乳育児です。寝具は固めにし、児の顔の近くにぬいぐるみや柔らかいタオルを置かないようにします。 臍帯は乾燥を保ち、脱落までは消毒を行いながら清潔を維持します。発赤・悪臭・出血があれば臍炎を疑います。

体温管理と外気浴

新生児は体温調節機能が未熟で、環境温度の影響を受けやすいため、室温は26〜28℃を目安に衣服やかけ物で調節します。汗をかきすぎないよう厚着を避けます。 かつては日光浴がすすめられていましたが、紫外線の影響を考慮し、1998年の母子健康手帳改訂で日光浴は外気浴に変更されました。直射日光を避けつつ、戸外の空気に触れさせることで皮膚や呼吸器を慣らします。

まとめ

新生児は多血・原始反射・低ガンマグロブリン期といった生理的特徴をもち、蒙古斑も生理的に出現します。原始反射は消失時期を覚え、残存や左右差から異常を見抜きます。乳児の運動発達は日本版デンバー式発達スクリーニング検査などで評価し、生後4か月で90%の乳児に首すわりがみられることを押さえます。ビタミンK欠乏性出血症は母乳栄養児で起こりやすく、ビタミンK2シロップによる予防が必須です。スキンケアでは脂漏性湿疹をやさしい洗浄で管理し、SIDS予防では仰向け寝・禁煙・母乳育児を徹底します。体温管理は室温26〜28℃を基本とし、日光浴ではなく外気浴を行うのが現在の方針です。

確認問題(穴埋め)

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  1. 1.

    新生児では胎内低酸素環境への適応として赤血球が多く、Hb14〜20g/dLと高値を示す症が生理的にみられる。

  2. 2.

    新生児にみられる原始反射のうち、大きな音などで両上肢を伸展・外転させる反射をといい、生後4〜6か月で消失する。

  3. 3.

    足底外側を擦ると母趾が背屈する反射をといい、乳児では生理的に陽性で2歳頃まで残ることがある。

  4. 4.

    日本版デンバー式発達スクリーニング検査において、90%の乳児に首すわりがみられる月齢は生後か月である。

  5. 5.

    殿部・腰仙部にみられる青灰色の色素斑で、就学前後までに自然消退する生理的現象をという。

  6. 6.

    新生児ビタミンK欠乏性出血症の予防のため、出生後・退院前・1か月健診の3回投与される薬剤はである。

  7. 7.

    ビタミンK欠乏性出血症は人工乳児より栄養児でリスクが高い。

  8. 8.

    生後1か月前後に皮脂分泌の亢進により頭皮や顔面に黄色いかさぶた状の湿疹が出る状態をといい、ベビー石けんで洗いぬるま湯ですすぐケアを行う。

  9. 9.

    乳幼児突然死症候群(SIDS)の予防として推奨される寝かせ方はであり、加えて禁煙と母乳育児が重要である。

  10. 10.

    1998年の母子健康手帳改訂により、新生児・乳児への日光浴はに変更された。

  11. 11.

    新生児の体温管理では、室温を℃を目安に衣服で調節する。

新生児・乳児のケア」の過去問演習

※公式問題・正答は厚生労働省公開資料をもとに整理しています。