急性膵炎を1問でマスター!症状・検査・治療を整理しよう
看護師国家試験 第115回 午後 第84問
国試問題にチャレンジ
急性膵炎で正しいのはどれか。2つ選べ。
- 1.基本的な治療は手術である。
- 2.初発症状は上腹部痛である。
- 3.鎮痛薬の投与は禁忌である。
- 4.血中アミラーゼ値が低下する。
- 5.重症度判定には造影CTが重要である。
対話形式の解説
博士
サクラ
博士
サクラ
博士
サクラ
博士
サクラ
博士
サクラ
博士
サクラ
博士
サクラ
博士POINT
急性膵炎の典型的な初発症状(上腹部痛)と、重症度判定における造影CTの位置づけを正しく理解しているかが問われています。
解答・解説
正解は2です
問題文:急性膵炎で正しいのはどれか。2つ選べ。
解説:正解は2と5です。急性膵炎は、何らかの誘因(アルコール多飲や胆石が二大原因)によって膵酵素(トリプシン、リパーゼ、ホスホリパーゼA2など)が膵臓内で活性化し、膵自己消化を引き起こす急性炎症性疾患です。典型的な初発症状は突然発症する持続的かつ強い上腹部痛で、しばしば背部へ放散します(選択肢2)。診断では血中・尿中アミラーゼやリパーゼの上昇が指標となり、重症度の評価には膵壊死や炎症の波及範囲を可視化できる造影CTが極めて重要です(選択肢5)。造影CTによるCT Grade(Balthazar分類など)は予後判定や治療方針決定に直結します。治療は絶食・十分な輸液・鎮痛・必要に応じた抗菌薬投与といった保存的治療が基本で、感染性膵壊死など特定の合併症がない限り手術は第一選択ではありません。
選択肢考察
- ×1. 基本的な治療は手術である。
誤りです。急性膵炎の初期治療は絶食による膵外分泌の抑制、急速大量輸液による循環動態の維持、十分な鎮痛、栄養管理などの保存的治療が基本です。手術が考慮されるのは感染性膵壊死、膵膿瘍、出血、ドレナージ困難な仮性嚢胞などの合併症が生じた場合に限られ、近年は内視鏡的・経皮的ドレナージなどの低侵襲治療が優先されます。
- ○2. 初発症状は上腹部痛である。
正解です。急性膵炎の最も特徴的な初発症状は、突然出現する持続的かつ強い心窩部から上腹部の痛みで、しばしば背部に放散します。前屈位で軽減し、仰臥位で増強する傾向があります。これに悪心・嘔吐、発熱、腹部膨満、重症例ではショックやCullen徴候・Grey-Turner徴候を伴うこともあります。
- ×3. 鎮痛薬の投与は禁忌である。
誤りです。急性膵炎では強い疼痛がストレス反応を惹起し循環動態を悪化させるため、ペンタゾシンやブプレノルフィンなどによる積極的な鎮痛管理が推奨されます。かつてモルヒネはOddi括約筋を収縮させるため禁忌とされましたが、現在のガイドラインでは病態を悪化させる明確な証拠は乏しいとされ、鎮痛薬投与は禁忌ではありません。
- ×4. 血中アミラーゼ値が低下する。
誤りです。急性膵炎では膵腺房細胞の破壊により血中アミラーゼ・リパーゼが上昇します。発症数時間で上昇し始め、アミラーゼは2〜3日で正常化することが多い一方、リパーゼはより長く高値が持続し特異度も高いため診断に有用です。なお、重症例で広範な膵壊死が進行すると逆に酵素値が低下することもありますが、これは特殊な状況です。
- ○5. 重症度判定には造影CTが重要である。
正解です。造影CTは膵実質の造影不良域(膵壊死)の有無、炎症の波及範囲、液体貯留や膿瘍形成などを評価でき、急性膵炎の重症度判定に不可欠です。日本の急性膵炎重症度判定基準においても、造影CT Grade(CT所見による分類)が予後因子スコアとともに重症判定の柱となっており、重症と判定されればICU管理や集学的治療が必要となります。
急性膵炎の二大原因はアルコール(男性に多い)と胆石(女性に多い)です。日本の急性膵炎重症度判定基準では、9項目の予後因子(BE、BUN、Ht、Ca、LDH、PaO2、SIRS、年齢、血小板など)と造影CT Gradeの両軸で評価し、いずれかで重症基準を満たせば重症急性膵炎と診断します。重症例ではDIC、ARDS、急性腎障害、循環不全などを合併しやすく、発症早期からの大量輸液と臓器サポートが予後を左右します。覚え方として『急性膵炎は絶食・補液・除痛、重症度はCT』と押さえると整理しやすいです。
急性膵炎の典型的な初発症状(上腹部痛)と、重症度判定における造影CTの位置づけを正しく理解しているかが問われています。
「肝・胆・膵」の関連問題
肝性脳症のカギは「アンモニア」!尿素サイクルが止まると脳がやられる理由
肝臓の解毒機能が低下したときに体内に蓄積し中枢神経症状を起こす代表的物質を問う問題。アンモニアと尿素サイクル、羽ばたき振戦などの臨床像をセットで覚えることが鍵。
115回
肝細胞癌に対するTAEを理解しよう
肝細胞癌が肝動脈優位の血流支配を受ける hypervascular な腫瘍であり、その栄養動脈を遮断するTAEが代表的な局所治療となることを理解しているかが問われています。
115回
下肢静脈瘤の危険因子を見抜く!『静脈弁不全』から読み解く2つの正解
下肢静脈瘤の発症機序(静脈弁不全と静脈圧上昇)から危険因子を導けるかを問う問題で、DVTの危険因子と混同しないことがポイントです。
115回
胆汁は酵素じゃない 脂肪を乳化する縁の下の力持ち
胆汁の機能を正確に理解する問題。胆汁は消化酵素を含まないが、脂肪を乳化することで脂肪消化を補助するという点が核心。
114回
便の色で読み解く病態—閉塞性黄疸が灰白色便になる理由
胆汁の流れが障害される閉塞性黄疸で便色が灰白色になる病態生理を、便色変化の鑑別とともに問う問題。
114回
