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急性・慢性膵炎の管理

成人看護学 / 肝・胆・膵

解説

急性・慢性膵炎とは、膵臓に炎症が生じる疾患の総称であり、急性は短期間に強い炎症が起こるもの、慢性は膵実質の線維化と機能低下が長期にわたり進行するものを指します。今回は急性・慢性膵炎の病態・診断・治療・看護について解説します。

膵臓のはたらきと膵炎の基本病態

膵臓は消化酵素を含む膵液を分泌する外分泌機能と、インスリン・グルカゴンを分泌する内分泌機能を担う臓器です。膵液にはタンパクを分解するトリプシン、脂肪を分解するリパーゼ、糖質を分解するアミラーゼなどが含まれます。通常これらの酵素は不活性型で分泌され、十二指腸内で活性化されて食物を消化しますが、何らかの原因で膵臓内で活性化されると、膵臓自身を消化してしまいます。この自己消化が膵炎の本態です。

急性膵炎

急性膵炎の二大原因はアルコール胆石で、男性ではアルコール性、女性では胆石性が多くみられます。主症状は持続する上腹部痛で、背部への放散痛を伴うことが多く、嘔吐や発熱を伴います。

診断基準は、(1)上腹部の急性腹痛発作と圧痛、(2)血中または尿中の膵酵素上昇、(3)超音波・CT・MRIによる膵の異常所見、の3項目のうち2項目以上を満たし、他疾患を除外したものとされています。血液検査では血清アミラーゼリパーゼが著明に上昇します。リパーゼはアミラーゼに比べて膵特異性が高く、上昇期間も長いため、診断・経過観察に有用です。重症例では低カルシウム血症がみられます。

重症度判定は予後因子9項目(BUN、Ca、LDH、PaO2、BEなど)と造影CT Gradeを組み合わせて行い、膵壊死や膵外進展度を評価します。

治療の三本柱は十分な初期輸液疼痛コントロール絶飲食による膵安静です。重症例では蛋白分解酵素阻害薬(ガベキサート、ナファモスタット)や抗菌薬を用い、胆石性で胆管炎を合併する場合は早期にERCPによる乳頭切開・砕石を行います。合併症としてARDS、AKI、DIC、感染性膵壊死、仮性嚢胞があります。

慢性膵炎

慢性膵炎は膵実質の線維化・石灰化が進行し、膵機能が不可逆的に低下する疾患で、最多の原因はアルコールです。代償期は腹痛発作が中心となり、非代償期になると外分泌機能低下による脂肪便・るい痩、内分泌機能低下による膵性糖尿病が出現します。

食事療法の中心は脂質制限で、脂質は膵外分泌を強く刺激して炎症の再燃や疼痛発作を誘発するため、1日30〜40g程度の低脂肪食とします。さらに病態進行を防ぐため禁酒が最も重要で、禁煙、カフェイン・香辛料の制限も指導します。非代償期では消化酵素薬(パンクレリパーゼ)の補充、脂溶性ビタミン(A・D・E・K)の補充、血糖管理を行います。

ERCP後膵炎

内視鏡的逆行性胆管膵管造影(ERCP)の代表的合併症がERCP後膵炎で、発生率は3〜10%とされます。検査後に心窩部痛が出現した際は、血清アミラーゼ・リパーゼの上昇を確認し、絶食・輸液・蛋白分解酵素阻害薬で治療します。

まとめ

急性膵炎は膵酵素の自己消化による急性炎症で、上腹部痛とアミラーゼ・リパーゼ上昇を特徴とし、輸液・鎮痛・絶食が治療の柱です。慢性膵炎では脂質制限と断酒の徹底が病態進行抑制の鍵となります。看護では疼痛評価、バイタルサインの変化の早期察知、絶飲食下の口腔ケア、食事・生活指導が重要です。

確認問題(穴埋め)

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  1. 1.

    急性膵炎は膵酵素が膵内で活性化され、膵臓をすることで起こる急性炎症である。

  2. 2.

    急性膵炎の二大原因はアルコールとである。

  3. 3.

    急性膵炎の診断に用いられる血中膵酵素は、アミラーゼとである。

  4. 4.

    急性膵炎の治療の三本柱は、十分な初期輸液、疼痛コントロール、(膵安静)である。

  5. 5.

    慢性膵炎の食事療法で制限が必要な栄養素はである。

  6. 6.

    慢性膵炎の最大の原因であり、進行抑制のため最も厳格に制限すべきものはである。

  7. 7.

    慢性膵炎の非代償期において、インスリン分泌低下により発症する糖尿病をという。

  8. 8.

    ERCP後に心窩部痛が出現した場合、合併症として最も疑われるのはである。

急性・慢性膵炎の管理」の過去問演習

※公式問題・正答は厚生労働省公開資料をもとに整理しています。