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後期高齢者医療制度

老年看護学 / 老年看護総論・その他

解説

今回は後期高齢者医療制度について解説します。日本の医療保険制度のなかで、高齢者を対象とする独立した制度として運用されており、国家試験では根拠法・対象年齢・運営主体・自己負担割合・財源構成といった項目が繰り返し問われます。少し複雑に見えますが、ポイントを順番に整理すれば確実に得点できる分野です。

後期高齢者医療制度の概要

後期高齢者医療制度とは、75歳以上の高齢者(および65歳以上75歳未満で一定の障害状態にある者)を対象とした独立した医療保険制度のことです。平成20年(2008年)4月から運用が始まりました。それ以前は老人保健法に基づく老人保健制度が高齢者医療を担っていましたが、現役世代と高齢者の費用負担関係を明確化し、医療費の適正化を進める目的で再編されました。

根拠法

後期高齢者医療制度の根拠法は**「高齢者の医療の確保に関する法律」**(略称:高齢者医療確保法)です。この法律は、旧老人保健法を全面改正する形で制定され、(1)医療費適正化計画の総合的な推進、(2)後期高齢者医療制度の創設、(3)前期高齢者にかかる保険者間の費用負担調整、という3本柱で構成されています。国家試験では「老人保健法」「介護保険法」「健康保険法」「国民健康保険法」などと並べて選ばせる形式が頻出ですので、「後期高齢者医療制度=高齢者の医療の確保に関する法律」と一対一で覚えておきましょう。

被保険者と運営主体

被保険者の範囲

後期高齢者医療制度の被保険者は、区域内に住所を有する75歳以上の者と、65歳以上75歳未満で政令で定める程度の障害の状態にあるとして後期高齢者医療広域連合の認定を受けた者です。75歳の誕生日に到達した時点で、それまで加入していた健康保険や国民健康保険から自動的にこの制度へ移行します。本人の手続きは原則不要で、被保険者証が新たに交付されます。

運営主体

運営主体は、都道府県ごとにすべての市町村が加入して設立される後期高齢者医療広域連合です。広域連合は、被保険者の認定、保険料率の決定、医療給付の決定などを行います。一方、保険料の徴収や被保険者証の交付などの窓口業務は市町村が担当します。「都道府県=広域連合(保険者)/市町村=窓口業務」という役割分担を押さえることが重要です。

自己負担割合と保険料

自己負担割合

医療機関での窓口自己負担は原則1割です。ただし、一定以上の所得がある人は2割(令和4年10月から導入)、現役並み所得者は3割となります。1割・2割・3割の3段階に区分される点と、2割区分が比較的新しい制度改正である点が問われやすいので注意しましょう。

保険料

保険料は被保険者一人ひとりに対して個人単位で賦課されます。賦課方法は、所得に応じた所得割と、被保険者全員が均等に負担する均等割を組み合わせる方式です。年金額が一定以上の被保険者については、年金からの特別徴収(天引き)が原則となります。

財源構成

後期高齢者医療制度の財源は、公費(国・都道府県・市町村)が約5割、現役世代が加入する各医療保険からの後期高齢者支援金が約4割、被保険者本人の保険料が約1割という構成です。現役世代が高齢者医療費の約4割を支えている構造を理解しておくと、社会保障の費用負担に関する問題にも対応できます。

医療給付の内容

後期高齢者医療制度の給付内容は、診察、薬剤・治療材料の支給、処置・手術等の医療、入院・看護、訪問看護、移送など、国民健康保険と同等の範囲で提供されます。療養の給付に加えて、入院時食事療養費、高額療養費、葬祭費などの給付もあります。給付内容そのものは他の医療保険と大きく変わらない点が出題されることがあります。

関連知識:他の高齢者・介護関連制度との整理

国家試験では年齢の節目を絡めた問題が頻出です。40歳から介護保険の第2号被保険者、65歳から介護保険の第1号被保険者、75歳から後期高齢者医療制度の被保険者、という3つの節目をセットで覚えるのが効率的です。また、高齢者医療確保法には特定健康診査・特定保健指導(いわゆるメタボ健診、40〜74歳対象)も規定されていることも押さえておきましょう。なお、がん検診は健康増進法に基づく市町村事業であり、高齢者医療確保法ではなく健康増進法の枠組みである点が紛らわしい論点です。

まとめ

後期高齢者医療制度は、平成20年に施行された高齢者の医療の確保に関する法律に基づく、75歳以上(65歳以上75歳未満の障害認定者を含む)を対象とした独立した医療保険制度です。運営主体は都道府県単位の後期高齢者医療広域連合で、窓口業務は市町村が担います。自己負担は原則1割で、一定以上所得者は2割、現役並み所得者は3割となります。財源は公費約5割・現役世代からの支援金約4割・保険料約1割で構成され、保険料は年金からの特別徴収が原則です。根拠法・対象年齢・運営主体・自己負担割合・財源構成の5点を押さえれば、国家試験での出題には十分対応できます。

確認問題(穴埋め)

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  1. 1.

    後期高齢者医療制度の根拠法はであり、平成20年(2008年)から施行されている。

  2. 2.

    後期高齢者医療制度の被保険者は、区域内に住所を有する歳以上の者、および65歳以上75歳未満で一定の障害状態にあるとして広域連合の認定を受けた者である。

  3. 3.

    後期高齢者医療制度の運営主体は、都道府県ごとにすべての市町村が加入して設立されるである。

  4. 4.

    後期高齢者医療制度における医療機関での自己負担割合は、原則として割であるが、現役並み所得者は3割負担となる。

  5. 5.

    後期高齢者医療制度の財源構成は、公費約5割、被保険者の保険料約1割、そして現役世代が加入する各医療保険からのが約4割である。

  6. 6.

    後期高齢者医療制度の保険料は、年金額が一定以上の被保険者については年金からの(天引き)が原則となる。

  7. 7.

    後期高齢者医療制度は、従来のを再編する形で創設された独立した医療保険制度である。

後期高齢者医療制度」の過去問演習

※公式問題・正答は厚生労働省公開資料をもとに整理しています。