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急性膵炎を1問でマスター!症状・検査・治療を整理しよう

看護師国家試験 第115午後84

国試問題にチャレンジ

115午後84

急性膵炎で正しいのはどれか。2つ選べ。

  1. 1.基本的な治療は手術である。
  2. 2.初発症状は上腹部痛である。
  3. 3.鎮痛薬の投与は禁忌である。
  4. 4.血中アミラーゼ値が低下する。
  5. 5.重症度判定には造影CTが重要である。

対話形式の解説

博士博士
今日は第115回看護師国家試験午後84問、急性膵炎についての問題を一緒に見ていこう。2つ選ぶ形式だね。
サクラサクラ
博士、急性膵炎ってアルコールや胆石が原因の病気というイメージがありますが、症状や検査値、治療のどれを聞かれているのか整理が苦手です。
博士博士
いい指摘だね。急性膵炎は『膵酵素が膵臓内で活性化して自己消化を起こす』病気だ。原因は男性ではアルコール、女性では胆石が代表的。まずは選択肢を一つずつ吟味してみよう。
サクラサクラ
選択肢1の『基本的な治療は手術である』は、何となく違う気がします。膵臓って手術がしにくい臓器ですよね?
博士博士
そのとおり。急性膵炎の基本は絶食・大量輸液・鎮痛・必要時の抗菌薬投与といった保存的治療なんだ。手術が考慮されるのは感染性膵壊死など合併症が出たときに限られ、しかも近年は内視鏡的・経皮的ドレナージが主流だよ。
サクラサクラ
選択肢2の『初発症状は上腹部痛』はいかにも正解っぽいですね。
博士博士
正解だ。突然発症する持続的で強い心窩部痛が典型で、背部へ放散することも多い。前かがみで軽くなり仰向けで悪化するのが特徴だね。悪心・嘔吐、発熱、重症ではショックも伴うよ。
サクラサクラ
選択肢3の『鎮痛薬の投与は禁忌』はどうなんでしょう。昔モルヒネが禁忌と聞いた気がします。
博士博士
鋭いね。確かに以前はモルヒネがOddi括約筋を収縮させるため避けられていたけれど、現在のガイドラインでは鎮痛薬投与は禁忌ではないとされている。強い痛みはむしろストレス反応で循環を悪化させるから、ペンタゾシンなどでしっかり除痛するのが基本だ。
サクラサクラ
選択肢4の『血中アミラーゼ値が低下する』は明らかに逆ですよね。膵酵素は上がるはず。
博士博士
そのとおり。急性膵炎では血中アミラーゼ・リパーゼが上昇するのが原則だ。特にリパーゼは特異度が高くて長く高値が続くから診断に有用なんだよ。
サクラサクラ
最後の選択肢5『重症度判定には造影CTが重要』はどうですか?
博士博士
これも正解。造影CTでは膵壊死を示す造影不良域や炎症の広がり、液体貯留などが評価できる。日本の重症度判定基準でも予後因子スコアと造影CT Gradeの両方で評価して、どちらかで基準を満たせば重症急性膵炎と判定するんだ。
サクラサクラ
なるほど、正解は2と5ですね。症状と検査の両面から押さえる必要があるんですね。
博士博士
そのとおり。さらに発展として、重症急性膵炎ではDIC、ARDS、急性腎障害といった多臓器障害を合併しやすいから、早期からのICU管理と大量輸液、腹腔内圧モニタリングが予後を左右する。看護では絶食中の口腔ケア、疼痛評価、水分出納の厳密な管理、感染兆候の早期発見が重要なポイントになるよ。

POINT

急性膵炎の典型的な初発症状(上腹部痛)と、重症度判定における造影CTの位置づけを正しく理解しているかが問われています。

解答・解説

正解は2です

問題文:急性膵炎で正しいのはどれか。2つ選べ。

解説:正解は2と5です。急性膵炎は、何らかの誘因(アルコール多飲や胆石が二大原因)によって膵酵素(トリプシン、リパーゼ、ホスホリパーゼA2など)が膵臓内で活性化し、膵自己消化を引き起こす急性炎症性疾患です。典型的な初発症状は突然発症する持続的かつ強い上腹部痛で、しばしば背部へ放散します(選択肢2)。診断では血中・尿中アミラーゼやリパーゼの上昇が指標となり、重症度の評価には膵壊死や炎症の波及範囲を可視化できる造影CTが極めて重要です(選択肢5)。造影CTによるCT Grade(Balthazar分類など)は予後判定や治療方針決定に直結します。治療は絶食・十分な輸液・鎮痛・必要に応じた抗菌薬投与といった保存的治療が基本で、感染性膵壊死など特定の合併症がない限り手術は第一選択ではありません。

選択肢考察

  1. ×1.  基本的な治療は手術である。

    誤りです。急性膵炎の初期治療は絶食による膵外分泌の抑制、急速大量輸液による循環動態の維持、十分な鎮痛、栄養管理などの保存的治療が基本です。手術が考慮されるのは感染性膵壊死、膵膿瘍、出血、ドレナージ困難な仮性嚢胞などの合併症が生じた場合に限られ、近年は内視鏡的・経皮的ドレナージなどの低侵襲治療が優先されます。

  2. 2.  初発症状は上腹部痛である。

    正解です。急性膵炎の最も特徴的な初発症状は、突然出現する持続的かつ強い心窩部から上腹部の痛みで、しばしば背部に放散します。前屈位で軽減し、仰臥位で増強する傾向があります。これに悪心・嘔吐、発熱、腹部膨満、重症例ではショックやCullen徴候・Grey-Turner徴候を伴うこともあります。

  3. ×3.  鎮痛薬の投与は禁忌である。

    誤りです。急性膵炎では強い疼痛がストレス反応を惹起し循環動態を悪化させるため、ペンタゾシンやブプレノルフィンなどによる積極的な鎮痛管理が推奨されます。かつてモルヒネはOddi括約筋を収縮させるため禁忌とされましたが、現在のガイドラインでは病態を悪化させる明確な証拠は乏しいとされ、鎮痛薬投与は禁忌ではありません。

  4. ×4.  血中アミラーゼ値が低下する。

    誤りです。急性膵炎では膵腺房細胞の破壊により血中アミラーゼ・リパーゼが上昇します。発症数時間で上昇し始め、アミラーゼは2〜3日で正常化することが多い一方、リパーゼはより長く高値が持続し特異度も高いため診断に有用です。なお、重症例で広範な膵壊死が進行すると逆に酵素値が低下することもありますが、これは特殊な状況です。

  5. 5.  重症度判定には造影CTが重要である。

    正解です。造影CTは膵実質の造影不良域(膵壊死)の有無、炎症の波及範囲、液体貯留や膿瘍形成などを評価でき、急性膵炎の重症度判定に不可欠です。日本の急性膵炎重症度判定基準においても、造影CT Grade(CT所見による分類)が予後因子スコアとともに重症判定の柱となっており、重症と判定されればICU管理や集学的治療が必要となります。

急性膵炎の二大原因はアルコール(男性に多い)と胆石(女性に多い)です。日本の急性膵炎重症度判定基準では、9項目の予後因子(BE、BUN、Ht、Ca、LDH、PaO2、SIRS、年齢、血小板など)と造影CT Gradeの両軸で評価し、いずれかで重症基準を満たせば重症急性膵炎と診断します。重症例ではDIC、ARDS、急性腎障害、循環不全などを合併しやすく、発症早期からの大量輸液と臓器サポートが予後を左右します。覚え方として『急性膵炎は絶食・補液・除痛、重症度はCT』と押さえると整理しやすいです。

急性膵炎の典型的な初発症状(上腹部痛)と、重症度判定における造影CTの位置づけを正しく理解しているかが問われています。

※公式問題・正答は厚生労働省公開資料をもとに整理しています。