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神経生理(反射・伝導)

人体の構造・機能 / 脳神経・感覚器

解説

今回は神経生理(反射・伝導)について解説します。

伸張反射

伸張反射とは、骨格筋が引き伸ばされた際に同じ筋が収縮する単シナプス反射です。感覚受容器は筋の伸びを感知する筋紡錘で、求心路はIa線維、中枢は脊髄前角のα運動神経、遠心路もα運動神経となります。代表例には膝蓋腱反射やアキレス腱反射があり、姿勢保持に重要な役割を担っています。

臨床的には、深部腱反射の亢進は錐体路障害を、減弱は末梢神経障害や脊髄障害を示唆します。診察では左右差や上下肢の差にも注目します。

立ち直り反射

立ち直り反射は、体位が傾いたときに頭部や体幹を正常位置に戻そうとする姿勢反射で、中枢は中脳の赤核・網様体にあります。

4種類の立ち直り反射

視覚性立ち直り反射は網膜の視細胞からの情報、迷路性は内耳の前庭・三半規管、頸部性は頸筋の筋紡錘、体性は体幹皮膚や筋の受容器からの情報を利用します。

乳児における発達

生後3〜4か月で頸部立ち直り反射、6か月で体幹の立ち直り反射、8〜10か月で視覚性立ち直り反射が成熟します。発達評価の重要な指標です。

排尿反射

排尿反射は、膀胱内に尿が貯留することで膀胱壁が伸展され、膀胱壁の伸展受容器が刺激されることが引き金となって生じる反射です。受容器からの情報は骨盤神経を介して仙髄(S2〜S4)の排尿中枢に伝わり、副交感神経(骨盤神経)を介して膀胱平滑筋(排尿筋)の収縮と内尿道括約筋の弛緩を起こし、排尿に至ります。通常は橋の排尿中枢や大脳皮質によって随意的に調節されています。

神経筋接合部と興奮収縮連関

運動神経終末から放出される**アセチルコリン(ACh)**が、筋側のニコチン性アセチルコリン受容体(イオンチャネル型)に結合します。これによりNa+が筋細胞内へ流入し終板電位が発生、脱分極から活動電位が生じ、T管・筋小胞体経由でCa2+が放出され、アクチンとミオシンの相互作用で筋収縮が起こります。

神経筋伝達の流れは、(1)神経終末への活動電位到達、(2)電位依存性Ca2+チャネル開口でCa2+流入、(3)シナプス小胞からACh放出、(4)受容体結合、(5)Na+流入で終板電位発生、(6)活動電位、(7)筋小胞体からCa2+放出、(8)筋収縮、という順序となります。

重症筋無力症

重症筋無力症は、ニコチン性アセチルコリン受容体に対する自己抗体(抗AChR抗体)が産生され、神経筋伝達障害により筋力低下や易疲労性をきたす疾患です。眼瞼下垂・複視から始まることが多く、全身型では嚥下障害や呼吸筋障害を呈します。反復刺激筋電図でwaning現象がみられ、治療にはコリンエステラーゼ阻害薬、ステロイド、免疫抑制薬、胸腺摘除、血漿交換が用いられます。

筋弛緩薬

筋弛緩薬には脱分極性のスキサメトニウムと、非脱分極性のロクロニウム・ベクロニウムがあります。麻酔導入や挿管時に使用されます。

髄鞘と跳躍伝導

髄鞘は神経線維を絶縁し、ランビエ絞輪の間を活動電位が飛び越える跳躍伝導を可能にします。これにより有髄線維は無髄線維より伝導速度が大幅に速くなります。髄鞘形成は中枢神経ではオリゴデンドロサイト、末梢神経ではシュワン細胞が担当します。

髄鞘が破壊される疾患として、中枢神経では多発性硬化症、末梢神経ではギラン・バレー症候群があり、神経伝導速度の低下により運動麻痺や感覚異常を生じます。

痛覚伝導路(脊髄視床路)

痛覚や温度覚は脊髄視床路(外側脊髄視床路)を経由して大脳皮質に伝えられます。経路としては、末梢の侵害受容器から一次ニューロンが脊髄後角に入り、ここでシナプスを形成して二次ニューロンに切り替わります。二次ニューロンは脊髄レベルで対側へ交叉し、反対側の側索を上行して視床に達し、視床でシナプスを介して三次ニューロンに切り替わったのち、大脳皮質(感覚野)で痛みとして認知されます。脊髄レベルで交叉する点が、後索路(深部感覚・触覚)との重要な相違点です。

脊髄神経の構成

脊髄神経は左右合計31対からなり、内訳は頸神経8対・胸神経12対・腰神経5対・仙骨神経5対・尾骨神経1対です。頸椎は7個であるのに対し頸神経は8対あり、第1頸神経(C1)は環椎と後頭骨の間から出ることに注意が必要です。

その他の反射・姿勢反応

緊張性頸反射、緊張性迷路反射、平衡反応、パラシュート反応などがあり、特にパラシュート反応は乳児発達評価で重要です。

神経線維の分類

A線維は有髄で太く伝導速度が速く、B線維は有髄で自律神経節前線維、C線維は無髄で痛覚などを伝え伝導速度が遅いという特徴があります。

確認問題(穴埋め)

空欄をタップすると答えが表示されます。

  1. 1.

    伸張反射は、骨格筋が引き伸ばされた際に同じ筋が収縮する反射であり、感覚受容器は、求心路は線維である。

  2. 2.

    深部腱反射の亢進は障害を示し、減弱は障害や脊髄障害を示唆する。

  3. 3.

    立ち直り反射の中枢はにあり、視覚性、迷路性、性、体性の4種類がある。乳児では生後3〜4か月で立ち直りが成熟する。

  4. 4.

    神経筋接合部では運動神経終末からが放出され、性受容体に結合してNa+が流入し電位が発生する。

  5. 5.

    筋収縮では活動電位がT管を介して筋小胞体に伝わり、が放出されてアクチンとミオシンが相互作用する。

  6. 6.

    重症筋無力症はニコチン性アセチルコリン受容体に対する自己抗体であるが原因で、反復刺激筋電図では現象がみられる。初発症状としてや複視が多い。

  7. 7.

    脱分極性筋弛緩薬の代表は、非脱分極性筋弛緩薬の代表はロクロニウムやである。

  8. 8.

    有髄線維では活動電位がランビエ絞輪の間を飛び越えるを行うため、無髄線維より伝導速度が速い。

  9. 9.

    髄鞘を形成する細胞は、中枢神経では、末梢神経ではである。中枢の脱髄疾患の代表は、末梢の脱髄疾患の代表はギラン・バレー症候群である。

  10. 10.

    神経線維分類でA線維は有髄で伝導速度が速く、B線維は自律神経線維、C線維はで痛覚などを伝える。

  11. 11.

    痛覚を伝える脊髄視床路では、一次ニューロンが脊髄でシナプスし、二次ニューロンはレベルで対側へ交叉して側索を上行し、を経て大脳皮質で痛みとして認知される。

  12. 12.

    排尿反射は膀胱内に尿が貯留して膀胱壁がされることで伸展受容器が刺激されて生じ、仙髄の排尿中枢を介して神経が膀胱平滑筋を収縮させる。

  13. 13.

    脊髄神経は左右合計31対で、頸神経対・胸神経対・腰神経5対・仙骨神経5対・尾骨神経対からなる。

神経生理(反射・伝導)」の過去問演習

※公式問題・正答は厚生労働省公開資料をもとに整理しています。