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薬物動態(ADME)と輸液

疾病の成り立ちと回復の促進 / 腫瘍・薬理・その他

解説

薬物動態とは、薬が体内に入ってから出ていくまでの過程を時間軸でとらえた概念で、看護師国家試験では基本中の基本として頻出します。今回は薬物動態(ADME)と輸液について解説します。

薬物動態(ADME)の基本

薬物動態(pharmacokinetics)は、吸収(Absorption)・分布(Distribution)・代謝(Metabolism)・排泄(Excretion)の4段階で構成され、それぞれの頭文字をとってADMEと呼びます。吸収は薬が血液中に取り込まれる過程、分布は血液から各組織へ運ばれる過程、代謝は薬が化学的に変化する過程、排泄は体外へ出ていく過程を指します。

吸収を担う臓器

経口薬の吸収は主に小腸で行われます。小腸の粘膜には絨毛があり、表面積が広いため効率よく薬物が吸収されます。

代謝を担う臓器

代謝の主役は肝臓です。肝細胞の滑面小胞体に存在する**チトクロームP450(CYP)**を中心とした酵素系が、薬物を水に溶けやすい形に変換し、胆汁や尿から排泄しやすい状態にします。肝代謝には第I相反応(酸化・還元・加水分解)と第II相反応(抱合反応)があります。

排泄を担う臓器

排泄は主に腎臓が担い、尿として体外に排出されます。そのほか胆汁、呼気、汗、母乳などからも排泄されます。腎機能が低下している患者では薬物が蓄積しやすいため、用量調整が必要です。

初回通過効果

初回通過効果とは、経口投与された薬物が消化管から吸収されたあと、全身循環に入る前に門脈を経由して肝臓で代謝を受け、有効成分が減少する現象を指します。初回通過効果が大きい薬物は、経口投与ではバイオアベイラビリティ(生体利用率)が低下します。

舌下投与(ニトログリセリンなど)、経皮投与、坐薬、注射などは初回通過効果を回避できるため、効率的に血中濃度を上昇させることができます。

与薬経路と血中濃度上昇速度

与薬経路によって薬物の吸収速度は大きく異なります。血中濃度が上昇する速さは、一般に静脈内注射>吸入>坐薬>筋肉内注射>皮下注射>経口薬の順となります。静脈内注射は薬液を血管内へ直接投与するため、吸収過程を経ずに即座に最高血中濃度に達します。即効性が最大の利点ですが、誤薬や過量投与のリスクも高く、投与前の6R確認とバイタルサイン観察が重要です。

生物学的半減期

**生物学的半減期(t1/2)**とは、薬物の血中濃度が代謝と排泄によって半分に減少するまでに要する時間で、薬物の分解・排泄の速さの指標となります。半減期が短い薬は効果持続が短く頻回投与が必要となり、長い薬は蓄積しやすいため投与間隔を空けます。一般に5半減期経過すると投与量の約97%が消失し、定常状態に達する目安にもなります。

輸液の浸透圧

血漿の浸透圧は約285mOsm/Lで、この浸透圧と等しい輸液を等張液と呼びます。血漿と等張なブドウ糖溶液の濃度は**5%であり、等張な生理食塩水の濃度は0.9%**です。5%ブドウ糖液は体内でブドウ糖が代謝され水だけが残るため、自由水の補給に用いられます。一方、生理食塩水は細胞外液の補充に用いられます。

10%以上の高張ブドウ糖液などは末梢静脈から投与すると静脈炎を起こしやすいため、原則として中心静脈から投与します。

まとめ

薬物動態はADME(吸収・分布・代謝・排泄)の4段階で整理し、代謝の主役は肝臓、排泄の主役は腎臓であることを押さえます。経口薬は肝臓で初回通過効果を受け、これを回避するために舌下投与や静脈内注射が用いられます。血中濃度上昇が最も速い経路は静脈内注射で、薬物消失の速さは生物学的半減期で評価します。輸液では血漿と等張なブドウ糖液が5%、生理食塩水が0.9%であることを確実に覚えておきましょう。

確認問題(穴埋め)

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  1. 1.

    薬物動態の4段階は吸収・分布・・排泄であり、その頭文字をとってADMEと呼ぶ。

  2. 2.

    薬物動態のうち肝臓が主に関与するのはである。

  3. 3.

    薬剤の血中濃度の上昇が最も速い与薬方法はである。

  4. 4.

    経口投与後の薬物が全身循環に入る前に肝臓で代謝を受ける現象をという。

  5. 5.

    薬物の血中濃度が半分に減少するまでに要する時間をといい、薬物の分解・排泄の速さの指標となる。

  6. 6.

    血漿と等張なブドウ糖溶液の濃度は%である。

  7. 7.

    血漿と等張な生理食塩水の濃度は%である。

  8. 8.

    肝臓における薬物代謝で中心的役割を果たす酵素群を(CYP)という。

薬物動態(ADME)と輸液」の過去問演習

※公式問題・正答は厚生労働省公開資料をもとに整理しています。