尿量の基準値
成人看護学 / 腎・泌尿器
解説
尿量とは、腎臓でつくられて体外へ排泄される尿の量のことです。今回は尿量の基準値について解説します。
尿が作られるしくみと役割
腎臓は血液をろ過し、体内の老廃物や余分な水分・電解質を尿として体外へ排泄しています。体内で生じた老廃物(尿素窒素やクレアチニンなど)を尿中へ捨てるためには、最低でも1日約500mLの尿量が必要とされています。これを下回ると老廃物が体内に蓄積し、腎不全の病態へ進展する危険があります。尿量は体液量・循環動態・腎機能を反映する重要な指標であり、看護の現場では時間尿量や24時間尿量を測定して全身状態を評価します。
正常尿量の基準値
成人の正常尿量は 1日1,000〜1,500mL が目安です。教科書によっては1,000〜2,000mLとされることもあります。1回あたりの排尿量はおよそ200〜400mL、1日の排尿回数は4〜7回程度が一般的です。尿量は飲水量、発汗、気温、食事内容などによって変動するため、ある程度の幅をもって評価します。
異常な尿量の分類
尿量が基準値から外れた状態には、明確な定義が設けられています。国家試験では数値そのものが問われるため、正確に覚える必要があります。
無尿
無尿とは、1日の尿量が 100mL以下 にまで減少した状態をいいます。原因は発生部位により三つに分けられます。腎前性は、ショックや脱水などにより腎臓へ流れる血液量が低下して起こります。腎性は、急性尿細管壊死など腎実質そのものの障害によります。腎後性は、両側の尿管閉塞や尿道閉塞など、尿の通り道が塞がれることによって生じます。
乏尿
乏尿とは、1日の尿量が 400mL以下 の状態をいいます。前述のとおり老廃物排泄には最低500mL/日が必要であり、乏尿の状態では体内に老廃物が蓄積しやすく、腎不全への進展に注意が必要です。
多尿
多尿とは、1日の尿量が 3,000mL以上(教科書によっては2,500mL以上)に増加した状態をいいます。原因として、糖尿病による浸透圧利尿、ADHの作用が低下する尿崩症(中枢性・腎性)、慢性腎不全の多尿期、利尿薬の使用、心因性多飲などが挙げられます。
排尿回数の異常
尿量とは別に、1日の排尿回数の異常も区別して覚えます。頻尿は1日の排尿回数が 8回以上 の状態をいい、夜間頻尿は夜間に2回以上排尿のために起きる場合を指します。逆に 希尿 は1日の排尿回数が3回以下の状態をいいます。
尿閉と無尿の違い
国家試験で混同しやすいのが 尿閉 と無尿の違いです。尿閉とは、腎臓では尿が生成されているにもかかわらず、膀胱から尿を排出できない状態をいいます。前立腺肥大症や神経因性膀胱などが原因となり、導尿を行えば尿が得られます。一方、無尿は腎臓での尿生成そのものがほぼ停止している状態であり、導尿しても尿は得られません。尿閉は尿量減少とは別の概念であることを押さえておきましょう。
水分出納と不感蒸泄
尿量を評価する際には、水分出納(IN/OUTバランス)を併せて考えます。INには経口摂取、点滴、食事中の水分が含まれ、OUTには尿、便、発汗、ドレーン排液、そして 不感蒸泄 が含まれます。不感蒸泄とは、自覚されない皮膚や呼気からの水分喪失のことで、成人では約900mL/日(皮膚から約600mL、呼気から約300mL)とされます。不感蒸泄は発熱や高温環境で増加するため、尿量だけでなくこれらも加味して脱水や溢水を評価します。
看護師の観察ポイント
看護の現場では、時間尿や24時間尿の測定により尿量を把握し、色調や混濁、血尿の有無といった性状も観察します。あわせてBUN、クレアチニン、電解質などの検査値を確認し、腎機能や体液バランスを総合的に評価します。
まとめ
尿量の基準値は、正常が1日1,000〜1,500mL、乏尿が400mL以下、無尿が100mL以下、多尿が3,000mL以上です。老廃物排泄には最低500mL/日が必要であること、頻尿は8回以上・希尿は3回以下と排尿回数で定義されること、尿閉は無尿とは異なり膀胱からの排出障害であること、不感蒸泄は約900mL/日であることをセットで覚えておきましょう。
確認問題(穴埋め)
空欄をタップすると答えが表示されます。
- 1.
成人の1日の正常尿量は約mLである。
- 2.
1日尿量が100mL以下の状態をという。
- 3.
1日尿量が400mL以下の状態をという。
- 4.
1日尿量が3,000mL以上の状態をという。
- 5.
老廃物を尿として排泄するためには最低約mL/日の尿量が必要である。
- 6.
1日の排尿回数が8回以上の状態をという。
- 7.
腎臓では尿が生成されているが膀胱から排出できない状態をという。
- 8.
成人の不感蒸泄は約mL/日である。
