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おしっこをためる仕組み、カギは『膀胱の伸び』にあり

看護師国家試験 第115午前28

国試問題にチャレンジ

115午前28

膀胱壁の蓄尿反射を引き起こす刺激はどれか。

  1. 1.圧 迫
  2. 2.痛 み
  3. 3.温 度
  4. 4.伸 展

対話形式の解説

博士博士
今日は『膀胱壁の蓄尿反射を引き起こす刺激は何か』というテーマじゃ。選択肢は圧迫・痛み・温度・伸展の4つ。さて、どれだと思う?
サクラサクラ
うーん…外から押される圧迫かなと思ったんですが、自信がないです。
博士博士
惜しいぞ。正解は『伸展』じゃ。膀胱は風船のようにふくらむ袋で、尿がたまると壁が内側からじわじわ引き伸ばされる。その『伸び』そのものが反射のスイッチになるのじゃ。
サクラサクラ
へぇ、外からの圧じゃなくて、内側からの伸びなんですね。
博士博士
そう。膀胱壁にはな、『伸展受容器』という機械的なセンサーが埋め込まれておる。尿がたまって壁が引き伸ばされると、このセンサーが興奮して、骨盤神経を通って仙髄のS2〜S4にある排尿中枢へ信号が走るのじゃ。
サクラサクラ
仙髄S2〜S4って、排尿の重要ポイントですね。国試でもよく見ます。
博士博士
その通り。さらにそこから橋の排尿中枢、そして大脳皮質まで信号が届いて、ようやくわしらは『あ、トイレ行きたいな』と自覚するのじゃ。
サクラサクラ
量で言うと、どれくらいで尿意を感じるんですか?
博士博士
だいたい150〜200mLで軽い尿意、300〜400mLで我慢しづらい強い尿意になる、と覚えておくと良い。成人の膀胱容量は約500mLじゃ。
サクラサクラ
他の選択肢、圧迫・痛み・温度はどうしてダメなんでしょう?
博士博士
圧迫は外から押す力で、生理的な反射の引き金ではない。クレーデ手技のような介助の手段にはなるが、正常な反射機序ではないのじゃ。痛みは膀胱炎や結石のときに出る病的な感覚で、これも生理的な蓄尿反射とは別物。温度刺激も主因ではない。
サクラサクラ
なるほど、生理的な仕組みは『伸展』だけなんですね。
博士博士
うむ。さらに大事なのは、蓄尿期と排尿期で働く神経が違うことじゃ。蓄尿期は交感神経の下腹神経が優位で、排尿筋を弛緩、内尿道括約筋を収縮させて漏らさない。排尿期は副交感神経の骨盤神経が優位で、排尿筋を収縮させ内尿道括約筋を緩める。
サクラサクラ
交感神経でためて、副交感神経で出す、というセットで覚えればいいんですね。
博士博士
その通り。それから外尿道括約筋は陰部神経による随意筋で、自分の意思でぎゅっと締めたり緩めたりできる。これが社会生活でトイレまで我慢できるカラクリじゃ。
サクラサクラ
臨床ではどんなときに、この反射が問題になるんですか?
博士博士
例えば脊髄損傷で仙髄より上位が障害されると、大脳の抑制が外れて反射性に排尿が起こる神経因性膀胱になる。糖尿病性神経障害では伸展受容器の感受性が下がって尿意が乏しくなり、残尿や尿閉が増える。看護では残尿測定や排尿日誌、間欠導尿の指導が出番じゃ。
サクラサクラ
生理学の知識が、ちゃんと臨床ケアにつながるんですね。とても理解できました。

POINT

蓄尿および排尿反射の出発点となる生理的刺激は何かを問う問題。膀胱壁の『伸展』が機械受容器を介して仙髄排尿中枢に情報を送るという基本機序を押さえる。

解答・解説

正解は4です

問題文:膀胱壁の蓄尿反射を引き起こす刺激はどれか。

解説:正解は 4 です。膀胱は尿を一時的にためる伸展性に富んだ平滑筋の袋であり、その壁には機械的伸展に反応する伸展受容器(機械受容器)が分布している。尿が腎臓から尿管を経て膀胱に貯留してくると、膀胱壁が徐々に引き伸ばされ、この『伸展』という機械的刺激が受容器を興奮させる。伸展受容器からの求心性インパルスは骨盤神経を介して仙髄(S2〜S4)の排尿中枢に伝えられ、さらに上位中枢である橋排尿中枢や大脳皮質にも投射される。蓄尿期には交感神経(下腹神経)が優位になり、膀胱平滑筋(排尿筋)は弛緩して内尿道括約筋は収縮し、尿の漏出を防ぎつつ十分な尿量を貯留できる仕組みになっている。したがって、蓄尿および排尿反射の引き金となる基本刺激は膀胱壁の『伸展』である。

選択肢考察

  1. ×1.  圧 迫

    外部からの圧迫は膀胱壁の機械受容器を生理的に賦活する基本刺激ではない。蓄尿・排尿反射の出発点はあくまで内腔側から壁が引き伸ばされる『伸展』であり、用手的圧迫(クレーデ手技など)は人為的な排尿介助手段にすぎず、生理的反射の刺激源としては不適切。

  2. ×2.  痛 み

    痛みは膀胱炎・結石・腫瘍などの病的状態で生じる感覚であり、正常な蓄尿反射の生理的刺激ではない。痛覚受容器(侵害受容器)は伸展受容器とは別系統で、生理的な尿意の発生機序を構成しない。

  3. ×3.  温 度

    膀胱壁には温度受容器も存在するとされるが、蓄尿・排尿反射を引き起こす主要な刺激ではない。体温と尿温の差はほぼ無視できる範囲であり、温度刺激が生理的に反射を駆動するわけではない。

  4. 4.  伸 展

    尿の貯留により膀胱壁が引き伸ばされると、壁内の伸展受容器が興奮し、骨盤神経を介して仙髄(S2〜S4)の排尿中枢、さらに橋・大脳へと求心性情報が送られる。これが蓄尿時の尿意発生および排尿反射の生理学的引き金であり、正解。

排尿のしくみは『蓄尿期』と『排尿期』の二相に分かれる。蓄尿期は交感神経(下腹神経T11〜L2)が優位で、排尿筋を弛緩させβ受容体、内尿道括約筋を収縮させてα受容体働かせ、漏れを防ぎながら尿をためる。膀胱内の尿量が約150〜200mLを超えると軽い尿意を自覚し、約300〜400mLで強い尿意となる。排尿期には副交感神経(骨盤神経S2〜S4)が優位となり排尿筋が収縮、同時に内尿道括約筋が弛緩する。外尿道括約筋は陰部神経による随意支配であり、社会的に適切なタイミングで意識的に弛緩させて排尿する。脊髄損傷(仙髄より上位の障害)では大脳の制御が失われ反射性排尿となる、糖尿病性神経障害や末梢神経障害では伸展受容器の感受性が低下して尿意が乏しくなり残尿が増えるなど、看護現場で頻出の病態理解にも直結する。

蓄尿および排尿反射の出発点となる生理的刺激は何かを問う問題。膀胱壁の『伸展』が機械受容器を介して仙髄排尿中枢に情報を送るという基本機序を押さえる。

※公式問題・正答は厚生労働省公開資料をもとに整理しています。